JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイトJOYSOUND公式キャラクター「ジョイオンプー」

時速36km、メジャーデビュー後初ツアーで示したこの町で音楽を続ける理由と覚悟

「時速36km presents “市民薄明” Tour」の様子。(撮影:タカギタツヒト)
6分前2026年10月16日 10:05

時速36kmの全国ツアー「時速36km presents “市民薄明” Tour」が、10月9日に東京・Spotify O-EASTでファイナルを迎えた。

音楽が始まれば俺とあんた、それだけ

今年4月にポニーキャニオンからメジャーデビューを果たし、メジャー1stアルバム「目を閉じても残る赤」を発表した時速36km。「“市民薄明” Tour」は同作のリリースを記念したツアーで、ワンマンライブと対バン公演を織り交ぜた全13公演が行われた。おなじみのSEが流れる中、ステージに登場した仲川慎之介(Vo, G)、オギノテツ(B, Throat)、松本ヒデアキ(Dr, Cho)、石井開(G, Cho)の4人は、代表曲「ハロー」でライブの口火を切る。冒頭から「銀河鉄道の夜明け」「ブルー」「スーパースター」とアッパーチューンを畳みかけ、フロアからは熱いシンガロングが巻き起こった。仲川は多くの観客で埋まった会場をうれしそうに見渡しながら、「俺はあんたに向かって歌うので、あんたはあんたのために楽しんでください」と呼びかける。さらに、周りを気にせず楽しめるライブにすると宣言し、「音楽が始まれば俺とあんた、それだけです。最後まで好きに楽しんでいって」と続け、「My Hummingbird」でパフォーマンスを再開した。

皆さんは東京という町が好きですか?

メジャー1stアルバム「目を閉じても残る赤」の収録曲を中心に構成したセットリストで、時速36kmらしいオルタナティブロックの初期衝動に満ちたこの日の公演。そんな中、ヒップホップのアプローチを試みた「Beyond the Sea, Above the Lights」では、バンドの生音でグルーヴィなサウンドが響き、観客は心地よさそうに体を揺らした。この曲ではゲストボーカルとしてながいひゆ(Hammer Head Shark)が登場し、仲川とながいの歌声が美しく重なり合った。また「ムーンサルト」からは、時速36kmの数々の作品に携わり、仲川が重要人物と語るやさしさをサポートメンバーに迎えた特別編成でステージが展開されることに。「tiny spark」「ラブソング」「Fire」といったナンバーが、幻想的な照明演出の中で届けられた。

ライブが後半に差しかかると、ギターを肩から下げたオギノが弦を爪弾きながら「皆さんは東京という町が好きですか?」と突然切り出す。彼は、東京は夢を持つ人たちがその実現に向けてしがみつく町だと語る一方、ふと周囲を見渡せば、英会話や転職、マッチングアプリなどの広告であふれ、あたかもそれが幸せの正解であるかのような圧力も感じる町だと持論を述べた。さらに「東京は戦わないと生きていけない町なんです。だったら勝ちましょうよ。あなたたちの幸せは酒飲んで、マッチングアプリをやって、適当な人を引っかけて……そういうことじゃなかったんじゃないですか」と観客に問いかける。子供の頃に抱いていた夢が叶わなくても、別の夢を見つけてそれを叶えるために努力をすればいい。だからこそ、自分が本当に望んでいたものを別の何かにすり替えるのはやめようと、言葉に力を込めた。そして、日々の生活に疲弊したとき、時速36kmの音楽に救われることがあれば、そのことを伝えてほしいと切実に語る。そうした声を聞くために音楽を続けてきたのかもしれないと最近は考えているという。そんな真摯なメッセージに続いて演奏されたのは、オギノが作詞を手がけた「東京」。コーラス隊を迎えた編成で披露されたこの曲では、都会の喧騒を思わせる轟音の中、メンバーとコーラス隊の歌声が優しく響き渡り、観客はその圧倒的なステージにじっと見入った。

誰かの夜を塗りつぶすような音楽を

先のオギノのMCを受け、仲川は「俺は誰かを救いたいというよりも、自分なんですよね、救いたいのは」と語る。BUMP OF CHICKENやThe Whoの音楽に救われ、嫌なものも塗りつぶしてもらった経験が、今も音楽を続ける理由になっているという。再び満員のフロアを見渡した仲川は、ここにも同じような経験をした人が多いのではないかと語り、「そういう人の夜を塗りつぶすような音楽をあなたたちのためにやるっていうのが案外悪くないかもなと最近思ってます」と笑顔を見せる。そして「俺は俺のために歌いますが、あなたのためになったらうれしい。そのひと言に尽きます」と続け、「動物的な暮らし」へとつないだ。

仲川と石井によるギターバトルも交えながら、ライブはいよいよ佳境へ。松本の叩くビートがますます熱を帯びる中、オギノは「これからもっといろんなことをやるだろうし、もっといろんな苦難が待ち受けていると思ってます。もう楽しみで仕方ねえよ! 付いて来いよお前ら!」と叫び、観客から大歓声が上がる。熱気あふれるステージはラストナンバー「その未来」まで続いた。

アンコールでは、2027年2月から全国3都市を巡る対バンツアー「Super Ordinary vol.5」の開催と、ファンクラブサイト「スキスキ時速倶楽部」の開設を発表し、ファンを喜ばせた時速36km。すべての演奏を終え、ステージに1人残った仲川は、当初の予定にはなかった「死ななきゃ日々は続く」を弾き語りで届けた。これで公演を締めくくろうとしたところ、ほかの3人が「ちょっと待った」と言わんばかりに再びステージに登場。最後は彼らにとって始まりの曲「リーク」が急遽披露され、ツアーファイナルは歓声に包まれながら大団円を迎えた。

セットリスト

「時速36km presents “市民薄明” Tour」2026年10月9日 Spotify O-EAST

01. ハロー
02. 銀河鉄道の夜明け
03. ブルー
04. スーパースター
05. My Hummingbird
06. 波の中の一粒
07. Gazer
08. Beyond the Sea, Above the Lights
09. Happy
10. ムーンサルト
11. tiny spark
12. ラブソング
13. Fire
14. 東京
15. ブリキの翼
16. オーバードライブ
17. 動物的な暮らし
18. 網膜の奥、ハートの側
19. 七月七日通り
20. その未来
<アンコール>
21. 花束
22. 夢を見ている
23. 死ななきゃ日々は続く
24. リーク

公演情報

時速36km presents "Super Ordinary vol.5"

2027年2月11日(木・祝)大阪府 BIGCAT
2027年2月20日(土)愛知県 THE BOTTOM LINE
2027年3月5日(金)東京都 LIQUIDROOM

関連記事

時速36km

時速36kmがFCサイト開設、その名も「スキスキ時速倶楽部」

6日前
時速36km

時速36kmがTikTok公式アカウント開設

約2か月前
「MONSTER baSH 2026」ロゴ

香川「MONSTER baSH 2026」の模様をNHKでオンエア

約2か月前
「ボロフェスタ2026」ロゴ

京都「ボロフェスタ」にトリプルファイヤー、雪国、尾崎世界観、笹川真生、∈Y∋、NDGら

約2か月前
a flood of circle「革命未遂の蝶が見る夢」テイチクオンライン限定盤ジャケット

a flood of circleベストアルバム付属のブックにスピッツ田村、宮藤官九郎、ユニゾン田淵ら19名が寄稿

3か月前
「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2026」キービジュアル

「ラブシャ」タイムテーブル発表 今年のトリはCreepy Nuts、アジカン、Vaundy

4か月前
「スペースシャワー列伝 第169巻 -奏景の宴-」ビジュアル

スーパー登山部、Trooper Salute、Hammer Head SharkがWWWで競演「スペシャ列伝」

4か月前
時速36km

時速36km全国ツアー「市民薄明」追加公演は台北で

4か月前
時速36km「網膜の奥、ハートの側」ミュージックビデオより。

時速36km仲川慎之介が虹と星を探す旅に出る、メジャー1stアルバム収録曲MV公開

4か月前