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NiziU「Dear…」にあふれる西野カナへの思い / ふみの「ホットライン」は何を歌っているのか

再生数急上昇ソング定点観測
8分前2026年03月27日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで3月13日から3月19日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングでは、5位にBE:FIRSTの「BE:FIRST ALL DAY」がランクインした。今作は5月6日に発売されるニューシングルの表題曲。これまでの研鑽を経て勝ち取った栄光を胸に「生涯BE:FIRSTであること」を高らかに宣言する、彼らの真骨頂とも言えるヒップホップナンバーだ。

30位には、昨年「ダイダイダイダイダイキライ」が大ヒットした雨良の新曲「ダダダダダル」が登場した。印象的なサビのフレーズ「はァ~ダル ダダダダダル / ダダダダダル ダル ダル」をはじめ、心地よい言葉の響きと重低音のビートが絡み合い、強い中毒性を生み出している。

36位にはME:IのMIU、AYANE、TSUZUMIが歌う「Golden(Japanese Ver.)」がランクインした。今作は、Netflixのアニメ映画「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」に登場する架空のK-POPグループ・HUNTR/Xによる劇中歌「Golden」を日本語でカバーしたもの。公開された映像は、スタジオでの歌唱風景をありのままに捉えたフィルム形式。マイクを前にした3人が、歌詞のひと言ひと言を噛み締めるように歌い上げる様子が印象に残る。

多種多様な楽曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。

NiziU「Dear…」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場18位

NiziUの「Dear…」は、4月1日にリリースされる2nd EP「GOOD GIRL BUT NOT FOR YOU」の収録曲で、西野カナが2009年にリリースした同名曲をカバーしたもの。これまでインタビューなどを通して、NiziUは西野カナおよびその楽曲に対する愛をたびたび語っており、2025年2月にはメンバーのNINAが西野の「Best Friend」カバー動画をYouTubeに公開するなど、彼女たちの西野に対する思いはファンの間で広く知られている。

幼少期から西野のファンだったというMIIHIは、YouTubeで公開されているレコーディング時のビハインド映像で「『Dear…』が一番好きな曲なんですよ! あんな名曲を私たちが歌いこなせるか不安な部分もあったんですけど、自分の中で満足いくレコーディングができました」とコメント。AYAKAは「切ない歌詞なんですけど、切なく聞こえないように少し明るめの声で表現しました」と語り、彼女なりの歌唱でレコーディングに臨んだことを明かしている。

彼女たちのカバーを聴いた西野は「懐かしさを感じる部分もありながら、NiziUの皆さんならではのカッコよさやかわいらしさ、大人っぽさも感じられて、とても新鮮でした」と、メンバーの歌声を絶賛している。そんな西野は5月27日に新作EP「LOVE BEAT」をリリースすることが決まっており、表題曲ではNiziUと初のコラボレーションが実現。こちらはフジテレビ系朝の情報番組「めざましテレビ」の新テーマソングとして、3月30日から流れることが決定している。ぜひ「Dear…」と合わせてチェックしていただきたい。

ふみの「ホットライン」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場45位

ふみのはBMSGとちゃんみながタッグを組んだガールズグループオーディション「No No Girls」に参加し、約7000人の応募者の中から最終選考まで進出したファイナリスト10名のうちの1人。当時はFUMINO名義で活動していたが、セルフプロデュース型アーティストが所属するレーベルとしてちゃんみなが設立した「NO LABEL ARTISTS」の第1弾アーティストとして、活動名を現在の平仮名に改め、1月11日に配信シングル「favorite song」でデビューした。同曲は1月21日公開のBillboard JAPAN総合ソングチャート「Billboard JAPAN Hot 100」で9位にランクインし、MVは公開から20時間で100万回再生を突破、YouTube急上昇チャートで1位を獲得するなど注目を浴びた。

そんな彼女の新曲「ホットライン」は作詞作曲を自ら手がけ、シンガーソングライターとして活動していくにあたっての記念すべき1作目となる。アコースティックギターとハーモニカの演奏もふみの本人によるもので、表現の幅を大きく広げている。

歌詞では、学生時代から続く親友との関係が、時間の経過とともに少しずつ変化していく様子が描かれている。前半は「おもしろいもの見つけたら一番に教えて」「大事なことは君に一緒に決めてほしいの」と、相手を自分の中心に置くような親密さが際立つ。だが中盤、「知っちゃったの長く会えなかった時に / こっそり占い師に相談していたこと」と明かされることで、相手に自分の知らない一面があると気付き、不安や寂しさが芽生えていく。

それでも関係は壊れず、「理解できないけど分かち合いたい」と歩み寄る方向へと心境が変化していく。やがて「すべてを分かり合えなくてもいい」という境地にたどり着き、「カラオケ行こうよ」という何気ないひと言で日常へと着地する。特別であり続けたいという願いと、変化を受け入れるしなやかさ。その両方が共存する、物語性豊かな1曲だ。

Vaundy「呼び声」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場53位

Vaundyの「呼び声」は昨年12月にNHK総合で放送された「Vaundy 18祭(フェス)」のために書き下ろされた楽曲で、日本全国の18歳世代から“本気”を表現した動画を募集し、その動画をもとに制作された。不安と希望が交錯する“転換点”を主題に据え、歌詞ではあえて輪郭の曖昧な言葉を用いることで、閉塞感や揺らぎを描き出している。「今 チェンジ」というフレーズを契機に、ためらいの中にあった意志が、少しずつ前へと踏み出していく構造だ。

印象的なのは、言葉がはっきりと意味を結び切らないまま進んでいく点にある。感情を断定せず、余白を残したまま提示することで、“何者にもなりきれていない自分”や“どこにも属しきれない感覚”がリアルに浮かび上がる。その曖昧さは決してネガティブなものではなく、むしろ変化の直前にある不安定な状態そのもの。そうした揺らぎの中で、先述した「今 チェンジ」という言葉が差し込まれることによって、楽曲は一気に重心を前へ移す。劇的な決意表明ではなく、迷いを抱えたままでも進もうとする意志――その“半歩の前進”を肯定するようなニュアンスが、この曲の核になっているように思う。

このテーマを具体的なドラマとして立ち上げるのが、3月15日に公開されたMVである。監督を務めたのは、映画「ぼくのお日さま」や米津玄師「BOW AND ARROW」のMVを手がけた奥山大史だ。

部屋に森田芳光の「(ハル)」のポスターを飾るほど映画好きの主人公(白鳥玉季)が、家で観た岩井俊二の「リリイ・シュシュのすべて」に感化され、友人(陣野小和)を誘って映画を撮ることを決意する。同じく岩井俊二の「花とアリス」や黒沢清の「CURE」を思わせるシーンなど、名作映画のオマージュがちりばめられているのも面白い。ただ、それらは単なる引用にとどまらず、主人公の内面と響き合いながら、揺れ動く心情を映し出していく。音楽が内側の変化を示す一方で、MVはその変化を“行動”として可視化している。楽曲と映像が相互に補完し合うことで、「呼び声」が描く不安と希望の間の揺らぎが、より立体的に浮かび上がっているのだ。

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