くるり主催の野外音楽イベント「京都音楽博覧会2026 in 梅小路公園」が10月10、11日に京都・梅小路公園 芝生広場で行われた。
「京都音楽博覧会」は京都出身のくるりが2007年から毎年行ってきたイベント。“環境・文化・音楽”をコンセプトに掲げながら地域振興にも貢献するという思いが込められており、今年は開催20回目とくるりの結成30周年が重なったメモリアルイヤーでの開催となった。両日ともに岸田繁(Vo, G)と佐藤征史(B)の開会宣言からスタートし、ジャンルと世代を越えたアーティストがパフォーマンスを繰り広げた。
DAY 1
雲ひとつない青空のもとで
トップバッターは、畳野彩加(Vo, G)が近年くるりのコーラスに参加していることでも知られるHomecomings。畳野の「朝イチなのでみんなが歌える曲をやります」という宣言から、くるりの「THANK YOU MY GIRL」を披露し、会場に集まったオーディエンスを惹きつける。その後もHomecomingsは、リリース当時に岸田から賞賛を受けたという「Blue Hour」や、ドラマ主題歌として話題を呼んだ「knit」を演奏し、同郷であるくるりへの愛情と敬意をにじませつつステージを展開した。続くindigo la Endは、容赦なく日が照りつける白昼の舞台で堂々としたライブを披露。盤石なアンサンブルでソリッドな音を響かせ、大勢のオーディエンスを魅了する。くるりから影響を受けて作ったという「できやしない」をはじめ今年リリースの楽曲で最新のindigo la End像を提示しつつも、最後には観客の期待に応えるようヒットナンバー「夏夜のマジック」をプレイ。会場を感傷的なムードに浸して、ステージを締めくくった。
1日目の昼過ぎには、岸田イチオシのインドネシア発のバンド・Rimbaも登場。独特なサイケデリアを放ちながら、時にハンドクラップを発生させたり、時にジャンプを促したりと、初見のオーディエンスも多いであろう会場の空気を盛り上げていく。初夏のような空気にぴったりの陽気さを感じさせる演奏がしばし続き、会場後方では多くの人々がフードやドリンク片手にリラックスした面持ちで演奏を楽しんでいた。そんな緩やかな高揚感を塗り替えるように、「京都音博」常連のマカロニえんぴつは「愛の波」で勢いよくライブをスタート。続く「レモンパイ」「ルート16」などキャッチーさと遊び心を携えた楽曲を、ダイナミックなバンドサウンドに乗せて届ける。はっとり(Vo, G)いわく夏のような気候の中での「音博」出演は初めてだという彼らは、雲ひとつなく晴れ渡った空のもと、気持ちよさげに音を鳴らし続ける。「グッドラック・マイラバー」の終盤では、くるり「ばらの花」のフレーズを織り込むというサプライズも放り込んだ。
夕焼けに染まったロックスターが
日が傾き始めた夕暮れ時、初登場の2組が異なるアプローチで会場を沸かせた。「秋かと思ったら夏でしたね」という言葉でライブを始めたSuchmosは「YMM」や「Smile」をグルーヴィに奏で、会場に揺れを発生させる。時折涼やかな風が吹く会場の空気と共鳴するように、熱さとクールさを併せ持ったステージングで観客を惹きつけた。誰もが知るアンセム「STAY TUNE」ももちろん披露。疾走感あふれる「GAGA」へと続け、最後まで観客を目一杯踊らせた。そして、もう1組の初登場アーティスト・宮本浩次は、ロックスターそのもののような圧倒的なオーラを纏ってステージに登場。名曲「今宵の月のように」を歌唱すると、その瞬間会場には感嘆にも似た歓声が沸き上がる。その後も宮本は歌の力と唯一無二のたたずまいで観衆の視線を釘付けに。「冬の花」「俺たちの明日」といったヒットナンバーに、「凡人-散歩き-」のようなヘヴィな楽曲も織り交ぜ、他に類を見ない存在感でオーディエンスを圧倒し続けた。
満を持してくるり登場
満を持して登場したくるりは、オリジナルアレンジの「watituti」から「お祭りわっしょい」で独自のバンドアンサンブルを作り出し、すっかり暗くなった会場を得も言われぬ高揚感で満たしていく。人気曲「ロックンロール」のイントロが鳴り響くと、客席からは大きな歓声が。キラーチューンの演奏で興奮状態に陥った観客は、飛び跳ねたり声を上げたり思い思いの形で、そのサウンドを堪能した。「The Veranda」でエモーショナルな歌声を強く伸びやかに聴かせたのち、くるりは「瀬戸の内」を演奏し会場を穏やかな空気に浸す。さらに「JUBILEE」「Remember me」と、キャリアを代表するバラードナンバーが続けざまに披露され、観客は酔いしれるようにその音と声に耳を傾けた。ラストにくるりは「ブレーメン BREMEN」を演奏。美しく豊かなサウンドを響かせ、「京都音博」1日目を終えた。
DAY 2
「音博」への強い思いを込めて
初日以上の晴天となり、さながら夏フェスのような陽気が漂っていた2日目の「京都音博」。その幕開けは、総勢10名からなるジャズポップバンドJames Macaulay and The Ancient Highballsがにぎやかに飾った。ジャズのみならずさまざまなジャンルを折衷した音を奏で、確かな実験性をポップに響かせる彼ら。そのパフォーマンスを、スタンディングエリアのオーディエンスは食い入るように見つめ、シッティングエリアの観客はリラックスした空気で眺めるなど、「京都音博」らしい自由な空気がさっそく醸し出された。さまざまなアクトがくるりへのリスペクトを示すのもそんな「音博」の特徴の1つだが、ひと際強い敬意を見せたのが続くmiletだった。友達に連れられて2013年に初めてくるりのライブを観たという彼女は、その友人へ贈った楽曲「レッドネオン」を歌唱。「梅公」という、「音博」の会場・梅小路公園を示す言葉も出てくる楽曲だ。彼女はくるりと「音博」、そして友人への思いを込めた楽曲を伸びやかな声で歌ったのち、感極まりながらくるり「BIRTHDAY」のカバーも披露。夢の舞台での彼女のパフォーマンスが多くの人々の胸を刺激した。
コラボパフォーマンスも続々と
カラッとした暑さが続いた2日目の昼間は、角野隼斗 Solo & Trioが心地よい音色を弾ませ、羊文学が情動的な轟音を響かせた。角野はまずソロでパフォーマンスを繰り広げ、晴れ渡った空のもと瑞々しい音を鳴らしていく。石若駿(Dr)、マーティ・ホロベック(B)との3人編成で目まぐるしく移り変わる音が届けられたのち、ゲストとして岸田繁が登場。くるりの「奇跡」を2人で披露し、切なくも優雅な空気で梅小路公園の広大な空間を包み込んだ。羊文学も同じく、くるりとのパフォーマンスを展開。翌日にリリースを控えたコラボ曲「涙の河」を2組で披露し、たゆたうようなメロディを厚みのあるアンサンブルで鳴らし届ける。パフォーマンス後に塩塚と岸田は拳を合わせ、塩塚は「うれしかったね」と喜びをにじませた。その後羊文学は「more than words」「Dogs」をプレイ。ロックバンドとしての矜持を示すようにエッジィなサウンドをこだまさせ、颯爽とステージから姿を消した。
暑さも和らぎ始めた時分、2組の人気ロックアーティストが堂々たるステージングを見せつけた。最多出場となる後藤正文(Vo, G)擁するASIAN KUNG-FU GENERATIONは登場するなり「君という花」を奏で、さっそくハンドクラップを巻き起こす。キラーチューン「リライト」ではコール&レスポンスを発生させるなど、ベテランバンドならではの安定感で大勢のオーディエンスを魅了した。さらに“くるり「ハイウェイ」のアンサーソング”「おかえりジョニー」や、くるり「青い空」のカバーも披露され、この日ならではのパフォーマンスが文字通りの青空のもと繰り広げられた。その後しばしの転換を挟み空が暮れ始めた頃、現れたのは奥田民生。「西陽がすごい!」とこぼしつつ、「スルドクサイナラ」でライブを開始し熟練のステージングで心地いい揺れを生み出していく。「MTRY」で理屈抜きに楽しめる極上のロックンロールを奏でたのち、奥田は不動のスタンダード「さすらい」「イージュー★ライダー」を披露。幅広い世代が集まる会場が、夕焼けに染まりながらひとつになった。
「支えてくれてありがとう」
2日目のトリももちろんくるりが担当。1日目にも披露した「Morning Paper」でライブを始め、目まぐるしくリズムが変わる唯一無二のグルーヴ感で会場中を巻き込んでいく。「琥珀色の街、上海蟹の朝」が披露されるとオーディエンスが自由に体を動かし、夜の野外ならではのチルアウトした空気に。そこへ「Baby I Love You」が奏でられ、楽器隊を含む大勢によって織りなされたコーラスが、夜の公園に美しくこだました。ここで岸田は「京都音博」が20回目の開催を迎えたことについて感慨を垣間見せ、「ちょっと胸がいっぱいになりました。支えてくれてありがとう」と感謝を告げる。そして、自分たちなりのお祝いの曲として「ロックンロール」を演奏。多くの人々に愛されてきたイントロのギターリフが、ファンファーレのように高らかに鳴り響いた。
「潮風のアリア」で雄大な世界が広がり、「ハイウェイ」が穏やかに届けられたのち、軽やかに演奏されたのはカントリー風味の初期楽曲「リバー」。若かりし頃の屈折した感情がにじむこの曲が、結成から30年を迎え成熟し切った今のくるりによってしなやかに奏でられる。ラストにくるりは、「京都音博」定番の「宿はなし」を披露。郷愁に満ちた音とメロディで観客を帰路へと送り出し、20回目の「京都音博」を閉幕へと導いた。イベントの節目を見届けた大勢の観客は、名残惜しそうにしながら盛大な拍手をステージへと送り届けた。
なお、くるりは全国ツアー「くるりの30回転」を2027年1月から8月にかけて開催する。オフィシャルファンクラブおよびイープラスでは、ライブハウス編「芳しきバンドマン」全公演と、ホール編「芳しきアンサンブル」ツアーファイナルのチケット先行予約を10月26日まで受付中。
セットリスト
「京都音楽博覧会2026 in 梅小路公園」1日目 2026年10月10日 梅小路公園 芝生広場
Homecomings
01. THANK YOU MY GIRL(オリジナル:くるり)
02. US / アス
03. Blue Hour
04. knit
05. angel near you
indigo la End
01. 夏目
02. 邦画
03. 陽炎
04. さざなみ様
05. できやしない
06. 煙恋
07. Midnight indigo love story
08. 夜光虫
09. 夏夜のマジック
Rimba
01. Technicolor Meeting (Overture)
02. Gospel Intro
03. Kampiun
04. Connexion
05. SYMD
06. Siasat Disko Fuga
07. Rimba Raya
08. Good Hands
09. Crave Me, Superstar
10. Diego Superego
マカロニえんぴつ
01. 愛の波
02. レモンパイ
03. ルート16
04. リンジュー・ラヴ
05. グッドラック・マイラバー
06. 悲しみはバスに乗って
07. 星が泳ぐ
08. 運命さがし
Suchmos
01. Pacific
02. YMM
03. Smile
04. 新曲(タイトル未発表)
05. STAY TUNE
06. GAGA
宮本浩次
01. 今宵の月のように
02. I love 人生!
03. 悲しみの果て
04. 冬の花
05. 凡人-散歩き-
06. I AM HERO
07. ハレルヤ
08. 俺たちの明日
くるり
01. watituti
02. お祭りわっしょい
03. (It's only)R'n R workshop!
04. Morning Paper
05. ロックンロール
06. The Veranda
07. 瀬戸の内
08. JUBILEE
09. Remember me
10. ブレーメン BREMEN
「京都音楽博覧会2026 in 梅小路公園」2日目 2026年10月11日 梅小路公園 芝生広場
James Macaulay and The Ancient Highballs
01. 長い電車
02. Happy Sad
03. Chibi/Plastic Drastic
04. Godzilla
05. Mission Marty
06. Gyoumu
07. ハンディファンのうた
milet
01. inside you
02. Hurricane
03. レッドネオン
04. Anytime Anywhere
05. BIRTHDAY(オリジナル:くるり)
06. Christmas Eve
角野隼斗 Solo & Trio
01. Human Universe / 角野隼斗 (Solo)
02. 主よ、人の望みの喜びよ / Bach (Solo)
03. 前奏曲 ハ短調 BWV847 / Bach (Trio)
04. Alas I Hear No Giant / Marty Holoubek (Trio)
05. ワルツ 第6番 変ニ長調 作品64-1「小犬」/ Chopin (Trio)
06. 奇跡(オリジナル:くるり)
07. Caravan / Duke Ellington, Juan Tizol (Trio)
羊文学
01. 1999
02. doll
03. 声
04. Keep Walking
05. 涙の河
06. more than words
07. Dogs
ASIAN KUNG-FU GENERATION
01. 君という花
02. リライト
03. おかえりジョニー
04. スキンズ
05. 荒野を歩け
06. 青い空(オリジナル:くるり)
07. MAKUAKE
奥田民生
01. スルドクサイナラ
02. 解体ショー
03. ライオンはトラより美しい
04. 何と言う
05. スピード
06. MTRY
07. さすらい
08. イージュー★ライダー
くるり
01. Morning Paper
02. ブレーメン BREMEN
03. 琥珀色の街、上海蟹の朝
04. Baby I Love You
05. ロックンロール
06. The Veranda
07. 潮風のアリア
08. ハイウェイ
09. リバー
10. 宿はなし


