Chevonが9月13日に神奈川・横浜アリーナでワンマンツアー「Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』」のファイナルを開催した。
結成5年、北海道からやって来たChevon
聴く者を異世界に誘うようなライブパフォーマンスや予測不可能な楽曲展開で注目度を高めているChevon。4月にはエイベックス内のレーベル・cutting edgeからアルバム「三者山羊」を発表し、メジャーデビューを果たした。バンド史上最大規模となった本ツアーは各地でチケットが即完売し、12月20、21日には東京・日本武道館で追加公演が行われることも決定している。
2021年6月に結成してから約5年3カ月、2022年1月に地元・北海道のライブハウス・PLANTで行った初ライブ「よしなに」から約4年8カ月。インディーズ時代から全国規模で動員を急拡大させてきたChevonが、場内の隅々までオーディエンスで埋め尽くされた横浜アリーナの舞台に立った。
火柱が上がり、いざ開幕
荘厳なオープニング映像とSEが鳴り響く中、谷絹茉優(やぎぬまゆう / Vo)、Ktjm(キタジマ / G)、オオノタツヤ(B)に加え、サポートメンバーのRyo'Lefty'Miyata(Key, Syn, G, Cho)、そして頭部がヤギで人間の体を持つマスコットキャラクター・しぇぼんくんの格好をした中村“マーボー”真行(Dr)の5人がステージに登場。谷絹が胸に手を当てて天を仰ぎ、切り裂くような咆哮を響かせたのを合図に、メジャー1stアルバムのリード曲「B.O.A.T.」でライブの幕が上がる。重厚なバンドサウンドがアリーナを揺らし、ステージでは巨大な火柱がいくつも吹き上がった。
暗転と静寂を挟み、無数のレーザーと鮮やかな照明が会場の最後方まで伸びる演出とともに「DUA・RHYTHM」が披露される。演奏中に谷絹が「横浜アリーナ、ファイナルステージによくぞたどり着きました!」と叫ぶと、ダンサブルなビートに合わせてオーディエンスの腕が大きく突き上がった。続く「Lamipus」では、Ktjmがクールな佇まいで軽快にカッティングを決め、オオノが骨太な躍動感あふれるベースラインでボトムを支える。「銃電中」ではオオノのスラップと疾走する四つ打ちビートに乗せて谷絹が軽快にステップを踏み、サポート陣を含むソロ回しでも盛り上げた。
谷絹は客席を見渡しながら「日々のしんどいこととか、異常な倍率とか、ボーカルの様子のおかしさとか、そういったものをよく乗り越えて、このファイナルステージまでたどり着きました」とオーディエンスを称える。そして「本日お相手いたしますのは、この“三者山羊”でございます。1日お時間をいただくので、私たちがいなくなったあとも記憶に残る、いつでもあなたの頭の中に、耳の奥にこびりつく、そんなライブをして帰りたいと思います」と挨拶した。
めくるめく“三者山羊”の世界
ファンキーなギターリフが牽引する「ノックブーツ」では、谷絹がお立ち台の上に身を投げ出し、寝転びながら艶やかなハイトーンを響かせる。「菫」ではスクリーンに大木が印象的なアニメーション映像が投影され、温かみのあるサウンドが会場を包み込んだ。初期からのライブ定番曲「サクラループ」ではステージが桜色に染まり、フロアには大量の桜色の紙吹雪が舞い散った。
その熱気が冷めやらぬまま、暗転を挟み重厚な足音のようなイントロを経て「大行侵」へ突入。谷絹の力強い足踏みに呼応してオーディエンスが一斉にジャンプし、「ひとつ、ふたツ、みッツ、ヨッツ……」のコールが響く。フロアの熱気から上昇気流を受けて舞い続ける一部の桜色の紙吹雪とステージに立ち込めるスモークが、荒々しくも幻想的な光景を作り出した。「Banquet」では谷絹が左右の花道を堂々と闊歩し、客席の至近距離からオーディエンスを射抜くような視線でアジテート。会場全体から地鳴りのようなコールが巻き起こると、間髪をいれずにキラーチューン「光ってろ正義」を投下し、フロアを力強く踊らせた。
MCではオオノが「フェスでも大きなステージに立たせてもらってきましたけど、この人数が我々のためにチケットを取って足を運んでくれて、本当に幸せです」と感謝を口にし、サポートメンバーを紹介。続いて谷絹がアルバム「三者山羊」について語り始める。「メジャーに行ったからとか、1万人、2万人呼べるようになったからじゃなくて、最初から変わらない3人で、“三者山羊”でやっていきたいよねという気持ちを込めて作ったアルバムです」と、バンドとしての確固たる矜持を語った。
ライブ中盤にはアルバム「三者山羊」の楽曲群を軸に展開し、「るてん」「さよならになりました」が続けて届けられた。「私自身、音楽をして生きること、歌詞を書くこと。それはものすごく長い長い遺書を書くようなことだと思っています」という谷絹の前置きから「デイジー」へ。スクリーンにフィラメントのような光が揺れ、やがて満開の花々が映し出される中、谷絹のソウルフルな歌声が響きわたった。優しく聴く者に寄り添う「薄明光線」、日常風景を切り取ったショートムービーを経て、歌詞のタイポグラフィがスクリーンに流れた「さよなら、アイリーン」、そして新曲「クライネ」などが続けて披露された。
谷絹の昔見た夢が未来の現実=今だった話
谷絹は静かに口を開き、話す予定ではなかった思いを話すことに。高校や専門学校に通っていた頃、1人で音楽をやっていたが何もうまくいかず、信頼していた人からの裏切りに遭い、人生に絶望していた時期があったという。「そのときに夢を見たんですね。自分が大勢の人の前で楽しそうに歌っていて、ステージにはバンドメンバーがいて、カバーじゃなくてオリジナル曲を歌って、ものすごく盛り上がっている夢だった。今日歌いながら、その夢を思い出したんです。『あの日の夢で、今日を見てたんじゃないかな』って」と述べた谷絹は、ステージ後方の上部を指差した。そして「あの頃のどうしようもない私が、あそこから今の光景を見ているはず。あのとき人生をやめないぞと踏ん張れたのは、今日の1万数千人のあんたらが、うちらの作ったオリジナル曲で死ぬほど盛り上がってくれていた姿を夢で見たからだと思う」と話し、SFのような因果のループ現象が起きていると明かした。
続けて谷絹は背後の空中を指差し、「あそこで今にも火が消えそうな私がこの光景を見ています。だから盛り上がってくれなきゃ、あそこで見ている私の心が折れて、Chevonというバンドが消えちゃいます。私に、Chevonというバンドを始めさせてくれますか!」と呼びかける。喝采を浴びながら、谷絹は「ここで泣くわけにはいかないんですよ、横浜アリーナ! 伝説作っていけんのか!」と叫び、「冥冥」を投下。地鳴りのようなシンガロングが巻き起こる中、熱い歌声を響かせた。
アニメ「刃牙道」のオープニングテーマ「六ノ輪」では、アバンギャルドなアンサンブルで攻撃の手を緩めず、オオノの強烈なスラップベースからなだれ込んだ「Capretto」では、3人が花道に繰り出してスリリングなプレイを応酬。火柱が連続で噴き上がる「FLASH BACK!!!!!!!!」では高速ダンスビートに乗せてフロア全体が跳び跳ね、アリーナは巨大なダンスホールと化した。
今を現実ではなく夢と捉えるKtjm論
谷絹が衣装を直すためステージを離れた間、予定外のMCを行ったKtjmは、先程の谷絹が見た夢の話を受けて、「俺は逆に、現実離れしたこの景色のほうを『夢』と呼んでいる」と発言。真夏の野外フェスで汗が目に入って視界がにじみ、イヤモニにも汗が入って音がくぐもってしまった際に「ああ、夢から覚めたらまた大学生に戻って、バイトに行かなきゃいけないのかな」と焦ったエピソードをユーモア交じりに語った。谷絹とKtjmのディープな“夢トーク”にオオノは「どうでもいい(笑)」と愛あるツッコミを入れてフロアを和ませつつ、「家でゲームして寝るだけの生活をしていた俺を、ここまで連れてきてくれた」と2人へ改めて感謝を口にした。
「もっとでっかいところで会おうぜ!」
温かな雰囲気の中、谷絹はバンド結成当初の記憶へと話をつなぐ。札幌の練習スタジオ・スタジオシーラカンスに通い詰め、曲の作り方もわからないところから半年以上かけて曲を作っていたこと、初ライブの動員はわずか20人ほどだったことを振り返りつつ、「そんなところから始まって、奇跡的なバランスで5年でここに立った。でも、ここが終わりじゃない。ゴールテープを切るつもりはありません。あえて生意気なことを言います、ここも通過点です。次は武道館2DAYSがあるし、もっと大きいところでやんなきゃいけない。キャパを広げるのは人が入り切らないから。そうさせてくれたのはあんたたちです」と言い放った。
「半年かけて3人で作った、横浜アリーナに一番連れてきたかった曲からラストスパートへ。アンコールなし!」という谷絹の宣言から、Chevonはバンドの原点である最初期曲「No.4」を投下。オリエンタルな旋律とアグレッシブなアンサンブルに乗せて、谷絹は笑顔で歌声を響かせる。「みんなと一緒に歌いたくてこの曲を持ってきました」と告げられた「セメテモノダンス」では、1万数千人による合唱が沸き起こった。
8月リリースの「B612」は、谷絹が楽曲の世界観を「世界最後の日に君とデートの予定がある」と表現した1曲。あきらめの中に見つけた希望を軽やかに歌い上げ、観客を笑顔にさせた。そして谷絹は「正真正銘のラストナンバー! 踊れますか!」と煽り、ラストナンバー「ダンス・デカダンス」へ。銀テープが発射され、カラフルな光が交錯する中、会場の興奮は最高潮に達した。
全25曲を一切のアンコールなしで駆け抜けた3人。最後に谷絹はマイクを握り締め、「バイバイなんかじゃねえぜ! ここで終わるはずがねえぜ! もっとでっかいところで会おうぜ! ここじゃキャパ足りねえからよ! オオノタツヤ、Ktjm、そして谷絹茉優! この3人で北海道札幌市から来ました3ピースバンド、Chevonです! これからもどうぞよしなに!」と叫び、ライブを締めくくった。
なお、終演後にはライブ中に演奏された新曲「クライネ」が9月16日に配信リリースされることがアナウンスされた。さらに2027年5月に全国11カ所12公演のワンマンツアー「Chevon ONE MAN TOUR 2027」がスタートし、そのツアーファイナルが2027年9月23日に神奈川・Kアリーナ横浜にて行われることも発表された。
セットリスト
Chevon ONE MAN TOUR 2026「三者山羊」2026年9月13日 横浜アリーナ
01. B.O.A.T.
02. DUA・RHYTHM
03. Lamipus
04. 銃電中
05. ノックブーツ
06. 菫
07. サクラループ
08. 大行侵
09. Banquet
10. 光ってろ正義
11. るてん
12. さよならになりました
13. デイジー
14. 薄明光線
15. さよなら、アイリーン
16. クライネ
17. 春の亡霊
18. 冥冥
19. 六ノ輪
20. Capretto
21. FLASH BACK!!!!!!!!
22. No.4
23. セメテモノダンス
24. B612
25. ダンス・デカダンス
公演情報
Chevon ONE MAN TOUR 2026「三者山羊 -日本武道館-」
2026年12月20日(日)東京都 日本武道館
2026年12月21日(月)東京都 日本武道館
Chevon ONE MAN TOUR 2027
2027年5月8日(土)千葉県 市川市文化会館
2027年5月13日(木)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2027年5月15日(土)石川県 本多の森 北電ホール
2027年5月20日(木)広島県 広島文化学園HBGホール
2027年5月22日(土)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール コンサートホール
2027年6月3日(木)北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
2027年6月6日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
2027年6月13日(日)大阪府 フェスティバルホール
2027年6月14日(月)大阪府 フェスティバルホール
2027年6月19日(土)新潟県 新潟県民会館
2027年6月26日(土)香川県 レクザムホール(香川県県民ホール)
2027年9月23日(木・祝)神奈川県 Kアリーナ横浜
Chevon pre.よしなに~遊牧編~
2026年10月14日(水)京都府 KBSホール
2026年10月24日(土)香川県 高松festhalle
2026年11月14日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
2026年11月27日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
2026年11月29日(日)台北 Legacy Taipei
2026年12月5日(土)宮城県 SENDAI GIGS
2026年12月6日(日)宮城県 SENDAI GIGS
奉納 Special Live in 平安神宮
2026年10月10日(土)京都府 平安神宮 大極殿前特設ステージ


