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「歌姫失格」が示す初音ミクという存在の特異性 / Aぇ! groupは不ぞろいで“でこぼこ”なのが魅力

再生数急上昇ソング定点観測
11分前2026年05月29日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで5月15日から5月21日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、7位に西野カナ feat. NiziUの「LOVE BEAT」が登場した。5月15日のMV公開から2週間で1600万再生を達成し、破竹の勢いを見せている。

22位には初星学園の「ガラクタロード」がランクインした。これは「アイドルマスター」シリーズの最新作「学園アイドルマスター」の2周年を記念したH.I.F編のテーマ曲で、クレイアニメ調のかわいらしいMVも話題を呼んでいる。

48位に登場したのはsyudouの「あーあ」。この曲は川谷絵音がアレンジおよびサウンドプロデュースを務めており、ジャケットとMVのイラストは「星屑の王子様」「ヒマチの嬢王」で知られる茅原クレセが担当。実力派クリエイター陣が集結した1曲となっている。

夢のコラボや周年を記念して生まれた作品など、話題性の高い楽曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。

ピノキオピー「歌姫失格 feat. 初音ミク」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場8位

ピノキオピーの「歌姫失格 feat. 初音ミク」は、「みなさん / 突然ですが / 大事なお知らせ / 初音ミクを引退します」という衝撃的なひと言から始まる、初音ミクという存在そのものを題材にした自己言及的な楽曲だ。

二代目初音ミクを選ぶオーディションが開催されるものの、「感情あるから失格です」「キャラ定まってて失格です」など、候補者たちは次々と“失格”を言い渡されていく、というのがこの曲のストーリー。そこから浮かび上がるのは、特定の人格や感情に固定されないからこそ、多様な創作や物語を受け止められる初音ミクという存在の“特異性”だ。人間らしさを失格と切り捨てる構造には、代替不可能な歌姫としての初音ミクへの皮肉交じりの愛情がにじむ。

MVはオーディション番組風の演出で、楽曲の世界観を巧みに視覚化している。終盤に向かうにつれて、審査する側とされる側の立場が曖昧になっていく構成も印象的だ。

Aぇ! group「でこぼこライフ」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場9位

Aぇ! groupが初主演する映画「おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?」の主題歌「でこぼこライフ」のMVが、今週9位に登場した。「急がば回って、ザッツ・オーライ♡」「これでいいのさ!」といった圧倒的にポジティブなメッセージを、勢いのあるバンドサウンドに乗せて届ける応援歌。Aぇ! groupらしい明るさと人懐っこさが全開で、怒涛の展開で駆け抜けていく構成も楽しい。不器用でも遠回りでも、自分らしく進めばいいのだと背中を押してくれるこの曲は、聴いているうちに自然と気持ちが前向きになっていく。

MVは“Aぇ! HOTEL”を舞台にしたコミカルな群像劇。ホテルマンに扮したメンバーが、次々と巻き起こる騒動に振り回されながらも、絶妙なチームワークを見せていく。不ぞろいな個性がぶつかり合いながら成立していく構図が、“でこぼこ”というテーマと重なり、彼らのにぎやかな魅力をより際立たせている。

櫻坂46「Lonesome rabbit」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場16位

櫻坂46の「Lonesome rabbit」は、6月10日にリリースされる坂道グループ初の両A面シングル「Lonesome rabbit / What’s “KAZOKU”?」の表題曲の1つ。センターを務めるのは、二期生の森田ひかるだ。

ロック色の強いサウンドと鋭いビートが特徴的な1曲で、弱さや孤独を抱えながらも前へ進もうとする感情を描き出している。「孤独は楽だけど / 誰もいないと不安になる」といった歌詞には揺れる心情がにじみ、「いつかきっと空の下を走り出す」というフレーズからは、迷いを抱えたまま進もうとする意志が感じられる。

MVの監督は、13thシングル「Unhappy birthday構文」を手がけたMasaki Watanabe(maxilla)が担当。光と影を生かした演出や、緩急の効いたカメラワークも見どころで、激しさと繊細さが同居した難易度の高いダンスパフォーマンスが、楽曲の葛藤や焦燥感を鮮烈に映し出している。

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