青葉市子の弾き語りコンサート「文月の衣紋に綴る熱帯魚」が7月2日に東京・NHKホールで開催された。
2026年2月にデビュー15周年を迎え、2月から5月にかけてアジア、ヨーロッパと北アメリカの各地を回る海外ツアー「Across The Oceans Tour 2026」を行っていた青葉。ひさびさとなる日本での弾き語り単独公演とあって、1階から3階まで約3600席が埋め尽くされた。
紗幕がかかったステージの中央には、スタンドライト、ライティングビューロー、植物、ギター、キーボードが置かれ、青葉の小部屋のような雰囲気に。白生地の袷に藍染の鰭を重ねた衣装で登場した彼女がビューローに向かうと、ステージ上方の紗幕にその手元が映し出される。キーボードから発せられる幻想的な音に乗せ、星砂が入ったガラスペンでサラサラと創作中の歌詞の一部をつづっていく青葉。そして最後に公演タイトル「文月の衣紋に綴る熱帯魚」を書き記して、ライブの幕を開けた。
ゆったりと鍵盤を奏で、青葉が1曲目に歌い出したのは「Space Orphans」。透明感あふれる声が会場を満たし、オーディエンスは幻想的な空気に吸い込まれるように聴き入っていた。紗幕が上がり、ギターに持ち替えた青葉は「テリフリアメ」を伸びやかに歌唱。梅雨時季にみずみずしくしっとりとした楽曲を多く選んだ青葉は「雨が好きなので、雨や雷や嵐の歌が多いんです。梅雨は好きですか?」と客席に問いかけ、「おへそが取られる歌じゃないけど」と「鬼ヶ島」を歌い上げた。続けて、青葉はエッジの効いたギターリフを奏でながら「何か話そうと思うんですけど、広い場所の“鳴り”が好きで、聴き入っちゃうんですよね」と照れ笑いし、師匠である山田庵巳の楽曲「旭を連れて」をカバーした。
次に、キーを少し下げたアレンジにしたという梅雨バージョンの「アンディーヴと眠って」を披露。「海外公演と比べると日本(の観客)は静か」だと語った青葉に向けて、客席から「市子ー!」という大きな歓声が飛ぶと、青葉は「ありがとう、元気出た!」と笑顔を浮かべる場面もあった。「Pirsomnia」「SONAR」では床面が青く光り、まるで青葉の座る一角が海に浮かぶ小島のようになる演出が観客の目を奪った。
「フィンランドの昔の歌と大好きなメキシコの歌をやります」と前置きした青葉は、ヘルシンキのセカンドハンドショップでたまたま手に取ったという歌集からの1曲と、友人であるメキシコのシンガーソングライター、シルヴァーナ・エストラーダの「Más o menos antes」をスペイン語でカバー。そしてシームレスに自身の楽曲「月の丘」へとつなげた。「グラシアス」と短く告げた青葉は、自身の声が出なくなってしまった時期に双子座の友人のためにお風呂場で書いたというシンプルで温かな未発表曲「Geminis(La otra mitad)」を続けて歌唱。さらに疾走感のある「うたのけはい」、高音が美しく響く「bouquet」を届け、ステージを降りた。
アンコールでは青葉がイマジナリーフレンドのペンギンのぬいぐるみを持って再びステージに登場。リリース直前だった新曲「さよならペンギン」のミュージックビデオの制作秘話を語ったのち、“ペンギンの声”を交えながら明るく軽やかに披露した。最後に2022年公開の映画「こちらあみ子」の主題歌「もしもし」を丁寧に歌い上げ、ライブの幕を下ろした。
セットリスト
青葉市子「文月の衣紋に綴る熱帯魚」2026年7月2日 NHKホール
01. Space Orphans
02. テリフリアメ
03. ココロノセカイ
04. 少女と檻
05. 私の盗人
06. 鬼ヶ島
07. 旭を連れて(山田庵巳)
08. アンディーヴと眠って
09. 繙く風
10. Pirsomnia+SONAR
11. SONAR
12. 海底のエデン
13. フィンランドの歌
14. Más o menos antes(シルヴァーナ・エストラーダ)
15. 月の丘
16. Geminis(La otra mitad)
17. うたのけはい
18. bouquet
<アンコール>
19. さよならペンギン
20. もしもし


