lynch.が結成20周年イヤーの集大成となるワンマンライブ「lynch. 20TH ANNIVERSARY XX FINAL ACT『ALL THIS WE'LL GIVE YOU』」を12月28日に東京・東京ガーデンシアターで開催した。
2024年12月27日に結成20周年を迎えて以降、インディーズ時代の作品のリテイクアルバム2作品をリリースし、さらには企画色の強いライブやツアーを1年間にわたり展開してきたlynch.。東京ガーデンシアター公演は2022年11月の東京・日本武道館公演以来のアリーナライブであると同時に、活動22年目最初のステージとなった。
バンドが繰り出す重低音、観客のヘドバン
ステージを覆う紗幕にミュージックビデオやイメージ映像を織り交ぜたオープニングムービーが流れ始めると、客席の熱気が次第に上昇していく。そしてメンバーのシルエットがステージに浮かび上がった瞬間、会場が悲鳴にも似た歓声に包まれ、きらびやかなギターサウンドとともに幕が落下。両サイドにXを模ったオブジェを配置したステージが現れ、葉月(Vo)の「いくぞ!」という声を合図にバンドは「ALL THIS I'LL GIVE YOU」でライブを勢いよくスタートさせた。ステージ上の5人が一丸となって轟音の塊を客席にぶつけていくと、オーディエンスは激しいヘッドバンギングでこれに応える。
葉月が「遊ぼうぜ!」と観客に呼びかけると、間髪をいれずに「斑」へなだれ込む。晁直(Dr)がタイトなリズムを刻む中、明徳(B)はスラップを交えながら堅実なベースプレイを披露。悠介(G)と玲央(G)はアグレッシブなリフを奏で続け、時にはのたうちまわるようなソロも響かせていく。「GREED」「EVOKE」と曲を重ねるたびに会場の熱気が高まり、葉月もこれに負けじとシャウトを響かせていった。
4曲立て続けに披露し終えると、葉月は「最高です! それしかない。すごいよみんな、マジで。すげえ気持ちいい」と素直な心境を明かす。そして「今日はこの20年を振り返るようなライブになるかもしれませんが、僕はそれよりも今後の未来が楽しみになるようなライブをブッ刺したいと思います。素晴らしいライブハウスへようこそ。楽しんでいってください!」と告げると、「CREATURE」でパフォーマンスを再開。炎や爆発音などを用いたアリーナライブらしい派手な演出に、オーディエンスの熱量もさらに膨れ上がっていく。「INVINCIBLE」では葉月自らオーディエンスにヘドバンを促す場面もあり、バンドが繰り出す重低音に対して客席からの応酬が続いた。
ハプニングに「すげえ楽しくなってきた」
ライブ中盤には「KALEIDO」を筆頭に、神秘的なサウンドを伴うミディアムナンバーが連続。鉄壁なリズムアンサンブルとスペーシーなギターサウンドを背に、葉月は伸びやかでエモーショナルな歌声を届けていく。その空気はムーディかつアグレッシブなナンバー「THE WHIRL」で少しずつ変化していき、晁直の前のめりなドラムソロから疾走感の強い「MIRRORS」へとなだれ込んだ。しかし、途中で演奏がストップするアクシデントが発生。実は、CO2が発射される演出が晁直のイヤモニに流れる同期と相性が悪かったとのことで、「IDOL」のタイミングにも同様のトラブルが起こっていたことが明かされる。
このハプニングを前に、葉月は「すげえ楽しくなってきた(笑)」と高揚を隠せない様子。再びドラムソロから仕切り直すと、観客のテンションがより一層上がり、客席一面がヘドバンの海と化す。その勢いは「THE FATAL HOUR HAS COME」でさらに加速し、「今夜このガーデンシアターで、俺たちと一緒に死んでくれませんか?」という言葉を合図に「GALLOWS」へ突入すると、火炎の演出や激しく点滅する照明も相まって迫力あふれる展開に。曲中、葉月からマイクを向けられた玲央や明徳がシャウトする場面もあり、最後は葉月が怒号のようなスクリームを轟かせた。
フライングVタイプのベースに持ち替えた明徳の攻撃的なスラップで始まった「INVADER」。この曲を皮切りにライブ終盤戦に入ると、無機質なインダストリアルビートを伴う「OBVIOUS」や、会場がカオスな空間へと変わる「PULSE_」で盛り上がりが最高潮へと近付いていく。本編ラストにはこのライブのために制作された楽曲「BRINGER」が披露され、盛大な一体感が会場に満ちた。
ファンのみんなに向けて唯一言えること
アンコールでは2026年初夏にオリジナルのフルアルバム(タイトル未定)がリリースされること、新たな全国ツアーが行われること、この日のライブの模様を収めたBlu-rayが4月22日に発売されることが告げられる。そして、20周年イヤーの締めくくりとなる本公演の終幕に向けて、メンバー5人がそれぞれの思いを告げる場面が用意された。
最初に葉月は「今見ている景色、本当に素晴らしいです。だけどまだ満員じゃないんで、ここでまた絶対にやりましょう」とコメント。「僕がこのバンドを21年続けてきて、伝えたいことなんて特になかったんだけど、ここ数年、皆さんに唯一伝えたいことがあるとすれば、がんばれば夢が叶うわけではないけど、その夢を叶えた人は絶対にあきらめずに続けてきた。いろんなことがあったけど、僕たちはやめませんでした。亀のように遅い成長だったかもしれないけど、僕たちは武道館にも立ったし、幕張(メッセ)にも立った。それは、やめなかったから。それが僕たちの活動を経て、みんなに向けて唯一言えることなのかなと。まだ叶えていない夢がたくさんあります。俺は横浜アリーナのライブ映像を観てボーカリストになろうと思ったから、横アリは死ぬまでにはやりたいです」と素直な思いを伝えた。
その後も晁直、明徳、悠介がそれぞれの言葉で20年分の感謝とこれから先の展望を口に。最後にリーダーの玲央が「話そうと思っていたことを、葉月が全部言ってくれた(笑)」と笑ってみせたあと、「でも、自分と同じことを考えてたんだなって、うれしくなっちゃって」と感慨深げに話す。そして、「僕はlynch.ってバンドを30歳のときに始めて。その年齢で定職につかずバンドを組むことに、周りから反対する声もありました。そこからコンスタントに活動を続けて、今日で21年。僕が48歳のときに武道館、51歳でガーデンシアターという大きな舞台に立たせていただいた。それってすごく幸せなことだなと。あきらめない限り、可能性はゼロにはならない。こうやって時間をかけてでも、1つひとつ夢を叶えていく、そういうバンドがここにいるんだってことを、周りの人たちにも伝えてほしい。lynch.はこれからも続いていきます。僕たちが1つの成功例になって、僕よりも若い世代のバンドの勇気になれればいいなと思っています」とメッセージを届けた。
5人の言葉に客席から温かい拍手が送られると、葉月は「皆さん、呼んだからにはまだいけるんですよね?」とオーディエンスを再び煽り、「ADORE」でアンコールをスタートさせた。観客のシンガロングが響き渡る中、会場の盛り上がりが再加速。晁直がパワフルにリズムを刻む「JUDGEMENT」では悠介、玲央、明徳が立て続けにソロを披露するひと幕も。晁直の高速ビートにディレイの効いた悠介のギターフレーズが重なる「EVIDENCE」では、巨大な東京ガーデンシアターをライブハウスへと一変させるほどのアグレッシブな演奏が繰り広げられた。最後はミラーボールの光が幻想的な空間を作り上げる中で観客のシンガロングが響き渡る「EUREKA」にて、アンコールの幕が下ろされた。
マイクを通さず「ありがとう!」と叫んでステージを降りた5人だったが、鳴り止まない声援に応え再度ステージに登場。「メイクしてるロックバンド舐めんじゃねえ! わからせていきましょう!」という葉月の叫びに続いて、客電が点いた状態のまま「THIRTEEN」の演奏に突入すると、20周年イヤーのフィナーレにふさわしく躍動感に満ちあふれたステージが展開される。そこからダメ押しで、カオティックなファストチューン「TIAMAT」へ。ひたすら激しいシャウトと演奏が轟き、実にlynch.らしい形で20周年イヤー最後のステージが完結した。
なお、1月24日にはlynch.初の単行本「lynch. Anniversary Book『FIVE SOULS』」が発売される。
セットリスト
lynch. 20th ANNIVERSARY PROJECT “XX FINAL ACT”「lynch. 20TH ANNIVERSARY XX FINAL ACT『ALL THIS WE'LL GIVE YOU』」2025年12月28日 東京ガーデンシアター
01. ALL THIS I'LL GIVE YOU
02. 斑
03. GREED
04. EVOKE
05. CREATURE
06. I BELIEVE IN ME
07. INVINCIBLE
08. IDOL
09. KALEIDO
10. REMAINS
11. A FOOL
12. THE WHIRL
13. MIRRORS
14. THE FATAL HOUR HAS COME
15. GALLOWS
16. INVADER
17. OBVIOUS
18. PULSE_
19. BRINGER
<アンコール>
20. ADORE
21. JUDGEMENT
22. EVIDENCE
23. EUREKA
<ダブルアンコール>
24. THIRTEEN
25. TIAMAT


