クリープハイプのライブハウスツアー「あのころ一番熱いのは君の口の中だった」が6月11日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)でファイナルを迎えた。
1カ月で全13公演を駆け抜けたライブハウスツアー
クリープハイプがライブハウスツアーを行うのは「感情なんかぶっ飛ばして」以来約3年ぶり。今回は5月11日と12日の神奈川・KT Zepp Yokohama公演から、6月10日と11日の東京・Zepp Haneda(TOKYO)公演まで全国8カ所13公演に臨んだ。
Zepp Haneda(TOKYO)公演のチケットはソールドアウト。フロアにあふれ返るほどのファンが開演のときを待つ。歓声に包まれながら、尾崎世界観(Vo, G)、長谷川カオナシ(B)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)はライト1灯だけが小さく光る仄暗いステージに登場。尾崎は、SNSで飛び交うライブハウスのマナー論争に言及しながら「ライブハウスはある程度ぐちゃぐちゃになるところ。お互いを思いやって、譲り合っていきましょう。クリープハイプが好きで来てるわけでしょ? じゃあまずは、曲とか演奏とか、目の前の愛しいことに目を向けましょう」と投げかけた。ツアーファイナルの幕開けを飾ったのは、ワンマンでもフェスでもパフォーマンスされてきたライブの大定番「HE IS MINE」。グルーヴィなベースラインが印象的な重厚感のあるサウンドに乗せ、ファンは桁違いの声量で大合唱を巻き起こす。ツアータイトルに関連した「一番熱いのは君の口の中なんだな」という歌詞がある「サウジアラビア」でも、アッパーなビートに合わせてオーディエンスが手を上げ、会場がひとつになった。「生レバ」からはクリープハイプのダークサイドが炸裂。ライトが激しく明滅する中、彼らは「キケンナアソビ」「は?」で鬼気迫るムードへと引き込んでいった。
明日からもクリープハイプを続けるということ
尾崎は「序盤から世界観を出しすぎたかな?」と会場の反応をうかがう。そして、この日はツアーファイナルにありがちな新たな発表がないことを明かしたのち、「1つ発表できるとしたら、明日からも当たり前に、普通にクリープハイプを続けるということです。明日からも好きでいてもらえるようなライブをします」と観客の前で宣言した。演奏に戻ると、メンバーは「一生に一度愛してるよ」「もうおしまいだよさようなら」「ラブホテル」「オレンジ」を通じてさまざまな恋愛模様を描き出した。
ツアー期間中の5月27日に新作EP「仮のまま定着したような愛情で」をリリースしたクリープハイプ。尾崎は新曲を制作しているときの胸の高鳴りと、完成後に曲に慣れていく感覚が恋愛に似ていると持論を展開する。その後、披露されたのはEPの収録曲「タヌキネイリ」「生きてみます」。「タヌキネイリ」ではポップなアンサンブルが場内に高揚感を生み出し、「生きてみます」では尾崎の温かな歌声を引き立てるように静かに音が紡がれた。
クリープハイプだけの味を提供できるように
深い余韻に包まれるフロアで、カオナシはツアーの移動中に観たYouTubeチャンネルについて話し始める。「ラーメン店の店主が飲食店にアドバイスしてV字回復するシリーズだったんですね。その社長が言っていたのが、TTP=徹底的にパクること、1つを尖らせて勝負すること、属人性を減らすこと。大変感銘を受けまして、自分たちにも生かせないかなと思ったんです。スタジアム級バンドを徹底的にパクる。『HE IS MINE』だけをやる。ベースのマニュアルを作ってアルバイトだけで回せるようにする……そんなバンドは観たくないですよね?」と言い、「クリープハイプだけの味を提供できるようにがんばります」と誓うとファンからエールのような拍手が起こった。
「身も蓋もない水槽」「テレビサイズ(TV Size 2'30)」というノイジーなロックチューンを叩きつけ、アイロニックな「社会の窓」「社会の窓と同じ構成」でもフロアの熱気を上昇させるクリープハイプ。カオナシがメインで歌う「月の逆襲」、刺激的なサマーチューン「エロ」でも勢いを緩めることなくクライマックスへと突き進んでいく。尾崎の力強いギターストロークからインディーズ期の「欠伸」に移ると、哀愁のあるアンサンブルに「さよなら ばいばい じゃあね またね」というフレーズが切なく響いた。
また元気に会える日がくるといいな
ライブは残すところあと1曲。小泉は「明日からもよろしくお願いします。またこうして元気に会える日がくるといいなと思ってます」と言葉を送る。小川は名残惜しそうな表情で「終わりたくないな」と尾崎に耳打ち。カオナシは「ツアーが始まったときから終わるのが嫌だなと思ってました。いろんなステージに立つので、また絶対に会いましょう」とファンとの再会を約束した。尾崎は「こんなに短い期間でツアーを回ったことがなかったから、いろんなことを思いました。ここですぐ言葉にはならないけれど、何かにして出すので待っていてください。言いたいことはいっぱいあるけど、最後、曲に込めてしっかりやります」と語った。4人のメッセージを経て届けられたのは「校庭の隅に二人、風が吹いて今なら言えるかな」。ノスタルジックなムードを演出し、穏やかな幕引きを迎えた。深々と頭を下げて感謝を述べたクリープハイプは、充実した表情でステージをあとにした。
クリープハイプは9月8日の“クリープハイプの日”に北海道・札幌文化芸術劇場hitaruで単独公演「クリープハイプの日 2026 北海道」を行う。
セットリスト
「クリープハイプ ライブハウスツアー2026『あのころ一番熱いのは君の口の中だった』」2026年6月11日 Zepp Haneda(TOKYO)
01. HE IS MINE
02. サウジアラビア
03. 生レバ
04. キケンナアソビ
05. は?
06. 最夜
07. グレーマンのせいにする
08. 一生に一度愛してるよ
09. もうおしまいだよさようなら
10. ラブホテル
11. オレンジ
12. タヌキネイリ
13. 僕は君の答えになりたいな
14. 生きてみます
15. 私を束ねて
16. 身も蓋もない水槽
17. テレビサイズ(TV Size 2'30)
18. 社会の窓
19. 社会の窓と同じ構成
20. 月の逆襲
21. エロ
22. 欠伸
23. 校庭の隅に二人、風が吹いて今なら言えるかな
公演情報
クリープハイプの日 2026 北海道
2026年9月8日(火)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru


