ゆとりくん率いる音楽プロジェクト・69(無垢)のワンマンライブ「69 ONEMAN LIVE タオイズム」が、12月15日に東京・WWWで開催された。
「古着女子」のInstagramアカウント開設を皮切りに、アパレル企業・yutoriを創業し、2023年には東証グロース市場へ上場を果たしたゆとりくん。彼が2024年に学生時代の友人KOHEIとともに始動させた69は、自身がYTR名義で作詞を手がける音楽プロジェクトだ。この日のライブで、69は仏教やタオイズム(道教)の世界観を取り入れたMCとステージングを展開。ゲストにSora(アバンティーズ)、さらさを迎え、新曲を含む全17曲を披露した。
仏像が見守る中で開演
ステージ上にはバンドセットに加え、観音菩薩立像をはじめとする大小さまざまな仏像が鎮座。厳かな雰囲気が漂う中、客電が落ちると満員のフロアから「ゆとりくん」コールが沸き起こった。大歓声に迎えられたゆとりくんは、「ハグレモノ」でライブをスタート。重厚なベースラインに乗せ、まっすぐな歌声を響かせたのち、「成り上がリッチ」では自身の半生を投影した挑発的なリリックを繰り出す。
ここでKOHEIが合流し、「Y2N」へ。ゆとりくんの低音とKOHEIの艶やかなハイトーンボイスが美しいコントラストを描き出し、バンドのグルーヴと相まって会場を心地よく揺らす。サーチライトのように照明が行き来する中で届けられた「Q」を経て、ゆとりくんは新曲「スピってる」をパフォーマンス。サイケデリックな電子音とバンドサウンドが融合したトラックに乗せ、ポジティブなメッセージをオーディエンスに伝えた。
「junk(ey)」で会場の熱気を高めたあと、ゆとりくんは激動の1年を振り返る。「ライブハウスで『上場』って言葉を聞く機会はなかなかないと思うんですけど」と会場の笑いを誘いつつ、多忙な日々の中で歌詞が書けなくなったことの苦悩を吐露。「無理にポジティブになる必要も、ネガティブになる必要もない。ありのままに感じて、何かに気付けばいい」と、本公演のテーマでもある“タオ(道)”の思想に触れた。
ゆとりくん、MCで自らとファンを鼓舞
ライブの中盤を彩ったのはメロウな楽曲群。ステージが青一色に染まる中でパフォーマンスされた「BLUE BOTTLE」では、KOHEIのエモーショナルなボーカルが響き渡る。続く「雪国」ではスモークが雪のように舞う幻想的な演出が展開され、美しい空間を前に観客は心地よさそうに体を揺らした。また「SUMIRE」ではKOHEIが甘い歌声で会場を包み込み、楽曲の世界観をオーディエンスに深く印象付けた。
ここで再びマイクを握ったゆとりくんは、現代社会に蔓延する不安や閉塞感について言及。「みんながんばってるんですが、がんばってると目線が狭くなるじゃないですか。そんなときこそタオな視点を持って、1年後、5年後、10年後、何してるのかなって考えるだけでも救われると思うんですよ」「僕がしきりに“タオ”って言うのは、自分自身がその気持ちを持ち切れてないからなんです。そのうえで何かを作り続けた方がいいと思っています。だって、作るってすごくカッコよくて、恥ずかしいことじゃないですか。どういうリアクションが来るかもわからないし。だから僕は作ってる人をリスペクトしてるし、みんなも作り続けてほしい。僕も作り続けるので、みんなでがんばろう!」と熱い言葉で自身と目の前の観客を鼓舞する。
アバンティーズSora&さらさを迎えてコラボも
MCで語った言葉を反映したかのような「アンチメン」に続いた「PARADOX」では、アバンティーズのSoraがゲストとして登場。Soraは鋭いラップを畳みかけ、フロアのボルテージを引き上げた。ライブ終盤に披露された「mirrorge」では、ゆとりくんがステージを縦横無尽に動き回り、エネルギッシュなパフォーマンスを展開。「pool」ではさらさを招き入れ、KOHEIを交えた3人のハーモニーをフロアに響かせる。
本編最後のMCでゆとりくんは、アメリカ・アリゾナ州にあるパワースポット・セドナを訪れた際に見た美しい景色についてトーク。そして「それを見た時に思ったんですよ。誰かが決めた枠組みの中に収まるのは違うなって。自分が自分なりの視点で生きていれば、振り返ったときに、何か自分の道と交差することがあるんじゃないかと。だから僕は僕の物語を生きたいし、みんなも自分の物語を生きてください」と呼びかけ、69を象徴する楽曲「TAO」を観客と大合唱した。
アンコールを求める「TAOコール」に応え、再びステージに現れたゆとりくんは「最後まで楽しんでいこうぜ!」と叫び、新曲「VintageTee☆」を投下。その後、KOHEI、Sora、さらさがゆとりくんの少し早い誕生日を祝うためにバースデーケーキとともにステージへ。盟友たちの祝福を受けたゆとりくんは「最高の誕生日」と口にし、「すべての運命を引き寄せて宇宙を創る」と2026年の抱負をぶち上げる。ラストナンバーとして、再び「TAO」を届けたゆとりくん。最後に「みんなでいい時代作ろう!」と宣言した彼は、観客へ背を向けたままピースサインを掲げてステージをあとにした。
セットリスト
「69 ONEMAN LIVE タオイズム」2025年12月15日 WWW
01. ハグレモノ
02. 成り上がリッチ
03. Y2N
04. Q
05. スピってる
06. junk(ey)
07. FLEXIN
08. BLUE BOTTLE
09. 雪国
10. SUMIRE
11. アンチメン
12. PARADOX
13. mirrorge
14. pool
15. TAO
<アンコール>
16. VintageTee☆
17. TAO


