YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで7月10日から7月16日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文 / 真貝聡
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、15位に米津玄師の「夜鷹」がランクインした。今作は、公開中の映画「キングダム 魂の決戦」主題歌として米津が書き下ろした楽曲だ。MVの監督を務めたのは、米津と初タッグとなる映像作家 / 映画監督の小島央大。考古学的な視点を踏まえて描かれた独特な世界観の映像になっている。
55位にはSHUNTO(BE:FIRST)の「Want it」ダンスパフォーマンスビデオが登場した。この曲はメンバー個々の音楽性やスキルのさらなる成長を目指して展開されてきたソロ企画「One of the BE:ST」の第6弾楽曲で、BE:FIRSTが7月1日にリリースしたシングル「Missing」の収録曲。2000年代前後のヒップホップのMVを意識し、あえて複雑なカット割りを避けた映像が印象的だ。
64位にランクインしたのは、CANDY TUNEの新曲「スペシャル感謝祭」。今作の作詞・作曲はCANDY TUNEの代表曲「倍倍FIGHT!」を手がけた玉屋2060%(Wienners)が担当。今年6月5、6日に東京・日本武道館で開催されたデビュー3周年公演で初披露され、話題となった。
日本の音楽シーンを代表するアーティストの新曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。
Number_i「BUGS LIFE」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場2位
7月13日に配信リリースされたNumber_iの「BUGS LIFE」は、メンバーの神宮寺勇太がプロデュースを手がけた楽曲だ。システムエラーの「バグ」という発想を起点に、3人が今こうしてファンの前に立って歌えていることや、そこへ至るまでに積み重なってきた数々の“偶然”や“奇跡”を描いた作品となっている。
ファンクを軸に、アフリカンミュージックやレゲエなどの要素を取り入れたサウンドは、グルーヴ感と開放感を兼ね備え、ラップとボーカルが自在に行き交うことで多彩な表情を生み出している。「バグを偶然や奇跡と捉えたコンセプト」と「ジャンルの枠を越えて混ざり合うサウンド」が有機的に結び付いたことで、3人それぞれの個性を立体的に生かすNumber_iならではのスタイルが鮮やかに表れた1曲だ。聴けば聴くほどに細かなアレンジやフロウの妙にも気付かされ、楽曲の奥行きを味わえる仕上がりとなっている。
剣持刀也「人類観測」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場41位
剣持刀也の「人類観測」は、7月15日リリースの1stミニアルバム「Augment」の幕開けを飾る1曲。作詞・作曲・編曲はピノキオピーが担当し、人類を俯瞰する視点から、承認欲求やSNS社会に潜む滑稽さ、現代人が抱える矛盾をユーモラスに描き出している。鋭い言葉選びのリリックや、目まぐるしく展開するメロディは、ピノキオピーらしい作風と、知性やユーモアを感じさせる剣持刀也のパーソナリティを自然に結び付けている。そのためYouTubeのコメント欄には「剣持すぎる」「ピノキオピーすぎる」といった反応が相次ぎ、両者の作風が違和感なく融合した作品として、どちらのファンからも好意的に受け止められていることがうかがえる。
MVは、剣持刀也をデフォルメしたキャラクターを中心に、テロップやポップアップ風の演出が目まぐるしく展開するアニメーション作品。情報量の多い映像表現が、楽曲のスピード感と混沌とした世界観を鮮やかに映し出している。
YAO「777(feat. Awich, CHICO CARLITO, ONE OK ROCK & Paledusk)」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場62位
ラッパーのAwichとCHICO CARLITO、ロックバンドのONE OK ROCKとPaleduskがジャンルの垣根を越えて集結した新プロジェクト・YAO。2024年5月のONE OK ROCKとAwichの埼玉・ベルーナドームでの共演をきっかけに、「混ざることで何が生まれるのか」を追求するべく始動した。6月29日にはヒップホップ専門YouTubeチャンネル・レッドブルマイクの企画「Red Bull IN-YO!」で突如メディアに初登場し、ワンカメラの一発撮りでパフォーマンスを展開。ここで披露されたのが第1弾シングル「777」で、ラップとラウドロックを融合させたサウンドの中で、4組それぞれの個性がせめぎ合いながら、新たな化学反応を生み出している。
MVには、ヤンキーマンガを思わせる学生服を着たAwich、CHICO CARLITO、そしてONE OK ROCKとPaleduskのメンバーが登場。約200人のエキストラとともに、炎やスモークが立ち込める中で繰り広げられる圧巻のパフォーマンスが、ジャンルや価値観を横断しながら共鳴するというYAOのコンセプトを力強く体現している。
さらに7月21日には、BMSG所属アーティストが「777」でダンスする動画も公開され、こちらも大きな話題に。SOTA(BE:FIRST)が振付を担当し、BE:FIRSTやMAZZELのメンバー、Aile The Shota、TAIKI(STARGLOW)がキレのあるダンスを繰り広げるこの動画は、ジャンルや所属の垣根を越えたコラボレーションというYAOのコンセプトを、別の角度から体現している。


