水樹奈々によるオーケストラライブ「NANA MIZUKI LIVE GRACE 2026 -OPUS Ⅳ-」が、9月22日と23日に東京・国立代々木競技場 第一体育館で開催された。
本公演はフルオーケストラを迎えるライブシリーズ「LIVE GRACE」の第4弾。約7年半ぶりに開催が実現した今回の公演には、水樹本人を含め総勢100名を超える出演者がステージに登場した。オーケストラ、バンド、カルテット、コーラスが織りなすこのライブ限定のアレンジに乗せて、水樹はダブルアンコールを含め計22曲を歌唱。2日間で集まった約2万5000人の観客や、全国で50館を超えるライブビューイング、アジア各地域の映画館で実施されたディレイビューイングを通じて見守るファンに極上の音楽体験を届けた。この記事では2日目の9月23日公演の模様をレポートする。
「楽しすぎる! 気持ちよすぎる!」
ステージにヨーロッパの宮廷のような趣のセットが組まれ、格調高い雰囲気が漂う中、まずはNANA'S SPECIAL ORCHESTRAと名付けられたオーケストラのメンバーが登壇。続いてコンサートマスターの室屋光一郎、2011年の「LIVE GRACE」初回公演からコンダクターを務める藤野浩一が迎え入れられると、チャイコフスキーの組曲「眠れる森の美女」のワルツの演奏とともにオープニングムービーが上映される。書物の山の中で眠りから覚めた水樹が、迷い込んだ洋館で鏡に吸い込まれてしまう、まるでおとぎ話のような映像が会場を「LIVE GRACE」の世界観へと一気に引き込むのに合わせて、ハープの優雅な音色に導かれてオーケストラの勇壮なサウンドが立ち上がり、「Destiny's Prelude」でライブが開幕。ブルーを基調としたプリンセス風の豪奢なドレス衣装をまとい、ステージ中央に魔法の如くさっそうと登場した水樹は、「盛り上がっていくよー!」と発破をかけ、分厚いサウンドに負けず劣らずの力強い歌声を会場いっぱいに響き渡らせた。
先ほどまで青一色だった客席のペンライトが真っ赤に染まり、大勢の観客が声を上げて熱狂した「禁断のレジスタンス -Extended Mix-」、より鋭さとスピード感を増したオーケストラの演奏とまばゆいライト演出の融合がダイナミックなステージを作り上げた「NEXT ARCADIA」と、冒頭の3曲からフルスロットルでライブを駆け抜ける水樹。MCでは「ついにやってきたぞー!」「楽しすぎる! 気持ちよすぎる!」と7年半ぶりのオーケストラ公演開催の喜びを爆発させた。
ライブ初披露の楽曲やアコースティックコーナーも
水樹が「おしとやかな感じだと思いましたか? 格好はおしとやかだけど、気持ちはいつもと同じで燃えたぎっています!」と宣言すると、穏やかに広がっていく美しい前奏から「Angel Blossom」へ。ミニスカート姿に早替えした水樹は、よりアクティブに動き回りながら張りのある歌声で会場に笑顔の花を咲かせていく。2日目公演のみの日替わり曲「No Limit」では「飛ぼう!想いのままに」という歌詞そのままのエネルギッシュなパフォーマンスを展開した。さらに水樹はライブ初披露となる「Friday Night Fever」「Nightfall」を立て続けに歌唱。回転するミラーボール、フィリーソウルのように壮麗なサウンド、水樹と女性コーラスの掛け合いパートがディスコな空間を作り上げた「Friday Night Fever」、ビッグバンドのゴージャスなグルーヴが発生した「Nightfall」、どちらもフルオーケストラならではのアレンジが会場を大きく踊らせた。
ブリッジムービーでは、間もなくハロウィンということで、荒廃した洋館で目を覚ました水樹が、メイドのゴーストに扮したダンサーたちと「Dancing in the velvet moon」を披露する遊び心たっぷりの演出も。そしてここからは、水樹のライブではおなじみのバックバンド・Cherry Boysの面々を迎えてのアコースティックコーナーへ。本公演では門Dこと門脇大輔率いる弦カルテットも加わった特別編成で演奏が展開された。先ほどの映像ともリンクするゴシック風の黒いロングワンピース衣装にお色直しした水樹は、原曲よりもシックな色を強めた「シャレード」を艶やかにパフォーマンス。日替わり曲「空時計」ではバンドとカルテットによる柔らかな音が溶け合う中、慈愛に満ちた表情で優しいボーカルを届けた。続く「innocent starter -MUSEUM STYLE-」は弦の伴奏のみで披露され、水樹自身の作詞でつづられた純粋な“ありのままの気持ち”がより強く浮かび上がる。再びバンドとカルテットが合わさると、躍動感あふれる「7COLORS」が響き、七色のライト演出がステージと客席に虹の橋をかけてアコースティックコーナーを結んだ。
総勢100名超の音楽家たちとの盛大な音の饗宴
水樹に呼び込まれた指揮者の藤野がユーモアたっぷりのトークで会場を沸かせる中、バンドと入れ替わりでオーケストラが再度ステージに登壇。水樹はその優美かつ重厚なサウンドを背に「Trinity Cross」を勇ましく歌い上げる。そしてオーケストラメンバーの紹介を兼ねたワーグナー「ワルキューレの騎行」の演奏を挟み、Cherry Boysの面々がステージに合流すると、ここからはオーケストラとバンド、総勢40名からなるコーラス隊の合奏による盛大な音の饗宴へ。花束をその身にまとったような豪華絢爛なドレス衣装に着替えた水樹が、100人超の音楽家たちとともに放ったのは、ライブでいつも熱狂的な盛り上がりを見せる人気曲「TESTAMENT -Aufwachen Form-」。水樹を象徴する数字「7」にちなんだカウントダウンや、1万人を超える観客の合いの手も相まって壮大なシンフォニーが築き上げられる。そのまま水樹は「終末のラブソング」へとつなげ、力強く朗々とした歌声で会場にいるすべての人々を“新しい世界”へと導いていった。
その後のMCで多くの人の尽力で新しい挑戦を続けていられることへの感謝の気持ちを伝えた水樹は、「ここからもとんでもないBPMの曲が続くんです(笑)」と観客の期待を煽ると、この夏に放送されたテレビアニメ「魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance」より、第10話の水樹演じるフェイトが活躍するシーンでオンエアされた挿入歌「Anchor Flame」を披露。コーラス隊の荘厳な合唱が合わさって壁のようにそそり立つドラマチックなサウンド、それを凌駕する迫力の歌声が観客を圧倒する。そこからテレビアニメ「魔法少女リリカルなのはA's」オープニングテーマにして水樹のライブには欠かせない代表曲「ETERNAL BLAZE」につながると会場のペンライトは一気にオレンジ色に染まり、ステージに炎が上がる演出も相まって“永久不変の炎”がライブ空間に灯る。間奏では水樹の「いくよー!」という呼びかけに応えて会場中が「ETERNAL BLAZE!」と斉唱。さらにクワイアの天をつくようなコーラスとともに高出力のシンフォニックロック「FINAL COMMANDER」へとなだれ込み、水樹はCherry Boysの竿隊を引き連れてステージの上手と下手を行き交いながら絶唱を響き渡らせた。
いよいよライブは本編ラストの楽曲に。水樹は「終わりは次の始まり。『OPUS Ⅶ』まで続けていきたいので、皆さん応援をお願いします!」と抱負を語ると、その願いを込めて、この季節に合わせて選んだという「星空と月と花火の下」を歌唱。ミラーボールが投げかける光が体育館の天井に星空を描き出し、スクリーンに花火のグラフィック映像が重ねられてロマンチックなムードを高める中、彼女は夏の終わりの切なさを感じさせる歌を情緒たっぷりに届けた。
15年ぶりのライブ歌唱曲でフィナーレへ
会場が一体となっての「奈々」コールに応え、華やかにアレンジしたライブTシャツにロングスカートを合わせた格好でステージに舞い戻ってきた水樹は、テレビアニメ「魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance」のオープニングテーマ「CRIMSON BULLET」を熱唱。バンドとオーケストラが融合した圧倒的なサウンド、ライトによって深紅に染まったステージが観客のボルテージを引き上げる。続いてアンコール恒例の挨拶「シャッス!」をバンドやオーケストラのメンバーも含む会場全員で行って一体感を高めると、水樹はウルスラ役で出演するテレビアニメ「天は赤い河のほとり」の第2クールオープニングテーマとなる新曲「暁の星」をリリースに先駆けていち早く披露。「暁の星」はしっとりとした立ち上がりからサビにかけて大河の奔流のように音と感情の波があふれ出す、神秘的かつドラマチックな愛の歌で、水樹の新境地とも言える入魂の1曲だ。ミュージックビデオではコンテンポラリーダンスに挑戦しているとのことで、水樹は「ちょっとその雰囲気を出してみました(笑)」と茶目っ気たっぷりに語った。
その後、水樹は2027年に3年ぶりの夏ツアーを開催することを告知。7月31日と8月1日の兵庫公演から10月22~24日の東京・有明アリーナ公演まで、全国各地で公演が行われる。ファンに新たなライブの約束を届け、「激アツの夏を一緒に過ごしましょう!」と喜んだ水樹は「最後の曲ぶっ放していきます!」と宣言すると、アンコール最後の曲「SUPER GENERATION」を歌唱。水樹が初めて自身で作詞作曲を手がけた、世代を超えて愛されるライブの定番曲だ。会場を埋め尽くす1万人超の観客、ステージのコーラス隊やCherry Boysのメンバーが一緒になって大きく手を振り、声を合わせてひとつになる中、ラストは水樹の「みんな一緒に! せーの!」という号令に合わせて一斉にジャンプ。同時に銀テープが発射されてライブは大団円を迎えた。
しかしこの日は約7年半ぶりに念願かなって結実したオーケストラライブ。会場から湧き起こる「もう1回!」という声援に応えて、水樹がステージに再び舞い戻ってくると、門脇カルテットを呼び込んでダブルアンコールへと突入した。彼女は「めくるめく状況の中でも、絶対にこの気持ちは変わりたくないな、という思いが自分の中にあって。その思いをストレートにつづった曲を選びました」と、次に歌う曲を選んだ理由について語る。「これからもたくさんの未来を皆さんと一緒に見ていけたらいいなと思っています」と前置きし、彼女がこの日の最後に歌ったのは「あの日夢見た願い」。2011年の東京・東京ドーム公演「NANA MIZUKI LIVE CASTLE 2011」初日のダブルアンコール以来、約15年ぶりのライブ歌唱となった。カルテットが奏でる優しく豊かな音色に包まれながら、1つひとつの言葉を大切に紡いでいく水樹。夢を抱いた当時の初心を忘れることなく、これから先も続いていく未来を約束するように、万感の思いを込めた歌声が会場に響き渡る。水樹は涙ぐみながら深くお辞儀し、4度目の「LIVE GRACE」をフィナーレに導いた。
セットリスト
水樹奈々「NANA MIZUKI LIVE GRACE 2026 -OPUS Ⅳ-」2026年9月23日 国立代々木競技場 第一体育館
01. Destiny's Prelude
02. 禁断のレジスタンス -Extended Mix-
03. NEXT ARCADIA
04. Angel Blossom
05. No Limit
06. Friday Night Fever
07. Nightfall
08. シャレード
09. 空時計
10. innocent starter -MUSEUM STYLE-
11. 7COLORS
12. Trinity Cross
13. TESTAMENT -Aufwachen Form-
14. 終末のラブソング
15. Anchor Flame
16. ETERNAL BLAZE
17. FINAL COMMANDER
18. 星空と月と花火の下
<アンコール>
19. CRIMSON BULLET
20. 暁の星
21. SUPER GENERATION
<ダブルアンコール>
22. あの日夢見た願い
今後の公演情報
水樹奈々 2027年夏ツアー
2027年7月31日(土)兵庫県 ワールド記念ホール
2027年8月1日(日)兵庫県 ワールド記念ホール
2027年10月22日(金)東京都 有明アリーナ
2027年10月23日(土)東京都 有明アリーナ
2027年10月24日(日)東京都 有明アリーナ
※そのほか会場やチケット情報は後日発表


