鈴木実貴子ズが7月30日に東京・新代田FEVERで自主企画イベント「心臓の騒音」の第1回公演を開催。9mm Parabellum Bulletをゲストに迎え、ツーマンライブを展開した。
9mm Parabellum Bullet
9mmは幕開けから大爆発
先陣を切ったこの日の9mmは、菅原卓郎(Vo, G)、滝善充(G)、中村和彦(B)に、サポートメンバーとして武田将幸(HERE)、渡部宏生(heaven in her arms、SZKN)を加えた5人編成でステージに登場。「Baby, Please Burn Out」で鋭く開演の狼煙を上げた。メンバーはストイックな演奏で観客を圧倒しつつも、笑顔を見せるなど、百戦錬磨のライブバンドらしい盤石のステージを展開する。2曲目の「ハートに火をつけて」でも高い熱量でフロアを盛り上げ、菅原が「踊ろうぜ!」と呼びかけて人気曲「Vampiregirl」を投下。滝と中村がステージ上をところ狭しと暴れ回る中、菅原の力強い歌声が響きわたった。
最初のMCで、菅原は「鈴木実貴子ズの新企画『心臓の騒音』のvol.1にお呼びいただきまして、ありがとうございます」と挨拶。「ことの発端といたしましては、私が鈴木実貴子ズのファンでして。昨年『New Acoustic Camp』でお会いしたときにそのことを伝えたら、すごく喜んでもらえたんです。そのあと、『アルバムのレコーディングに参加してもらえますか?』と誘われて『はい!』と即答しました」と語り、鈴木実貴子ズのメジャー2ndアルバム「いばら」の収録曲「イッキ」にギターで参加した経緯を明かした。さらに菅原は現在3人または5人編成で活動していることに触れ、「鈴木実貴子ズが2人でバッキバキのライブをするからひよってサポートメンバーを入れているわけではありません」と笑いを誘った。
“実貴子ズファンもきっと気に入る”新曲披露
「バトンをつなぎます。次の曲は鈴木実貴子ズのファンも気に入ってくれる気がします」という菅原の言葉から披露されたのは、“9mmの日”としてファンに認知されている9月9日にリリースを迎える新曲「レーゾン・デートル」。9mmらしいノスタルジックでキャッチーなメロディと、爆発力のある展開を備えたナンバーだ。「正面突破で突っ込んで 壁を壊すんだよ」「いばらのみち」といった歌詞は、鈴木実貴子ズが描く世界観とも共鳴する。普段は比較的おとなしい鈴木実貴子ズのファンも拳を掲げて声援を送るという、熱量のあふれる光景が広がった。
その後、9mmはサマーチューン「All We Need Is Summer Day」を経て、「黒い森の旅人」で叙情的なアンサンブルを響かせる。菅原は「ステージとオフでの“ダイナミクス”が大きめな鈴木実貴子ズですけど、我々もそう。そういうところはすごく似ているんじゃないかなと勝手に思っています」と語りつつ、「『心臓の騒音』が199回とか200回にいくまでがんばってもらいたい。『2026年の1回目が9mmでよかった』と思ってもらえるようなイベントにしたい」と鈴木実貴子ズへエールを送った。
後半のブロックで9mmは、今年に入ってからひさびさに演奏するという「Brand New Day」に続き、キラーチューン「Black Market Blues」をドロップ。アグレッシブな展開にフロアは熱狂の渦に包まれた。勢いを保ったまま、9mmは強烈な16ビートを刻む「新しい光」へと突入。滝が最前線の柵に足をかけ、身を乗り出すようにしてギターを弾き倒すなど、ステージは肉弾戦の様相を呈していく。ラストの「Punishment」までストイックなライブバンドとしての矜持を示した9mmは、混沌とした激情的なステージを展開。熱気と爽快感を残してステージをあとにした。
鈴木実貴子ズ
「我々2人は仲が悪いんです」激突MCで幕開け
後攻の鈴木実貴子ズは、普段のライブハウスでのライブと同様、鈴木実貴子(Vo, G)とズ(Dr)の2人でステージに上がった。ズによる「5人で見せてくれた9mmのライブ、仲が良さそうでうらやましい。我々2人は仲が悪いんです」というおなじみの自虐MCでスタート。さらに彼は「卓郎さんは鈴木実貴子ズのファンだと言ってくれましたけど、言っておきますね。最初に会ったのは僕で、『ズさんですよね?』と話しかけてくれて今日が成立しております」と胸を張った。
和やかなMCから一転、2人は尖ったメッセージが込められた「暁」でライブを開始。夜明けの空を思わせるオレンジ色の照明に包まれたステージで、実貴子とズは力強い音色を奏でていく。なお鈴木実貴子ズは、昨年12月から今年7月まで47都道府県路上ライブツアー「いばらのみち」を行ってきた。同路上ツアーではビラ配りや動画撮影などを担当していたズだが、この日はドラマーとしてバンドのサウンドをがっちりと支えた。
5月リリースのナンバー「心臓」では、2人の熱量が演奏でぶつかり合い、ライブならではの躍動感を生み出す。2人のライブでは、実貴子の絶唱が際立って注目されがちだが、ズの刻む強靭なビートも存在感を放った。目を閉じて歌詞を口ずさみながら実貴子をボトムから支えるズもまた、鈴木実貴子ズを駆動させる大切な“心臓”の1つのようだった。「正々堂々、死亡」では、実貴子が「最終目標 正々堂々、死亡」と叫び、ヒリヒリとしたメッセージで観客の心を揺さぶった。
2人だけで生み出す激情空間
MCでは、ズが「2人でスタジオに入ると本当に空気が悪い。第三者が入るとスムーズに進む」と新曲「へいべべ」制作の裏側を告白。実貴子が「あなたが猫をかぶるからね。私にも『はいそうですね』って言ってくれたらいいのに」と余裕の笑顔で応戦し、フロアから笑いが起こる。そんな独特の雰囲気が愉快な2人の披露した新曲「へいべべ」は、日常を生き抜く必死さがにじむメッセージと、熱量にあふれたビートが重なり合う楽曲だ。
東京都内で豪雨、雷、雹が観測されたこの日の不安定な天候と呼応するように、「坂」では実貴子が「2026年の夏、今日は変な天気」と歌い替える場面も。実貴子が「どうすりゃいいんだ」と繰り返すたびに、絶望感をはらみながらも現実と向き合う言葉が観客に寄り添うように響いた。そして間髪をいれずに届けられた「アンダーグラウンドでまってる」では、泥臭くも普遍的なバンドのスタンスが力強く示された。実貴子は、「昔から『ラブアンドピース』って言葉が苦手で。我慢せざるを得ない、強くならざるを得ない、優しくならざるを得ない中で、本当の愛や平和ってなんだっけと思って」と語り、未発表曲「ラブ&ピース(仮)」を熱唱。最近メンテナンスに出して弾きやすくなったというアコースティックギターから奏でられる枯れた音色が鮮やかに響きわたった。
実貴子「うちらも偉くなったよなあ!」
ライブ終盤には、ズが手の甲に書いていたセットリストがかすれてしまうというハプニングが発生。それを察した実貴子のリードから「止まるな危険」がパフォーマンスされた。「今宵、ミラクル待ってる」と歌って笑顔を見せる実貴子と、それを支えるズのリラックスしたたたずまいに、フロアには心地よい脱力感と温かなムードが広がった。
「心臓の騒音」第1弾への感謝を述べた実貴子は、「9mmと対バンなんて、うちらも偉くなったよなあ!」と喜びをあらわにする。続けて「第2弾もありますからね!」と語り、12月3日に新代田FEVERでフラワーカンパニーズとのツーマンライブを行うと告知。さらに、2027年2月10日には東京・LIQUIDROOMでワンマンライブ「とりもどせ、俺のハードコア」を開催することもアピールした。拍手が沸き起こる中、2人はラストナンバー「かかってこいよバッドエンド」でむき出しの感情を爆発させ、本編を駆け抜けた。
アンコール:鈴木実貴子ズ×菅原卓郎「イッキ」コラボ
アンコールでは、実貴子とズが、9mmの菅原をステージに呼び込む。和やかなトークを経て、3人は菅原がレコーディングに参加した「イッキ」をコラボレーションで披露。実貴子のストロークと菅原の浮遊感のあるアルペジオ、そしてズのドラムが美しく溶け合い、ラストは9mmのライブにも通ずるロックな高揚感があり、フロアからは力強く拳が突き上がった。菅原が去ったあと、実貴子は「『心臓の騒音』2026年の第1弾終わります! ありがとうございました!」と叫び、最後は鈴木実貴子ズの2人で「ファッキンミュージック」を投下。9mmからのバトンを受け取って、熱いライブを展開した2人に、オーディエンスからは大きな歓声と拍手が送られた。
セットリスト
鈴木実貴子ズ 自主企画イベント「心臓の騒音」2026年7月30日 新代田FEVER
鈴木実貴子ズ
01. 暁
02. 心臓
03. 正々堂々、死亡
04. へいべべ
05. 坂
06. アンダーグラウンドでまってる
07. ラブ&ピース(仮)
08. 止まるな危険
09. かかってこいよバッドエンド
<アンコール>
10. イッキ
11. ファッキンミュージック
公演情報
鈴木実貴子ズ 自主企画イベント「心臓の騒音」第2弾
2026年12月3日(木)東京都 新代田FEVER
<出演者>
鈴木実貴子ズ / フラワーカンパニーズ
とりもどせ、俺のハードコア
2027年2月10日(水)東京都 LIQUIDROOM


