D.A.N.と長谷川白紙によるツーマンライブ「ライブナタリー “D.A.N. × 長谷川白紙”」が8月21日に東京・Spotify O-EASTにて開催された。
長谷川白紙
仕事帰りでも足を運びやすい20:15開演の本公演。開場時や転換のタイミングでは、長谷川が7月にリリースしたシングル「窒息日記」に共同ミキシングで参加したphritz(PAS TASTA)がDJプレイを披露し、フロアを温めた。
開演時刻が過ぎると、サーチライトのような照明が暗闇をぐるぐる周る中、ステージ中央の鍵盤の前に長谷川白紙が登場。8月28日にBrainfeederよりリリースされる3rdアルバム「素直な気持ちアルバム」からの新曲「嘔吐」でライブの幕を開けた。激しくピアノを弾きながらその一方で、か細く繊細な高音で歌う長谷川。脱臼したようにストップ&ゴーを繰り返すリズムに対して、完璧な精度でリンクした白い照明が明滅する。
初期曲「毒」は、ガットギターの音色を使ってボサノバ風のアレンジに。最新の作風に合わせて過去曲をアップデートすることで、新旧の楽曲がシームレスに展開していく。後半に強烈なガバキックが鳴り響くと、長谷川は鍵盤から離れ、ステージをゆらゆらと歩きながら歌った。その後の「我々不吉戦士」もニューアルバムからの新曲。目をくらますようにライトが激しく光り、情報量の多い洪水のような音と照明で、観客がどんどん高揚していく。また「ボーイズ・テクスチャー」も、スピード感を増したライブ仕様にアレンジされた。
「口の花火」でフロアにカオスをもたらしたあとで、その空気をクールダウンさせるように、ピアノを弾きながら「霊位」を静かに歌った長谷川。その後の「窒息日記」では優しく語りかけるように「必ず窒息する」と何度も歌いつつ、観客に向けてハンドサインを送っていた。さらにそこから、6月にリリースされた「蜜の主」に突入し、フロアが沸騰。そしてライブのフィナーレを飾ったのは、ニューアルバム「素直な気持ちアルバム」から先行配信されたばかりの「恩寵」だ。ピアノの前に出てハンドマイクで歌い上げた長谷川は、曲の最後にシーケンストラックから「おわり!」というぶっきらぼうな声が響くと、くるっと方向を変えて退場。その瞬間に会場が暗転し、一瞬の間を置いて拍手喝采が沸き起こった。
D.A.N.
2022年12月からの活動休止を経て、2025年8月に再始動したD.A.N.。彼らはこの日、再始動後の楽曲を中心としたセットリストでライブを展開した。要塞のように機材が並ぶステージで、定位置に着いた3人は、まだほとんど照明がついていない薄暗い状況のまま、ゆったりと演奏を開始。過激な照明が印象的だった直前までの長谷川のステージとは対照的な、地下の秘密集会のような雰囲気が漂う。
重厚なアレンジが光る「Tempest」でゆったりとライブが幕を開けると、櫻木大悟(G, Vo, Syn)の空間系エフェクトによるにじむようなギターがエキゾチックでサイケデリックな空気を醸し出す。長尺の演奏の中で徐々にスケールアップしていく構成は、1曲の中でドラマを生み出し、最終的には壮大な景色を観客に見せた。
中盤の「The Unknown」では、スピーディに跳ねるドラムとグルーヴィにうねるベースの上で、櫻木がシンセを弾きながら深いリバーブをまとった幽玄的なボーカルを響かせる。聴く者の心を浄化するような「Daydreaming」を経てラストに披露されたのは、強烈な音圧でうねるベースが牽引する冷たいファンク「SSWB」。ここまで約45分間じっくりと溜め込んだものを、3人は一気に解放する。演奏が終わると櫻木が「D.A.N.でした。ありがとうございました」とだけ静かに語り、メンバーはステージを後にした。
両者ともにライブ中のMCを一切挟まず、ひたすらに音楽のみを提示するストイックな姿勢を貫いたこの日。極彩色のカオスで観客を翻弄した長谷川と、深い没入感で空間を包み込んだD.A.N.の対比が鮮やかで、そのまったく異なるライブ体験がフロアを心地よい酩酊へと誘っていた。
セットリスト
「ライブナタリー “D.A.N. × 長谷川白紙”」2026年8月21日 Spotify O-EAST
長谷川白紙
- 嘔吐
- 毒4
- 行っちゃった2
- 我々不吉戦士
- ボーイズ・テクスチャー3
- 口の花火
- 霊位
- 窒息日記
- 蜜の主
- 恩寵
D.A.N.
- Tempest
- Purple Sunshine
- The Unknown
- Daydreaming
- SSWB


