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ano、ストリングス交えた初ホールツアー完走「覚悟が違うんだよ。だから君らの前に⽴ち続ける」

ano(撮影:横山マサト)
7分前2026年06月04日 9:04

anoが5月31日に、初のホールツアー「ano Hall Tour 2026 DUAL DINER」の大阪・グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)公演を開催した。

3月7日の神奈川・厚木市文化会館を皮切りに全9公演が行われ、anoにとって過去最長となったこのツアー。9月4日には東京・東京ガーデンシアターでの追加公演が控えているものの、当初はこの大阪公演がツアーファイナルとしてアナウンスされており、会場は満員のオーディエンスの熱気に包まれていた。

会場はこれまでのツアーとは明らかに異なる雰囲気

ツアータイトル「DUAL DINER」にちなみ、ステージ中央には花やキャンドルが飾られた晩餐会を思わせるテーブルが鎮座。これまでのツアーとは明らかに異なる、妖しくもコンセプチュアルな雰囲気が漂う。そのテーブルを囲むように、TAKU INOUE(G)、真部脩一(B)、西浦謙助(Dr)、永山ひろなお(Key)というおなじみのバンドメンバーが配置され、さらに今回のツアーでは初の試みとして、佐藤帆乃佳(Vn)、大嶋世菜(Va)、渡邉雅弦(Vc)のストリングス隊が全曲に参加。ホール会場ならではの格調の高さがサウンドに加わった。

このツアーで1曲目に選ばれたのは、昨年9月の東京・日本武道館公演ではラストを飾った「Past die Future」。ストリングスの加わった分厚いサウンドの中で、anoはエレキギターをかき鳴らし、激情をぶつけるような絶叫混じりの歌声を響かせて一気に観客を引き込む。曲が終わるとanoはギターを置き、「ちゅ、多様性。」「スマイルあげない」といったポップチューンを連発。ストリングスのアレンジが効いてゴージャスなサウンドに変貌を遂げた楽曲が観客を沸かせた。「涙くん、今日もおはようっ」では観客が腕を振りながらシンガロング。公式グッズであるバングルライトの青い光が客席で一斉に揺れ、会場全体が一体感に包まれた。

前日には大阪・海とのふれあい広場で開催された野外フェス「METROCK 2026」にも出演していたano。このライブを振り返りつつ「正直、今日のことは考えずに出し惜しみせずやりきったんですけど、今日はさらにそれを上回るライブをしていこうと思います」と力強く宣言し、その言葉通り、ここからさらにアグレッシブなパフォーマンスを展開していく。

ほぼノイズと化したカオティックな「愛晩餐」へ

ステージ上で何本ものかがり火が揺らめく中、ツアー期間中にリリースされ、ツアー初日の神奈川公演で初披露された最新曲「愛晩餐」へ。鈴木福とあのがW主演するドラマ「惡の華」の主題歌であるこの曲では、ドラマの世界観をそのままステージで具現化したような、妖しくも激しいステージに。ほぼノイズと化したカオティックなCメロでは、anoの「わかってたまるか!」という絶叫が会場にこだまし、オーディエンスを圧倒した。

「できるよ」という歌詞で祈りを捧げるようにロングトーンを響かせた「AIDA」を経て、「ハッピーラッキーチャッピー」ではアコースティックギターをかき鳴らし、「この世界に二人だけ」ではエレキギターでソロを弾き、多彩なアプローチで自身の世界観を構築し続けるano。彼女の本質的な面を曲にした「普変」は、ストリングスが重なることによってよりドラマチックな楽曲に進化を遂げていた。

まだライブは中盤にもかかわらず、続く「KILL LOVE」では早くも全力を出し切るような勢いで絶唱。歌い終えた彼女が「よく『細っこいのによくそんなにパワフルに歌えるね』って言われるんですけど、まあ、なめんなよって話です」と口にすると、その自信あふれる言葉に客席から大きな歓声が上がった。

「座って観てください」からの「座ってないで立ってください」

ホール公演ということで「せっかく椅子があるので座って観てください」と呼びかけたanoは、バラード「鯨の骨」をしっとりと歌唱。曲が終わるとバンドメンバーの4人が一旦退場し、暗いステージでスポットライトを浴びたanoは静かに語り始めた。

「何もなくて暇で暇でしょうがなくて、仕事もあんまりないし、ずっとこんなふうに暗かったんです。部屋が。世界が。そこでほんのちっちゃく音楽だけが光ってて。そんな部屋で作った曲です」

そう紹介して披露されたのは、anoのアコースティックギターとストリングスのみの編成による「SWEETSIDE SUICIDE」。少ない音数ゆえに歌声が一層際立ち、静まり返った客席に沁み入るような演奏となった。続く「愛してる、なんてね。」も、原曲のポップな打ち込みサウンドから一転、アコギとストリングス、そして永山のピアノによるアコースティックセットで演奏され、原曲にもともと潜んでいた切なさが何倍にも増幅されて観客に届けられた。

先ほど「座って観てください」と促したばかりのanoだが、「まあ、座ってないで立ってください」と観客を立ち上がらせ、ここからライブはハイテンションな後半戦へ。「君に味方が1人もいなくても、批判が何万人から飛び交おうと、悪者だろうと嫌われ者だろうと、僕はステージに立ってお前らを迎えに来た!」。そんな強烈なアジテーションから始まったのは、「愛晩餐」と同じくこのツアーでライブ初披露となった「ピカレスクヒーロー」だ。anoは「かかってこい!」と何度も煽りつつ、迫力あるグロウルを響かせ、観客と一斉にヘッドバンギングを繰り広げる。同じく随所にグロウルのパートが盛り込まれた「骨バキ☆ゆうぐれダイアリー」へと続き、そのまま「Bubble Me Face」へと突入すると、anoらしいポップな混沌がさらに加速。衝動をすべて解き放つように、anoは飛び跳ねながら歌い続けた。

機械的なノイズが鳴り続ける中で「この世の中にはいろんな正義があるけど、このステージ、この絶対聖域を守るために、世論も、正論もNOだ」と吐き捨てるようにanoが言い放ち、「絶絶絶絶対聖域」がスタート。床から勢いよくスモークが噴射され、真っ白に染まったステージで、anoは「君を衛るに正論はNO」とがなり立てるように力強く歌い上げた。

「もし僕があのちゃんじゃなかったとしたら、きっとあのちゃんのファンになってると思う」

そして曲が終わると、anoは「何をしゃべるかがまとまってなくて、意味わかんなかったらすいません」と断りつつ、静まり返る客席に向けて自身の胸の内をゆっくりと語り始めた。

「ここに来るまでいろんなことあったので、日頃から応援してくれてるみんなから、時には『自分の力は無力なんじゃないか』とか『私なんかいなくても』って言葉が飛んでくるんです。でも、さっきの曲でも歌ったように『君がいなきゃ意味がない全部 君じゃなきゃ嫌だ』と僕は思ってます。今日まぎれなく、ここにいる1人でもいなかったらこの景色は見れなかったと思う」

そして、生きづらさを抱える人たち向けて、anoは力強い肯定の言葉を投げかける。

「どれだけまっすぐ生きても『一生懸命がんばったことは誰も見てくれない』って思うことはあると思う。ミスばっか、間違えばっかで叱られて。そんな世の中で、嘘くさく聞こえるような言葉ですけど、あえて言いたいです。僕は見てます。僕は君がどんな思いでいるか、日々見てます。それがただの無責任な言葉にならないように、僕は、どんだけ嫌われようが、悪人だと思われようが、それでも絶対的な存在でいる自信があります。そんな絶対な人が言う言葉にはめちゃくちゃ価値があります。だからあなたは、がんばってるし素晴らしいんです。何より、君が君を見ている。ちゃんと自分ががんばっていることを、君が認めてあげてください。絶対いつかそんな自分に救われることがあります。大丈夫です」

「もし僕があのちゃんじゃなかったとしたら、きっとあのちゃんのファンになってると思うんです。そちらの席で僕を観ていたと思う。『こんなカッケエやついねえよ』って。だからこうやって今日来てくれたみんなはカッコいいなと思う。周りからどんな声があろうが、気にせずに『私はこれが好き』『俺はこれが好き』を貫けるあなたたちは、めちゃくちゃカッコいいです」

そう言ってファンを讃えるうちに、感情が高ぶってきたano。最初は言葉を確かめるようにゆっくりと話していたが、次第に言葉は熱を帯びていった。

「僕はずーっと、このステージに立ってきたから! 覚悟が違うんだよ。だから君らの前に⽴ち続ける。そして、そんな僕を好きなあなたは本当に最⾼です! ありがとう!」

ありったけの思いを客席へぶつけたanoに、静まり返っていた会場から割れんばかりの拍手喝采が送られた。そしてその熱狂の中で「YOU&愛Heaven」へ。anoは会場中の人々を抱きしめるように両手を広げ、「あなたの絶対になってあげるね これがぼくの使命だからっ!」と力強く歌い上げた。

そして最後にanoは「大丈夫だなんて思えない世界ですが、僕が今夜だけはあなたに、大丈夫な呪いをかけます」とつぶやいて「ミッドナイト全部大丈夫」を歌唱。曲終盤のブレイクで「化物上等だ。全部、全部大丈夫になるよ」と、目の前の満員の観客に向けてほほえみながら語りかけた。

セットリスト

「ano Hall Tour 2026 DUAL DINER」2026年5月31日 グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)

  1. Past die Future
  2. ちゅ、多様性。
  3. スマイルあげない
  4. 涙くん、今日もおはようっ
  5. 愛晩餐
  6. AIDA
  7. ハッピーラッキーチャッピー
  8. この世界に二人だけ
  9. 普変
  10. KILL LOVE
  11. 鯨の骨
  12. SWEETSIDE SUICIDE
  13. 愛してる、なんてね。(unplugged)
  14. ピカレスクヒーロー
  15. 骨バキ☆ゆうぐれダイアリー
  16. Bubble Me Face
  17. 絶絶絶絶対聖域
  18. YOU&愛Heaven
  19. ミッドナイト全部大丈夫

追加公演情報

「ano Hall Tour 2026 DUAL DINER」追加公演

2026年9月4日(金)東京都 東京ガーデンシアター

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