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ZAZEN BOYS「遊び足りない」、福岡の音楽ファンを熱狂させた「CIRCLE」初日

ZAZEN BOYS
約1か月前2026年05月23日 9:06

5月16日と17日に福岡・海の中道海浜公園 野外劇場で野外音楽祭「CIRCLE '26」が開催された。この記事では初日の模様をレポートする。

「CIRCLE」は2007年に初開催され、今年で13回目となるイベント。ライブステージのCIRCLE STAGEとKOAGARI STAGEには2日間で総勢18組のアーティストが登場し、DJブースのKAKU-UCHI AnnexではEDANI(trouville)、DJ GODBIRD(STEREO RECORDS)、常盤響、角張渉(カクバリズム)といったおなじみのDJによるパフォーマンスが繰り広げられた。

D.A.N.

雲1つない快晴に恵まれた「CIRCLE」初日。CIRCLE STAGEのトップバッターを務めるD.A.N.は、ドラマチックな展開を見せる長尺曲「Daydreaming」で序盤から観客を白昼夢へといざなう。心地よい酩酊感が広がる中、D.A.N.は「SSWB」「Sundance」といったダンスナンバーを並べて独自の世界観を構築。その後届けられたキラーチューン「Ghana」ではイントロから歓声が上がり、オーディエンスは3人の演奏に身を預けるように楽しそうにステップを踏んだ。櫻木大悟(G, Vo, Syn)は「いやあ気持ちいいわ。一発目をやらせてもらえて光栄です」と笑顔で語ると、最新曲「Purple Sunshine」で美しい混沌を描いた。

思い出野郎Aチーム

大歓声を浴びてKOAGARI STAGEに現れたのは、大所帯ファンク&ソウルバンドの思い出野郎Aチーム。彼らは「お酒を飲んだり音楽を聴きながら楽しく暮らしましょう!」という高橋一(Trumpet, Vo)の言葉で「楽しく暮らそう」でごきげんにライブを開始すると、孤独な夜に寄り添うアンセム「独りの夜は」や、タイトルとは裏腹に聴く者の感情を揺さぶる人生賛歌「人生は失敗だった」といった人気ナンバーを披露した。思い出野郎の熱量高いステージに、聴衆の熱気もぐんぐんと上昇。ラストの「ダンスに間に合う」では大合唱が沸き起こり、感動的なムードがKOAGARI STAGEを包み込んだ。

kanekoayano

カネコアヤノ率いるバンド・kanekoayanoは、真夏のような日差しが照りつけるCIRCLE STAGEに登場した。サウンドチェックから観客の心をガッチリとつかんだkanekoayanoは、「セゾン」「かみつきたい」などソロ名義の楽曲を次々とプレイ。鬼気迫る4人の姿に、客席からは演奏が終わるたびに歓声と拳が上がった。kanekoayanoは中盤のパートで、バンド名義でリリースしたばかりの新曲「ブルー」「まだ問題ない」も披露。最後は「アーケード」で轟音を会場いっぱいに響かせ、深い余韻を残したままステージをあとにした。

Andr

続いてKOAGARI STAGEに現れたのは、「CIRCLE」直前に初の日本単独公演を行なった、台湾のシンガーソングライター・Andr。彼女はスローテンポの「催眠 = 愛 Hypnotize」でチルな空気を醸成したかと思うと、日本人プロデューサー・A.G.Oとコラボしたダンスナンバー「Cat & Mouse」で観客の体を揺さぶった。カタコトの日本語を交えて挨拶したAndrは「Swapping Socks」や「does your boyfriend know?」「長夜賽跑 Nights」といったタイプの異なる楽曲を次々と披露。R&Bやエレクトロニカ、オルタナティブロック、ドリームポップなど多様な音楽的ルーツを感じさせる楽曲群で日本のミュージックラバーを楽しませた。

ハンバート ハンバート

ハンバート ハンバートが海の中道海浜公園で行われる「CIRCLE」に出演するのは10年ぶり。2人は軽快なフィドルの響きが印象的な「うちのお母さん」でさわやかな風を吹かせると、「一瞬の奇跡」で会場の温度をじわじわと高め、「おなじ話」では穏やかな歌声の掛け合いで観客を魅了。加川良「教訓1」のカバーでは、命の尊さを呼びかけるように「命はひとつ 人生は1回だから 命を すてないようにネ」「青くなって しりごみなさい にげなさい かくれなさい」とじっくりと歌い上げた。ハンバート ハンバートは笑いの絶えないトークパートを挟んだのち、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の主題歌「笑ったり転んだり」や、「THE FIRST TAKE」でのパフォーマンスが話題となった「虎」などの人気曲を奏でてCIRCLE STAGEを笑顔であとにした。

フルカワミキ÷ユザーン×ナカコー

フルカワミキ÷ユザーン×ナカコーのライブは、Koji Nakamuraがリードボーカルを取るSUPERCAR「WONDER WORD」というぜいたくな選曲で幕開け。U-zhaanが叩くタブラの音色を軸としたミニマムなサウンドに、ナカコーとフルカワの気だるげな歌声を溶かし、ドリーミーな空気を生み出していく。3人はその後、フルカワミキ÷ユザーンのユニット曲「ウサギハネルヨル」、フルカワの地元・青森県八戸市の民謡「八戸小唄」、SUPERCARが1998年に発表したシングル「Sunday People」などを演奏。U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS名義の「ギンビス」では、U-zhaanとフルカワが息の合ったユーモラスなラップで会場を沸かせる。U-zhaanの「僕がリクエストした一番好きなSUPERCARの曲です」という言葉から、3人は最後に「STROBOLIGHTS」を届けてライブを締めくくった。

toe

少しずつ日が傾き始めた頃にCIRCLE STAGEに登場したtoeは、最新アルバム「NOW I SEE THE LIGHT」のリード曲「LONELINESS WILL SHINE」でライブを開始。静と動が入り混じる唯一無二のアンサンブルでそれまで「CIRCLE」に流れていた穏やかなムードを一変させる。異様な熱気が漂う中、彼らは「Long Tomorrow」「レイテストナンバー」「キアロスクーロ」といったキラーチューンを連発。ライブ巧者だからこそ成せる圧巻のステージングで、クライマックスのような盛り上がりを何度も更新していった。山㟢廣和(G)は「昨今は戦争反対なんて言うと怒られるびっくりするような世の中で。シニシズムって言うんですかね、僕はそういうの気に入らないんですよ。理想と言うか希望と言うか100%叶わなくても、それがないと始まんない気がするんですね」とメッセージを送ったのち、ラストナンバー「グッドバイ」を奏でると、充実した表情でCIRCLE STAGEをあとにした。

ジンジャー・ルート

ローファイな手触りのエレクトロナンバー「Over the Hill」で静かにライブの口火を切ったのはジンジャー・ルート。彼は「まだウォーミングアップ中」と告げると、ノスタルジックなムード漂う「Juban District」や、敬愛する音楽家の1人であり「CIRCLE」の常連でもある細野晴臣にインスパイアされた「Kaze」を歌唱した。ライブの後半には「僕はご覧の通りオタクです。次の曲は自分のためにやりたいと思います」の言葉をきっかけに、アニメ「けいおん!」の挿入歌「ふわふわ時間」のパフォーマンスも。これには観客も大喜びで、合唱やハンドクラップが起こる盛り上がりとなった。

ZAZEN BOYS

「CIRCLE」初日、CIRCLE STAGEのトリを務めるのは同イベントの常連である向井秀徳(Vo, G)率いるZAZEN BOYS。向井の「MATSURI STUDIOからやって参りました、ZAZEN BOYSです」というおなじみの挨拶から最初の一音が鳴った瞬間、会場にこの日一番のどよめきが起こる。ZAZEN BOYSは「八方美人」「安眠棒」「ブルーサンダー」「チャイコフスキーでよろしく」などの楽曲を阿吽の呼吸で演奏。抑制の効いた緻密なアンサンブル、向井の野性味あふれるボーカルで熱狂の空間を作り出した。向井がMCの途中で急にカウントを取ると「Cold Beat」の演奏へと突入。ステージ上で繰り広げられる、4人のヒリヒリするような音のやり取りに、客席からは楽しそうな歓声が上がった。

ZAZEN BOYSはライブ終盤、向井がシンセサイザーを操るダンスチューン「I Don't Wanna Be With You」「The City Dreaming」をシームレスにつなぎ、大勢のオーディエンスを踊らせる。そして向井の「この海の中道でまたお会いできることを楽しみにしております。MATSURI STUDIOからやって参りました、ZAZEN BOYSです」という言葉を合図に「乱土」「胸焼けうどんの作り方」で轟音を鳴らしてライブ本編を終えた。アンコールを求める拍手を受けて再び姿を見せたZAZEN BOYS。そして向井が「ちょっとこのー、シンセサイザーのサウンドチェックをしますんで」とつぶやくと、Van Halen「Jump」のカバーが披露された。まさかの選曲に会場が沸き立つ中、ZAZEN BOYSは最後に向井が何度も「遊び足りない」と叫ぶ「Asobi」を熱演。終始完成度の高いパフォーマンスで「CIRCLE」初日公演の幕を下ろした。

(撮影:ハラエリ、勝村祐紀、chiyori)

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