乃木坂46のコンサートツアー「真夏の全国ツアー2026」が、昨日8月23日に東京・明治神宮野球場でファイナルを迎えた。
今年5月にグループを卒業した梅澤美波からキャプテンのバトンを引き継ぎ、5期生の菅原咲月を新キャプテンとした乃木坂46。そんな新体制で臨む初の「真夏の全国ツアー」は、6月の福井・サンドーム福井を皮切りに、神奈川、北海道、広島、大阪、宮城、福岡、東京の全国8都市で全18公演が展開され、グループ史上過去最大規模のツアーとなった。乃木坂46にとって“聖地”とも言える神宮での公演は今年で11回目。この記事では、ツアーファイナルとなった昨日23日公演の模様をレポートする。
楽しい夏、最終日
今年7月にリリースされた42ndシングル「是非に及ばず」収録曲でともにセンターを務める一ノ瀬美空と小川彩による影ナレ、そしてオープニング映像を経て、グループの最新アートワークを想起させる花を模したセットのステージに登場した乃木坂46。「神宮、騒ぐぞー!」という一ノ瀬の煽りを合図に、サマーチューン「ガールズルール」でライブをスタートさせる。何度も吹き出すウォーターキャノンの水しぶきがファンの熱量をさらに引き上げ、勢いそのままに披露された「ジコチューで行こう!」では、井上和が瀬戸口心月に自らの頬へキスをするよう促すも、瀬戸口はかわいらしくチョークスリーパーをかけるなど、仲睦まじい様子を見せた。また今年で明治神宮野球場が創建100年を迎えることから、「好きというのはロックだぜ!」では賀喜遥香のコール&レスポンスによって、「神宮100周年おめでとう!」の声が球場を包むひと幕もあった。
最新シングル収録の「告白したい病」まで一気に5曲を畳みかけたのち、メンバーは会場に集まったファンへ挨拶。一ノ瀬は「この夏にやってきたことを全部出し切って、今日は誰よりも楽しんでみせます!」と意気込む。6期生の鈴木佑捺は活動2年目の夏を迎え、改めてグループのことをもっと深く知るために乃木坂46の聖地巡りをしたと明かし、グループへの深い愛情をのぞかせた。金川紗耶は、客席に自身の名前が入ったタオルを持つファンを見つけてファンサービスをしたところ、そのファンが瀬戸口のタオルも持っていて戸惑わせてしまったというエピソードで会場を和ませた。
取り戻した夏曲たちを大放出
今回のツアーで乃木坂46は、地方公演で謎の人物によって夏曲14曲が盗まれたというストーリーを展開。犯人は誰なのかと推理しながら、メンバーたちは各地でファンと協力し、少しずつ夏曲を取り戻してきた。地方公演の最後となる福岡公演では、新キャプテンの菅原が犯人だったことが明かされ、すべてはメンバーとファンの絆を確かめるために仕組んだことだったと語られた。
取り戻した14曲はすべて神宮公演で披露されることが事前に告知されており、ここからのブロックではそんな夏曲が一気に披露される流れに。岩本蓮加と筒井あやめがダブルセンターを務めた「逃げ水」を皮切りに、「太陽ノック」「オフショアガール」と畳みかけられる中、会場では雨が降り始める。「ずぶ濡れになっちゃえ!」と歌う「不道徳な夏」では、個性的なサングラスをかけたメンバーが水鉄砲を片手に、蜂の装飾がされた移動車でアリーナ外周を巡りながら歌唱。「夏のFree&Easy」からは浴衣姿に着替えたメンバーが登場し、会場の視線を釘付けにした。その後、乃木坂46はパフォーマンスだけでなく、「真夏の一言 乃木恋シチュエーション」と題した、メンバーが胸キュンなセリフを披露するコーナーでもファンを喜ばせた。
突然訪れた15秒の静寂
気付けば降っていた雨も上がり、涼しい風が吹き込む神宮球場。ステージでは6期生が「命の色」でパフォーマンスを再開する。神宮公演初日にサプライズで登場し、活動再開を発表した増田三莉音を含む6期生は、この曲で壮大なサウンドスケープを描き出し、約1年3カ月ぶりにそろった11人の絆を証明した。五百城茉央、奥田いろは、中西アルノによるユニット曲「おまえら」では、同期3人がロックシンガーを彷彿とさせる力強い歌声を放ち、客席をライブハウスさながらの熱狂に包み込む。続く「マグカップとシンク」では、賀喜と遠藤さくらが2人きりでセンターステージに立ちパフォーマンス。美しいピアノの旋律が流れる中、大きな波紋を起こす水滴の音とともに突然の静寂が訪れる。賀喜と遠藤はおよそ15秒、無音のまま8小節にもわたるシンクロダンスを披露。2人の生々しい呼吸音だけがヘッドセットマイクを伝って流れる。緊張感あふれる2人のダンスに、観客は息を呑んで見入った。続いて、小川率いる42ndシングルのアンダーメンバーが登場。9月にアンダーライブを控える彼女たちは「フォルテシモ」で強い存在感を示し、小川が「これが私たちだ!」と叫んだ「日常」では、鬼気迫るステージングで観客を圧倒した。
中西の咆哮がとどろく「Actually...」、凛とした美しさで観客を引き込む「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」と続き、「ひと夏の長さより…」では一ノ瀬がグループ15年間の歴史に思いを馳せる。瀬戸口は6期生として乃木坂46の未来を担う覚悟を、岩本はグループが前を向いて進み続ける限り今が最高だと語る。遠藤は卒業していった先輩たちが自分たちを信じて託してくれた乃木坂46を守っていくと決意を示す。そして菅原は、想像以上だったというキャプテンの重圧を明かしつつ、不安に押し潰されそうになったときもメンバーの存在に支えられたと振り返る。そして「私は今の乃木坂46が大好きです。その思いは誰にも負けない自信があります。まだまだ頼りないかもしれないけど、このグループの未来を必ず守ります。どうかこの先も見守っていてください」と力強く語り、乃木坂46とファンの間で大切に歌い継がれてきた「君の名は希望」へとつないだ。
乃木坂46にはまだ咲かせられる花がたくさんある
初めて表題曲のセンターに抜擢され、今回のツアーで座長を務める一ノ瀬の3カ月間に密着した幕間映像では、表では笑顔を見せながらも、センターとしてグループの魅力を伝えられているのか不安を抱える姿がバックスクリーンに映し出される。また、この期間はライブを楽しさと喜びに満ちたものにするため、泣かないと決めていたという一ノ瀬の覚悟もナレーションを通して伝えられた。そんな映像を経て、昨年、明治神宮野球場公演10thメモリアルソングとして制作された「真夏日よ」でライブはいよいよ終盤戦へ。「裸足でSummer」では、川﨑桜によるおなじみの“さくたん構文”が炸裂し、その後も乃木坂46らしい力強くも華やかなステージが続いた。最後の1曲を前に、一ノ瀬は今回のツアーを前に「ここにいるメンバー全員が、この夏のツアーを通して個性と自信の花を新しく咲かせる」という目標を立てていたと切り出す。
「乃木坂46は、日の当たるところがあれば真っ先に誰かに譲ろうとしたり、踏まれそうになっていたら、自分がかばってあげようとするような、そんな愛にあふれたお花畑のような場所だなと思います。だけど、周りに綺麗なお花がたくさん咲いてると、自分のことが見えなくなって、自分の個性や魅力に気付けてない子も多いと思うんです。私はみんなががんばってきたことや、今も踏ん張り続けてること、その子にしかない個性や魅力をたくさん知ってるからこそ、そんな愛にあふれたメンバーが自分に自信をなくすような瞬間があってほしくないなと思ってしまいます。ここにいるメンバー全員に、目いっぱいの陽が当たる、光の当たるグループであってほしいです」
全18公演に及ぶグループ史上最大規模となった今回のツアー。一ノ瀬はこの日、ファンの温かい愛情を受けて、メンバーそれぞれが新しい花を咲かせることができたのではないかとその手応えを口にしつつ、「だけど乃木坂46にはまだまだ咲かせることのできる花がたくさんあります。まだ種を撒くことができる場所がたくさんあります」と言葉に力を込める。
「花は咲いて終わりじゃなくて、その花を見つけてくれる人がいて、その美しさを誰かに伝えてくれる人がいて、そうやってたくさんの人に愛されるからこそ咲き続けられると思います。今、乃木坂46に希望を持ってくださっている皆さん、どうかこれからの乃木坂46を信じてほしいです、これからの乃木坂46の未来を皆さんと一緒に作っていきたいです。これからの乃木坂46もよろしくお願いします」
このセンター期間は泣かないと決めていたという一ノ瀬だが、熱い胸の内を口にするうちに思いが込み上げてきたのか声を震わせる。思わず観客に背を向けて涙を拭う場面もあったが、再びファンと向き合ったときには、いつものアイドルらしい笑顔を浮かべていた。そして、自身がセンターを務める最新曲「是非に及ばず」のパフォーマンスへ突入。「今、日本で一番熱い場所はここ神宮だよな!? 一番熱いグループは乃木坂46だよな!?」という一ノ瀬の叫びを体現するように、ステージでは炎の特効が噴き上がり、花火が盛大に打ち上がる。骨太なロックサウンドを湛えたこのキラーチューンで、球場はこの日一番の熱狂に包まれた。
乃木坂46の未来は私たちが必ず守ります
アンコールでは、前キャプテンの梅澤がセンターを務める「空扉」が愛とリスペクトを込めて届けられたほか、盛り上がり必至のディスコナンバー「I see...」、フレッシュな瀬戸口と矢田萌華をダブルセンターに据えた「ビリヤニ」が披露された。バナナマン扮するフォークデュオ・赤えんぴつのおーちゃん(設楽統)が作詞作曲を手がけた「君ばかり」では、関係者席でライブを楽しむ設楽の姿がスクリーンに映し出され、大きな歓声が上がった。
残すところラスト1曲となったところで、昨年の「真夏の全国ツアー」で座長を務めた賀喜が、新キャプテンとしてグループを牽引した菅原と、座長という大役を務め上げた一ノ瀬を温かく労う。賀喜の提案でメンバー全員が「ぎゅー!」と2人に抱きつくひと幕もあり、2人は「一生の思い出」と幸せを噛み締めた。感動的なムードに会場が包まれる中、ラストを飾ったのは「乃木坂の詩」。エンディングでは菅原が改めてファンに感謝を伝え、「これからの乃木坂46の未来は私たちが必ず作っていきます。必ず守ります」と涙ながらに述べる。客席がグループカラーである紫のサイリウムの光に染まる中、“聖地”神宮での11回目の夏は静かに幕を閉じた。
セットリスト
「乃木坂46 真夏の全国ツアー2026」2026年8月23日 明治神宮野球場
01. ガールズルール
02. ジコチューで行こう!
03. 好きというのはロックだぜ!
04. 自惚れビーチ
05. 告白したい病
06. 逃げ水
07. 太陽ノック
08. オフショアガール
09. 不道徳な夏
10. 夏のFree&Easy
11. ロマンティックいか焼き
12. チートデイ
13. 命の色
14. おまえら
15. マグカップとシンク
16. フォルテシモ
17. 日常
18. Actually...
19. 最後に階段を駆け上がったのはいつだ?
20. ひと夏の長さより…
21. 君の名は希望
22. 真夏日よ
23. 裸足でSummer
24. スカイダイビング
25. おひとりさま天国
26. 是非に及ばず
<アンコール>
27. 空扉
28. I see...
29. ビリヤニ
30. 君ばかり
31. 乃木坂の詩


