JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイトJOYSOUND公式キャラクター「ジョイオンプー」

セカオワ猟奇ホラーMVは“悪趣味”ではない / Number_iの姿勢は「世界に合わせる」ではない

再生数急上昇ソング定点観測
8分前2026年10月02日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで9月18日から9月24日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、1位に藤井風の「You」が登場した。今作は2025年9月発売の3rdアルバム「Prema」に収録された楽曲で、リリースから1周年を記念しての映像化となった。9月17日のMV公開から2週間で510万再生を突破し、破竹の勢いを見せている。

4位にはBE:FIRSTの「WATCH ME feat. BIA」がランクインした。これはBE:FIRSTのUSデビュー作となる初グローバルEP「WATCH ME」のリード曲。「俺たちを見ろ」という宣言を、MVではストリートの遊び心と余裕のあるパフォーマンスで体現した映像に仕上げている。

28位に登場したのは、当連載の9月4週目で取り上げたLE SSERAFIM「Made My Night」のパフォーマンスフィルム。MVではスポーティな衣装や、ピンクを取り入れたガーリーなスタイリングで踊る姿が印象的だったが、本映像ではラグジュアリーなパーティルックに身を包み、より大人な5人のダンスを堪能できる。

国内外で活躍する人気アーティストの新曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。

ROSÉ(BLACKPINK)「new trick」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場14位

失恋の痛みや揺れ動く感情を、赤裸々に歌ってきたROSÉ。「new trick」は、そんな彼女が失恋との向き合い方そのものを更新する1曲だ。ギターとドラムが軽快に駆けるポップロックには、2024年リリースの1stフルアルバム「rosie」で際立っていた内省や哀感とは異なる、どこか吹っ切れた強さがある。

ユーザーがiPhoneで撮影した写真や映像を広告に採用するAppleのグローバルキャンペーン「Shot on iPhone」の一環として、デイヴ・マイヤーズ監督が全編をiPhone 18 Proで撮影したMVでは、体育館やプールなどを舞台に、仲間たちと無邪気にはしゃぐ姿を映し出す。興味深いのは、失恋を「乗り越えるべき過去」として大仰に扱っていないことだ。傷付かない方法を覚えるのではなく、傷付いても軽やかに次へ進む術を身に付ける。“new trick”(新しいやり方)とは、まさにその発想の転換を指すのだろう。

悲しみをドラマに仕立てるのではなく、人生を転がしていくための技へと変える。その身軽さに、「rosie」とはまた異なるROSÉの強さが表れている。

SEKAI NO OWARI「Supermarket」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場36位

こんなに楽しげな曲を聴きながら、ここまで背筋が冷えることがあるだろうか。SEKAI NO OWARIが9月18日に配信リリースした「Supermarket」は、メンバーのFukaseが作詞、Fukase、Saori、Nakajinが作曲を手がけた、日本テレビ系で10月7日にスタートするドラマ「メリーベリーラブ」のメインテーマだ。軽やかなメロディとジャジーでリズミカルなサウンドに乗せて、誰かを思うだけで、いつものスーパーマーケットでさえ、きらめく別世界へ変わっていく恋の高揚を歌っている。

ところが木村太一監督によるMVは、その幸福感を真正面から裏切るサイコホラー。熱狂的なファンの「好き」は次第に独占欲へ変質し、ピエロのマスクをかぶった主人公がメンバーを1人ずつ襲っていく。ラブソングの包装紙を剥がしたら、中から猟奇映画が出てきたような落差だ。

ただし、この映像は楽曲と無関係な“悪趣味”としてホラーをぶつけているわけではない。両者の根にあるのは、どちらも「誰かを強く思うこと」。その感情は世界を色鮮やかに変える一方で、相手との距離を見失えば執着や支配へと姿を変える。つまりこのMVは、楽曲が描く恋の幸福を反転させ、そのすぐ裏側に潜む危うさを暴いている。楽曲がスーパーマーケットという日常的な場所に恋の高揚を重ねているからこそ、MVで描かれる狂気もまた、幸福な日常の薄皮一枚向こうにあるものとして迫ってくる。甘いポップソングと血なまぐさい悪夢。その食い合わせの悪さこそが、「Supermarket」を忘れがたい1本にしている。

Number_i「DIGITAL GIRL」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場39位

海外での活動を本格化させるNumber_iが、アメリカの名門音楽レーベル・Atlantic Recordsとの契約後初の作品として送り出したトリプルAサイドシングル「REBON / BUGS LIFE / DIGITAL GIRL」。今春の渡米時にロサンゼルスで制作が始まった「DIGITAL GIRL」は、デジタル社会への風刺と、それでも“本物の愛”を信じようとする思いを、軽快なビートと電子音が交錯するサウンドに落とし込んでいる。次々と情報が流れては消えていくタイムラインのようなせわしなさの一方、日本語を軸にしたラップや言葉遊びには、彼ららしい手触りがしっかりと残る。

アメリカのディレクターや制作チームと作り上げたビジュアライザーでは、2000年前後のインターネットを思わせるVFX空間が広がる。海外進出と言っても、自分たちを欧米仕様へ塗り替えているわけではない。活動の舞台を広げながら、むしろNumber_iという輪郭を濃くしていく。世界に合わせるのではなく、自分たちの感覚を世界へ持ち込む。その姿勢が鮮明に表れた1曲だ。

関連記事

ShowMinorSavage

Aile The Shota、MANATO、SOTAによるShowMinorSavageが2nd EP「SIDE」配信リリース

約24時間前
「BMSG FES'26」ビジュアル

「BMSG FES'26」Prime VideoのPPVで3日間配信

1日前
平野紫耀(Number_i)が広告キャラクターを務めているWonjungyo Hair新ビジュアル。

Number_i平野紫耀がステージ級の輝き放つウォンジョンヨ ヘア新CM

3日前
「BMSG FES'26」ビジュアル

「BMSG FES'26」各日メインステージのトリを発表

3日前
再生数急上昇ソング定点観測

櫻坂46の愛は自己から他者へと広がっている / ロックバンドAぇ! groupついに知られる時が来た

7日前
UVERworld

UVERworld vs BE:FIRST、年末に日本武道館で対バンライブ開催

8日前
日本テレビ系「1億2000万人のありがとう 歌の感謝祭」ビジュアル

本日放送「歌の感謝祭」タイムテーブル公開、Snow Man、浜崎あゆみ、King & Prince、timeleszら出演

10日前
Fujii Kaze×UMI キービジュアル(Photo by Tomoyuki Kawakami)

Fujii KazeがUMIを迎えた新作EP配信リリース、新たな歌詞と歌唱加え「You」を再構築

10日前
左からセントチヒロ・チッチ、田中和将(GRAPEVINE)、LEO(BE:FIRST)。

チッチ、GRAPEVINE田中和将、BE:FIRST・LEOが高橋一生主演ドラマ「この味もまたいつか恋しくなる」に出演

12日前