YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで7月17日から7月23日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文 / 真貝聡
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、2位にM!LKの「You!Joy!Parade!」が登場した。今作は、今年4月に始動したM!LKの5カ月連続リリース企画「モー烈モー進!リリースプロジェクト2026」の第4弾シングル。「かけがえのない仲間と過ごす夏」をテーマに、曲やMVも幸福感のある作品に仕上がっている。
6位にはSixTONESの「マイオンリー」がランクインした。この曲はメンバーの松村北斗が主演を務める日本テレビ系土曜ドラマ「告白─25年目の秘密」の主題歌で、愛する“あなた”を思い続ける一途なラブソングだ。
35位に登場したのはKing & Princeの「So Honey」。9月2日にリリースされる1st EP「So Honey EP」の表題曲で、夏らしい開放感のある軽やかなサウンドのナンバーになっている。MVの監督は、King & Princeの「HEART」や「Theater」のMVも手がけた大知裕介が務めている。
日本のアイドルシーンをリードする人気グループの新曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。
B&ZAI「Ready for B&ZAI」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場18位
今年5月8、9日に東京・日本武道館で「B&ZAI LIVE TOUR 2026 - ROCK’N’DOL - in日本武道館」を開催したB&ZAI。デビュー前のジュニアグループが武道館で単独公演を行ったのは、1994年12月の「KinKi Kids -Kick・off ’95 FIRST CONCERT」以来、約31年ぶりの快挙となった。そんな本公演で初披露されたのが、このたびライブ映像が18位にランクインした「Ready for B&ZAI」だ。
この曲は、彼らの“名刺代わり”とも言える自己紹介ソング。高揚感あふれるアップテンポなサウンドに乗せ、8人それぞれの個性やキャラクターをテンポよくつないでいく構成によって、一度聴いただけでメンバーの魅力が伝わってくる。また、ライブを強く意識したコール&レスポンスやシンガロングしやすいフレーズも随所に盛り込まれており、今回公開された武道館公演の映像からもB&ZAIと観客の一体感が伝わってくる。メンバー紹介に合わせて会場から大きな歓声が上がる場面や、笑顔でアイコンタクトを交わしながらパフォーマンスする姿も印象的。ライブならではの熱量と幸福感が詰め込まれており、この1曲だけでもB&ZAIの魅力を存分に味わえるはずだ。
FRUITS ZIPPER「センセーション」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場33位
FRUITS ZIPPERの新曲「センセーション」は、7月15日にリリースされた5thシングル「ぱわーオブらぶ / センセーション」の表題曲の1つで、メンバー・鎮西寿々歌の映画単独初主演となる「だぁれかさんとアソぼ?」とのコラボソング。これまでのポップでキュートなイメージとは一線を画し、エレクトロを基調とした攻撃的なサウンドで新境地を切り開いた楽曲だ。「混沌 混濁の世界じゃ」「凄惨な街の現状」といったダークな世界観を描きながらも、強い意志で突き進む主人公像を描き出し、FRUITS ZIPPERの表現の幅を大きく広げている。
MVでメンバーは笑顔を封印し、クールな表情や鋭い視線で楽曲の空気感を体現。特に開始1分ごろから披露されるアイソレーションダンスは大きなインパクトをもたらし、「こういう系もいけるんだって知ってもらえたらいいな」「ここからのダンス倍速ですか?ってくらいキレがいい」とファンの間で大きな話題となった。これまでの“NEW KAWAII”だけではない、7人の新たな一面を鮮烈に印象付ける作品だ。
テセサクch「GOODKUN」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場38位
YouTubeやTikTokを中心に人気を集めるショートコント動画チャンネル・テセサクch。昨年リリースした楽曲「切り替えピース」がSNSを席巻した彼らの新曲「GOODKUN」が38位にランクインした。この曲が生まれたきっかけは、今年2月に投稿されたコント動画「友達の行動をジャッジするヤツ」を歌ネタに発展させた「学校の校則を歌で判断するヤツ」である。テセ演じるメガネの生徒がほかの生徒や校長先生の振る舞いを「グッドく~ん」「バッドく~ん」とテンポよく判定する様子が、「校長先生ノリノリすぎておもろい」「フレーズが頭から離れない。気付いたら口ずさんでしまう」などと話題を呼び、その人気を受けて「GOODKUN」として楽曲化されリリースに至った。
「グッドくん」「バッドくん」というシンプルなフレーズは意味が直感的に伝わるうえ、「次はどちらに判定されるのか」と思わず見入ってしまうゲーム性も備えている。つい真似したくなるリズムと相まって、視聴者を自然に巻き込む参加型の面白さが、多くの支持を集めた理由だろう。また、学校という誰もが経験した空間を舞台にしていることも、幅広い世代に受け入れられた要因といえる。ショート動画発のコンテンツが楽曲へと発展した、現代ならではのヒットの形を象徴する1曲となっている。


