the cabsの対バンツアー「the cabs two-man tour "MORGEN"」が、4月21日に神奈川・KT Zepp Yokohamaにてファイナルを迎えた。
昨年、多くの音楽ファンに衝撃を与えたthe cabsの再結成。約12年ぶりのステージとなった昨年の全国ツアーはチケットがプレミア化するなど、大きな反響を呼んだ。そして今回の対バンツアーでは、愛知公演にcinema staff、大阪公演にストレイテナーが出演。ファイナルとなった神奈川公演にはindigo la Endが登場し、the cabsとのツーマンライブを繰り広げた。
13年ぶりの競演、川谷が口にした夢
激しくストロボが明滅する「大停電の夜に」でスタートしたindigo la Endのライブ。「プレイバック」「24時、繰り返す」など、オルタナティブロック色の濃い楽曲が畳みかけられ、オーディエンスは圧倒される。「実験前」では各メンバーが骨太なサウンドを鳴らす中、川谷絵音(Vo, G)が鋭いギターソロで切り込み、場内を沸かせた。川谷は、the cabs解散前最後のライブが2013年1月に東京・下北沢ERAで行われたindigo la Endとのツーマンだったことに触れ、約13年ぶりの競演に感慨を述べる。さらに、高橋國光(G, Vo)とひさびさに再会したことについても言及し、「変わってなかった」と印象を明かしつつも、リハーサルでメンバーと意思疎通を図る姿に時の流れを感じたと笑いを交えながら語った。
今年2月にリリースされた新曲「カグラ」を挟みつつ、「散々大きい音を出したんですけど、今から一番大きい音を出します」という川谷の静かな前置きで始まったのは「晩生」。その言葉通り、この楽曲がダイナミクスたっぷりのアンサンブルで叩きつけられる。ギターをかき鳴らした川谷は、疲れをにじませながらも「13年ぶりに対バンするから、『あのときの自分たちを』という気持ちもあったんですけど、やっぱり今のindigoを見せたいと思ったので初披露の新曲をやります」と語り、新曲「ワールプール」で現在のバンドのモードを示した。
川谷は改めて観客に感謝を伝え、the cabsについて「本当にずっと大好きで、最初の頃からすごいバンドだと思っていて。自分たちはどちらかと言うとその背中を見ていた側だった」と語り、同世代ながら強い影響を受けてきたことを明かす。また、自分たちが活動を続けてきたからこそ今回の対バンが実現したとし、「別に売れるとか売れないとかではなく、やっぱりバンドを続けることが一番大事で、それがたぶん一番難しいこと」と、バンド活動への思いを口にした。さらに、同じく当時の下北沢ERAで対バンを重ねた仲であり、現在は活動休止中のきのこ帝国の存在にも触れ、「復活したら3組でやりたい」と川谷が思いをこぼすと、客席から大きな拍手が沸き起こる。「昔で終わらせたくないというか、ちょっとした夢があるんですよね。またいつか下北沢ERAで出会ったバンドとできることを祈りながら、自分たちも20年、25年と音楽を続けていこうと思っております」と決意を述べた川谷は、今の心境を最も表しているという「Unpublished Manuscript」を情感たっぷりに届けた。
未来への思いをにじませたthe cabs
オーディエンスの大きな拍手に迎えられ、静かに定位置へと着いたthe cabsのメンバーは、「the cabsというバンドです。よろしくお願いします」という高橋のひと言を合図に、「チャールズ・ブロンソンのために」でライブの口火を切る。シンプルな照明演出のもと「二月の兵隊」「Leland」を激しくも緻密なアンサンブルで畳みかけて観客を圧倒した。その後、バンドは軽い挨拶を挟んだのち、「わたしたちの失敗」でパフォーマンスを再開。高橋のなめらかな運指が際立つギターリフを起点に、首藤義勝(B, Vo)の太くうねるベースラインと中村一太(Dr)の手数の多いドラミングが絡み合い、客席は轟音に包み込まれた。
同い年の川谷について高橋は「一緒にあの頃のライブハウスを駆けずり回っていたので、友達というか戦友のような感覚」と明かし、「だから今日indigo la Endが出てくれたことが本当にうれしいです」と競演の喜びを口にする。また「あの頃、下北沢ERAで150人、200人規模でやっていたバンドが、KT Zepp Yokohamaという規模の会場でライブをして、たくさんの人が観に来てくれることを本当にうれしく思っています」と観客へ感謝の気持ちを伝えた。さらに東名阪を巡った今回の対バンツアーを振り返り、自分たちが活動を止めていた期間も音楽シーンを走り続けてきたゲストバンドへのリスペクトを示しつつ、「すごく大事なツアーになったと思っています」と手応えを明かす。加えて川谷がMCで語った“夢”にも触れ、「そういう未来に向かって歩き出す一歩になったのかなと思っています。生きていればそういうこともあるかもしれないし、可能性を捨てずに川谷先生と意思の疎通を取っていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします」と述べた。
「大事な歌」という紹介から、昨年の再結成ツアーで1曲目として披露されていた「anschluss」でライブは後半戦へ。すさまじい音圧のアンサンブルが展開される中、「カッコーの巣の上で」では複雑で入り組んだ間奏でミスが生じ、演奏が止まる事態に。この流れを受けて曲の冒頭からやり直す展開となり、リベンジとなった2周目では、見事に決まった演奏に歓声が沸いた。その後も「camm aven」「花のように」「地図」と、轟音の中で首藤の繊細で透き通った歌声が響く楽曲が続いた。ライブ終盤、先のMCで川谷が高橋に向けて語った「変わらない」という言葉を受け、高橋はthe cabsというバンドが内包するものも変わっていないと語り、再結成から現在までの実感を示す。「毎回死ぬかもしれないと思いながらライブをやってますし、だからこれからも『こいつ死ぬんじゃないか』とハラハラしながら観られるようなバンドであり続けると思います」と笑いながら語った。そして最後は、昨年の再結成ツアーのファイナル公演で披露された新曲をプレイし、3人はステージをあとにした。
アンコールを求める声に応え、the cabsのメンバーが再びステージに登場。高橋は「20年、30年と音楽やバンドと向き合っていく覚悟のようなものを、今日川谷くんに教えてもらいました」と語り、「今はまだその肩に手が届いていないけど、いつか届く日が来ればいいなと思っています。皆さん、よろしければこれからも見ていただけたらうれしいです」と呼びかけた。そんな未来への思いがにじむ言葉に続き、3人は「すべて叫んだ」「キェルツェの螺旋」を立て続けに披露。すさまじいギターのフィードバックノイズが会場に響き渡る中、対バンツアーに幕を下ろした。
セットリスト
「the cabs two-man tour "MORGEN"」2026年4月21日 KT Zepp Yokohama
indigo la End
01. 大停電の夜に
02. プレイバック
03. 魅せ者
04. 24時、繰り返す
05. 実験前
06. カグラ
07. 晩生
08. ワールプール
09. さざなみ様
10. Unpublished Manuscript
the cabs
01. チャールズ・ブロンソンのために
02. 二月の兵隊
03. Leland
04. わたしたちの失敗
05. 解毒される樹海
06. Your eyes have all the answer
07. anschluss
08. カッコーの巣の上で
09. camm aven
10. 花のように
11. 地図
12. 新曲(タイトル未発表)
<アンコール>
13. すべて叫んだ
14. キェルツェの螺旋
公演情報
the cabs one-man tour 2026
2026年5月21日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2026年5月28日(木)愛知県 Zepp Nagoya
2026年6月16日(火)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)


