niinaが7月3日に地元福岡のライブハウス・LIVE HOUSE INSAにて、メジャーデビューEP「OURS」を携えた東阪福ツアー「Major Debut EP Release Tour "OURS"」のファイナル公演を開催した。
シンガーソングライター・濱田慶太のソロプロジェクトから2026年3月にバンドへと進化を遂げたniina。メジャーデビュー前からFM福岡でレギュラー番組「niinaの楽屋を出る前に、」を持つなど、早耳のリスナーや地元メディアの間でネクストブレイクの筆頭として熱い視線を集めてきた彼らは今回、初めてバンド体制でツアーを行った。東京公演にパーカーズ、大阪公演にthe paddlesを迎え、気鋭のバンドとともに各地で地力を証明してきた中、ついに迎えたファイナル公演は、今後のさらなるスケールアップを予感させる凱旋ライブとなった。
バンド体制で見せるポップネスとダイナミズム
客電が落ち、メンバー4人がステージに登場すると、フロアから地元ファンの温かい拍手と大きな歓声が沸き起こった。椎林巧磨(Dr)のもとで円陣を構えた彼らは、互いの呼吸を確かめ合うような掛け声でライブを開始。バンド体制でより強固になったniinaのグルーヴが、オープニングナンバーであるテレQ開局35周年記念ドラマ「非正規雇用 リズム&サバイブ」の主題歌「人生ビート」から早々に響く。軽快なカッティングギターと弾むようなスラップベースが交錯し、一瞬にして会場をポップな空間へと塗り替えていく。慶汰(Vo, G)はうれしそうに客席を見渡し、軽やかかつ透明感のある歌声で一気にオーディエンスをniinaの世界観へと引き込んだ。
ライブの勢いを加速させるように、4人はきらきらとしたイントロが弾ける「夏の魔法」へとつなぐ。突き抜けるような青空を連想させるみずみずしいメロディと慶汰のボーカルがオーディエンスの心をキャッチ。ソロ時代からのファンも、今回初めてniinaのライブに足を運んだリスナーも、等しくその圧倒的なポップネスの渦に巻き込まれていった。
「ただいま福岡! ツアーファイナル最高の夜にしよう!」という慶汰の挨拶から、ライブはniinaの真骨頂とも言える“日常のリアルと甘酸っぱい恋模様”を切り取ったポップチューン連発のブロックへ。「恋は盲目」では心地よいミドルテンポのビートがフロアを優しく揺らし、キャッチーなタイトルが目を引く「私ばっかりバカみたい!」では、コミカルでありながら胸の高鳴りを描いた歌詞の世界観が、ソリッドかつ色彩豊かなバンドサウンドで立体的に表現されていく。ソロプロジェクト時代には同期音源が担っていたディテールも、信頼するバンドメンバーの手によって生々しいダイナミズムへと見事に昇華されていた。
さらに、現代人のデジタルな距離感を巧みに表現した「サブスクリプション」、オーディエンスがハンドクラップを鳴らした「ダーリン」と、ライブがテンポよく展開されていく。慶汰が紡ぐ共感性の高い歌詞が、厚みを増したアンサンブルに乗ってストレートにリスナーの胸に飛び込んでいく。ステージ上の4人は、まるで音を鳴らす喜びを噛み締めるような熱いパフォーマンスを展開。アットホームな地元ならではの親密な空気が会場全体を優しく包み込み、フロアの空気は確実に過熱していった。
SNSで話題の「恋人(仮)」も披露
ライブが折り返し地点を迎えると、これまでのさわやかな空気から一転、バンドはエモーショナルで叙情的な表情を見せ始める。「もしも」ではドラマチックに美しいメロディを展開し、観客の感情を揺さぶる。続く「ゆめまぼろし」では、ライティングも相まってサイケデリックな空気感すら漂わせながら、オーディエンスを楽曲の深い世界観へと没入させた。
SNSを中心に若い世代から共感を呼んでいる「恋人(仮)」がエモーショナルに披露されたのち、ライブはさらにディープなミドルバラードのセクションへ。慶汰がリアルに体感したと語る“あのとき、こうしていれば”という後悔をつづった「思い出になってしまう前に」から、情念的なギターの旋律が光る「ワンルーム」へとつながる流れは本公演のハイライトの1つ。まるで1本の短編映画のように、ありふれた日常のひとコマが情景として浮かび上がる。そんな丁寧なアンサンブルに、フロアの誰もがじっと息をのみ、1音たりとも聴き漏らすまいとステージに集中していた。
niinaのライブはしっとりしたままでは終わらない
しかし、niinaのライブはこのまましっとりとは終わらない。「もっともっと熱くなっていけますか?」という慶汰の呼びかけとともに「アイラブ」のイントロが鳴り響くと、会場の温度は再び急上昇。4人はここから怒涛の勢いでキラーチューンを連発し、ライブ終盤へ一気に駆け抜けていく。グルーヴィなカッティングがフロアを踊らせた「曖昧とロンリー」、疾走感あふれるビートがセンチメンタルな夜の情景を鮮やかに描く「さよならミッドナイト」と続き、「ニアピンロマンス」ではフロアに大きなハンドクラップが響いた。
そして、本編のラストを飾ったのはテレビアニメ「魔物喰らいの冒険者~俺だけ魔物を喰らって強くなる~」のエンディングテーマに使用された「STORY」。これまでのソロプロジェクトとしての孤独な歩みと、これからのバンド体制での躍進をつなぐようなこの曲が、この日一番とも言える、さわやかで力強い演奏で放たれた。言葉1つひとつを噛み締めるように歌う慶汰のボーカルと、それを鼓舞するように共鳴するバンドサウンド。まばゆい照明の光に包まれる中、盛大な熱気と一体感で本編が締めくくられた。
鳴り止まないアンコールに応えて再び登場したメンバーたちの表情には、肩の力が抜けた、心からの充実感を漂わせる笑顔が浮かんでいた。彼らがアンコールに選んだ楽曲は、慶汰が「niinaの始まりの曲」であると語った「熱花」。niinaのバンド体制初となるツアーは大盛況の中で幕を下ろした。
セットリスト
「Major Debut EP Release Tour "OURS"」2026年7月3日 福岡県 LIVE HOUSE INSA
01. 人生ビート
02. 夏の魔法
03. 恋は盲目
04. 私ばっかりバカみたい!
05. サブスクリプション
06. ダーリン
07. もしも
08. ゆめまぼろし
09. 恋人(仮)
10. 思い出になってしまう前に
11. ワンルーム
12. アイラブ
13. 曖昧とロンリー
14. さよならミッドナイト
15. ニアピンロマンス
16. STORY
<アンコール>
17. 熱花


