SHISHAMOが昨日6月13日と本日14日の2日間にわたって結成の地・神奈川県川崎市にあるUvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(等々力陸上競技場)でラストライブ「SHISHAMO THE FINAL!!! ~Thanks for everything~」を開催。結成から約16年、CDデビューから約13年で活動に幕を下ろした。
SHISHAMOの歩み
川崎市立川崎総合科学高等学校を卒業と同時に本格的にバンド活動を始め、2013年11月に1stアルバム「SHISHAMO」でCDデビューした3ピースロックバンド・SHISHAMO。彼女たちは2017年12月に「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たし、CDデビュー10周年を迎えた2023年には東京・日本武道館や大阪・大阪城ホール、神奈川・ぴあアリーナMMでのワンマンライブを成功に収め、その後も数多くのフェスに出演し、台湾や韓国での海外公演も行った。
2025年9月、SHISHAMOは東京・Zepp Haneda(TOKYO)公演「SHISHAMO ワンマンライブ2025『残暑お見舞い申し上げます!!!』」で活動を終えることを発表し、ファンのみならずロックシーン全体に衝撃を与えた。今年2月にはラストツアー「SHISHAMO ファイナルツアー2026『さよならボヤージュ!!!』」をスタートさせ、一部公演は宮崎朝子(G, Vo)の体調不良で中止となったものの、4月まで全国各地を回った。
何度も願ってきた場所で
SHISHAMOが活動を締めくくる舞台として選んだのはUvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(等々力陸上競技場)。3人はこの会場で2018年7月、2020年8月に公演を行う予定だったものの、8年前は台風接近、6年前は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止を余儀なくされた。SHISHAMOはラストライブの発表時に「何度も願ってきたあの場所でのライブをみんなと叶えたい。そして最高に楽しいSHISHAMOの最期の日にしたい。一緒に泣いて、笑って、最高の思い出を作りましょう!!!」とファンに向けてメッセージを発表。同会場での悲願の初ワンマンでもある「SHISHAMO THE FINAL!!! ~Thanks for everything~」の初日を「THANKS DAY」、2日目を「GOODBYE DAY」と名付けて異なる内容のステージを展開し、2日間で約7万人を動員した。この記事では「GOODBYE DAY」公演の模様をレポートする。
フロンターレのMCも盛り上げる
湿度は高いものの、時折涼しい風が吹き抜けるU等々力。会場の周辺には、川崎のソウルフードとして有名な元祖ニュータンタンメン本舗、SHISHAMOファンにもなじみ深いとんかつ華家などSHISHAMOゆかりの店や彼女たちが応援するJリーグのチーム・川崎フロンターレ戦でおなじみの全15店舗がずらりと並び、開演前からSHISHAMOファンでにぎわっていた。U等々力は川崎フロンターレのホームスタジアム。開演10分前には同チームの“スタジアムMC”である木部ショータがハツラツとしたナレーションで客席を盛り上げた。
自転車でスタジアムを1周
宮崎朝子(G, Vo)が敬愛するTheピーズのBGMが鳴り止むと、宮崎と松岡彩(B)がベッドから起き上がり身支度を整えるオープニングムービーが巨大スクリーンでスタート。宮崎と松岡は多摩川エリアで真っ赤な2人乗り自転車で移動して、U等々力を目指す。映像はいつの間にか中継に切り替わり、宮崎と松岡が2人乗り自転車でスタジアムを1周する姿が映し出された。ステージにたどり着くと、約3万5000人の観客がメンバーへの感謝を伝えるサプライズとして、バンドのシンボルカラーである赤と白のシートを掲げてSHISHAMOのロゴを作り出す。その光景を見た2人は感激した表情で頬に手を当てた。
休養中の吉川美冴貴(Dr)に代わってサポートを務める歌川菜穂(el tempo / ex. 赤い公園、THE 2)と合流した宮崎と松岡は、夏フェスに行くカップルの心情を描く「君と夏フェス」でラストライブをスタートさせ、野外のスタジアムにぴったりな爽快感あふれるアンサンブルを川崎の空に響かせた。さらに、タイトなビートで突き進む「夏恋注意報」やキレのあるカッティングギターが映える「生きるガール」などこれまでのキャリアを横断するように新旧のアッパーチューンを畳みかけ、場内に熱気を呼び込んだ。
曇りもよくない?
宮崎は「きれいな曇り……! でも逆によくない?」と空を見上げ、「本日も無事に開催できました。こうして天気がもって、皆さんの日頃の行いがいいおかげです」と拳を上げて喜びを表現。松岡は「はなまるです!」と反応し、その後もラストライブであることを忘れさせるほど、2人は和やかなトークを繰り広げた。
ミステリアスな世界観が漂う「ハリボテ」からはミドルテンポのナンバーを中心としたじっくり聴かせるセクションへ。松岡が家族を思いながら作詞した「はなればなれでも」で温もりに満ちたムードを演出したかと思えば、「きっとあの漫画のせい」では“君”との関係に悩む複雑な感情を表現し、SHISHAMOがつづる多彩な歌詞の世界観に観客はどっぷり浸かった。
失恋バラードや卒業ソングも
卒業ソング「水色の日々」で場内をノスタルジックな空気に染めたあと、アコースティックギターの音色が響く「夏の恋人」や、躍動するベースラインが耳に残る「夢で逢う」といったバンドの真骨頂とも言える失恋バラードを続け、オーディエンスの心を揺さぶるSHISHAMO。彼女たちにとって最後の新曲であり、ラブソングの集大成だという「運命と呼んでもいいですか」では、徐々に熱を帯びていくバンドサウンドと宮崎の狂おしい歌声が重なり、日没間近の空に溶けていった。
宮崎が「ここから終盤戦に入ります」と宣言すると、客席のそこかしこから「えー!」という声が上がる。ラストライブの終わりが刻一刻と近づく中、「狙うは君のど真ん中」「最高速度」でSHISHAMOが見せたのは攻めの姿勢。炎が噴き上がり、ライトが激しく明滅する舞台から、ヘビーかつアグレッシブなサウンドが放たれた。勢いそのままにライブ定番曲「タオル」に移ると、観客もタオルを振り回してスタジアムがひとつに。続く「OH!」では「ずっと続くわけじゃないんだよ」「もう二度と帰ってくることのない今を」「今は今しかないんだから」という歌詞が印象的に響き、SHISHAMOの終わりを否が応でも意識させた。本編のラストはファンから長く愛されてきた「恋する」。演奏時にスクリーンには、SHISHAMOの活動を振り返るライブ映像が流れた。
歌川からSHISHAMOに贈る言葉
すっかり日が落ちた頃、アンコールでステージに戻ってきたSHISHAMOはファンとの別れを惜しむように「またね」を披露。宮崎は「ここ1年半くらい、この人がいなければSHISHAMOは走り続けることができませんでした」と歌川を改めて紹介する。歌川が「SHISHAMOの存在と楽曲に日々元気をもらっていました。13年間パワーを与え続けるのはホントにすごいことだと思っていて。自分もバンドをやってたから思うんですけど、同じ時代を生きたバンドマンとして力を貸すことができたのがうれしかったです。大好き!」とメッセージを送ると、松岡は目を真っ赤にしながら涙を必死にこらえていた。宮崎は「私も大好き!」と返事し、「みんなに笑顔で元気に楽しく過ごしてもらえたらと思ってます。みんな、お元気で」と客席に一礼した。その後、メンバーは「メトロ」で失恋を断ち切って前へ進もうとする心情を繊細かつ力強いパフォーマンスで表現し、舞台袖へと捌けていった。
吉川美冴貴、復活
ファンがスマートフォンのライトを点灯させ、熱烈な声を上げると、ダブルアンコールに突入した。ここで、休養していた吉川がSHISHAMOのタオルを掲げながら姿を現してドラムセットの前へ。宮崎、松岡、吉川ステージにそろうと、スタジアムは大歓声に沸き立った。3人はSHISHAMOにとって最後のテレビ出演となったテレビ朝日系「ミュージックステーション」でもパフォーマンスした「明日も」「明日はない」で笑顔を見せながら、フィナーレへと突き進んでいった。
宮崎、松岡、吉川が最後に伝えたかった言葉
最後のMCでは3人が胸の内を語る。「このたびはご心配をおかけしました」と切り出した吉川は「大好きだったドラムが叩けなくなったり、音楽が聴けなくなったり、ステージに立つことを完全にあきらめたこともあったんですけど、最後に皆さんにお会いして、『ありがとう』と『さよなら』を直接伝えたくて、今日まで練習してきました。こうやって2人とステージに立てて、めちゃめちゃうれしいですし、いろんなことが報われました」と語る。さらに、「軽音部時代から振り返ると、ホントにずっとずっと幸せでした。ダメだと思うこともたくさんあったけど、2人と他愛もない話をした時間とか、皆さんが見せてくれた景色とか、一瞬一瞬が宝物になりました。何年も何十年もSHISHAMOの音楽はあり続けます。宝物を力に変えて、明日から生きていきます」と胸を張った。
2014年にSHISHAMOに加入した松岡は「高校生のときにSHISHAMOを聴いていた人間ですから、すごくラッキーな女だなと思っていて。あれよあれよという間に仲間として入れてもらって、3人で音楽を鳴らし続けられて、こんな幸せなことはないなと思っています。『自分がここにいていいのかな』と不安に思うこともありましたが、みんなが肯定してくれたから続けてこれました。いただいたいろんな縁は宝物だと思ってます。『自分の中に残っていくから、これからも大丈夫だ』って胸を張って言えます。私にとっては12年間、ありがとうございました」と涙を我慢しながら自身の思いを言葉にした。
宮崎は「SHISHAMOというバンドがホントに大好きです。このバンドのためならなんでもできるって心の底から思います。だけど、こんなふうに思える何かに、この先も出会えると思ってます。寂しく聞こえたらごめんね。人生は意外と希望ばかりだなと思っているんですよ。何をやっても続かなくて根性なしの私が、自分のすべてを注げるものに出会えたんだから。SHISHAMOとは今日でお別れだけど、また何かに熱中して生きていきたいと思ってます。前向きでいられるのは、SHISHAMOのおかげです。SHISHAMOという生命体で泳ぎ続けられて、面白い13年間でした。SHISHAMOを愛してくれてホントにありがとうございました」とあふれんばかりの感謝を伝えた。3人が話し終えたあと、オーディエンスからは拍手が起こり、しばらく鳴り止まなかった。
正真正銘のラストソングは
SHISHAMOの正真正銘のラストは、吉川が作詞したSHISHAMOの代表曲の1つ「僕に彼女ができたんだ」。3人は普段と変わらぬ姿で軽快なアンサンブルを奏でると、3万5000人のハンドクラップが弾けた。活動終了の発表時に「いつか活動を終えるその時まで、SHISHAMOがSHISHAMOとしてあるべき姿であり続けることを全うする」とコメントしていたSHISHAMOはその言葉通り、最後の最後まで凛々しく、ロックバンドとしての生き様をステージに刻みつけた。並んで手をつないだ宮崎、松岡、吉川は客席に何度も何度も感謝を伝えたあと、ステージの真ん中で熱い抱擁を交わした。
3人がステージを去ったあと、夜空にはドローンの演出で「SHISHAMO THE FINAL!!!」「Thanks for everything」の文字とSHISHAMOのロゴが浮かび上がった。
セットリスト
「SHISHAMO THE FINAL!!! ~Thanks for everything~ GOODBYE DAY」2026年6月14日 Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(等々力陸上競技場)
01. 君と夏フェス
02. 夏恋注意報
03. 好き好き!
04. 生きるガール
05. 量産型彼氏
06. ハリボテ
07. はなればなれでも
08. 真夜中、リビング、電気を消して。
09. きっとあの漫画のせい
10. 水色の日々
11. 夏の恋人
12. ハッピーエンド
13. 夢で逢う
14. 運命と呼んでもいいですか
15. 狙うは君のど真ん中
16. 最高速度
17. タオル
18. OH!
19. 恋する
<アンコール>
20. またね
21. 恋じゃなかったら
22. メトロ
<ダブルアンコール>
23. 明日も
24. 明日はない
25. 僕に彼女ができたんだ


