鈴木実貴子ズが5月25日に東京・渋谷CLUB QUATTROでメジャー2ndアルバム「いばら」のリリースツアーファイナルを開催した。
実録「いばら」ツアーファイナル
渋谷CLUB QUATTROは、鈴木実貴子ズにとって自身最大規模のワンマン会場。満員御礼で迎えたツアーの千秋楽では、フロア前方には椅子が並べられ、VIPチケット保有者はお土産でもある特製座布団に座ってライブを観覧できるという特典が用意された。チケットは、VIPのみならず、フロア後方の通常立ち見エリアを含めて完売となった。
ワンマンにもかかわらず、鈴木実貴子(Vo, G)とズ(Dr)は開演の直前までフロアをうろうろしていた。開演時間を過ぎ、2人はステージへと上がり、チューニングなどを済ませると、徐々に場内が暗転。開演を告げたのはズの挨拶だった。「どうも、鈴木実貴子ズです。2人は仲が悪くて。もともと夫婦なんですけど。離婚の原因の1つ、鼻をかむときにティッシュを1枚使うか、2枚使うかで揉めまして。僕は2枚派。どっち派が多いか確かめたい」と観客に問いかけると、会場では1枚派がやや多数という結果に。1枚派の実貴子は「だいたい一緒や!」と笑った。
そんなやり取りを経て、2人は「暁」でライブをスタートさせた。実貴子はステージの向かって左側でフロア正面を向いて歌い、ズはステージ右手でやや実貴子側に体を向けて座っている。これが鈴木実貴子ズのステージスタイルだ。アコースティックギターの弾き語りとドラムというシンプルな編成で、鬱屈とした感情を爆発させる「生きてしぬ」が力強く届けられると、場内には大きな拍手が巻き起こった。
MCでズは「まさかこんなに人が来るとは!」とチケットが完売した喜びをあらわにした上で、ツアーの舞台裏を明かす。「前のアルバムが『あばら』だったので今回のアルバムは『いばら』というタイトルになりましたけど、その流れで『いばらのみち』という47都道府県路上ライブツアーを組まれました。回ることで、確かに自分たちのためになっているけど、仲悪い奴らが47都道府県回ったら、より仲悪くなるよなと(笑)。宿も移動手段も僕が予約するんですけど、文句を言われ……」と苦笑い。「僕らはお酒を飲まないですけど、飲む人はいいですよね」とズが話すと、実貴子はチョコラBBを手に「お酒はおいしいですよね。さあ皆さん! かんぱーい!」と明るく呼びかけた。
そのまま「いばら」収録の「イッキ」へ。鋭いコードストロークとズの力強いドラムブレイクが一体となり、衝動的なエネルギーをはらんだ演奏が展開された。続く同アルバムの収録曲「ブルース」では、ライブにまつわる葛藤などをつづったリアルな歌詞を、実貴子が真正面から歌い上げた。「坂」では、歌詞の一部を「2026年5月、今日は渋谷CLUB QUATTROでワンマンだって」とこの日のステージに合わせて変え、続く「正々堂々、死亡」では力の限りの絶唱が響く。観客の多くは手を高く突き上げるでもなく、静かに拳を握り、噛みしめるように楽曲の世界観に浸っていた。
実貴子はMCで「ニュースを見ていて、街を歩いていて、いろんな人と関わっていて、ああ馴染めないなと思うおかしなニュース、おかしな決めごとがあって。それは全部、おかしな人が作っているのでしょう。この世界の変なところに馴染んでしまったら自分は終わり。街を歩いていてその街に馴染んでしまったら私は終わりだと思ってしまった」と語り、配信リリースしたばかりの新曲「心臓」へとつなげた。SNSでも耳にしたことのあるファンが多いであろう「狂ってるって狂ってるって 頭ぶって一体どっちが」というフレーズが生で届けられ、演奏後には喝采が会場を包んだ。
続く「ハックオフ」を経て、人気曲「かかってこいよバッドエンド」では場内がほぼ暗転する中、実貴子とズにスポットライトが当たり、2人の姿により視線が集まった。演奏後、ズは「『EIGHT-JAM』で紹介されて一躍人気になりました、『かかってこいよバッドエンド』という曲でした」と改めて紹介した。また「心臓」のサビの歌詞にちなんだズのSNS企画「狂ってチャレンジ」が話題にのぼった。海に落ちたり、いかだ渡しで水に落ちたりする動画が大きな反響を呼んだことを説明したズは、「夏に出す新曲のサビには『ぐるぐる回って ぐるぐる回され』って歌詞があるんですけど……嫌な予感がします(笑)」と、新たなSNS施策を前に戦々恐々とした様子を見せた。
笑いが収まると、実貴子が「常にカッコよくあれたらいい、常にブレない自分がいてほしいと思うけど、それは一種、頭を狂わさなければ保てないなというのは感じていて」と話し始め、「私は真面目で、普通でつまらない人で……」と続けたところで、やや笑いが起き、ズが「いいMCしてるのはわかるけど、1回止めさせて!」と割り込む。「よく消極的な人のことを“おだやかな人”と言い換えたりしますよね? 昨日、負けず嫌いの人の話をしていて、負けず嫌いをいい言葉だと捉えてるんですけど、この人(実貴子)は“プライドの高い努力家”と言い換えまして(笑)。なんでそんな言い換えする必要あるの?と思ったんですけどね、そんな“真面目”なあなたのMCですね」と述べ、実貴子にバトンタッチ。実貴子は「そう。私は真面目なんですけど、真面目だからこそブレるし、常にカッコよくなんて無理だなって感じて。ブレて形の変わっていく自分も人だから、それはそれでカッコ悪いけど、悪いことではないし、修正してカッコよくなれるといいなって。無理に自分を曲げない、変わらせない努力をしないとなって」と述べ、未発表の新曲「へいべべ」を披露した。
「止まるな危険」でさわやかなメロディとともに力強いメッセージを届けたあと、ズが「ワンマンで信じられないと思うんですけど、次の曲で最後です」と告げた。ここまでで約1時間。ラストナンバー「ががが」では実貴子が鋭くギターを刻みながら声を枯らすほどの力強さで歌い、ズも体を揺らしながら力強くドラムを叩いた。演奏を終えた2人は深く頭を下げたあと、ステージを去ることなく、「はい、じゃあアンコールやります!」とおなじみの“セルフアンコール”へと突入した。
アンコールでは、2027年2月10日に東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブ「とりもどせ、俺のハードコア」を開催することを発表。大きな歓声が沸き起こると、ズは「これ(の結果次第)でホリプロとクラウンをクビになるかもわからない! チケット買ってください!」と呼びかけた。発表を終えると、実貴子は前傾姿勢になってズの合図を待ち、アンコールナンバー「ファッキンミュージック」の演奏に移る。真っ赤なライトがステージを染める中、疾走感あるビートに乗せて実貴子が熱唱。フロアの静かな熱狂は大きな歓声に変わり、熱い余韻を残して、ツアーファイナルは幕を閉じた。
セットリスト
鈴木実貴子ズ「いばら」ツアーファイナル 2026年5月25日 渋谷CLUB QUATTRO
01. 暁
02. 生きてしぬ
03. イッキ
04. ブルース
05. 坂
06. 正々堂々、死亡
07. 心臓
08. ハックオフ
09. かかってこいよバッドエンド
10. へいべべ
11. 止まるな危険
12. ががが
<アンコール>
13. ファッキンミュージック
公演情報
鈴木実貴子ズ 47都道府県路上ライブツアー「いばらのみち」(※終了分は割愛)
2026年5月28日(木)愛知県
2026年5月29日(金)岐阜県
2026年6月3日(水)宮城県
2026年6月4日(木)岩手県
2026年6月5日(金)青森県
2026年6月6日(土)秋田県
2026年6月7日(日)山形県
2026年6月11日(木)神奈川県
2026年6月12日(金)東京都
2026年6月13日(土)福島県(※振替)
※ライブ場所など詳細は当日発表
鈴木実貴子ズ 自主企画イベント「心臓の騒音」
2026年7月30日(木)東京都 新代田FEVER
<出演者>
鈴木実貴子ズ / 9mm Parabellum Bullet
2026年12月3日(木)東京都 新代田FEVER
<出演者>
鈴木実貴子ズ / フラワーカンパニーズ
とりもどせ、俺のハードコア
2027年2月10日(水)東京都 LIQUIDROOM


