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ART-SCHOOL木下理樹、愛にあふれたオールナイトの生誕祭

5年以上前2018年10月16日 9:02

ART-SCHOOLの木下理樹(Vo, G)の生誕祭イベント「木下理樹生誕祭2018~BAN NEN~」 が10月13日深夜から14日朝方にかけて東京・LIQUIDROOMで開催された。

イベントにはART-SCHOOLのほか、フルカワユタカ、須藤寿(髭)、クボケンジ(メレンゲ)、Ropes、DJ TOMMY(BOY)が出演。14日に40歳の誕生日を迎えた木下をオールナイトで祝った。

日付も変わった頃、ステージを覆う幕が開くと、そこには本公演の主役である木下の姿が。1人ステージに立った彼は「40歳……この記念に来てくださったお客さまに感謝を込めて、このイベントをやろうと……」と開会の挨拶をし、フロアから大きな歓声を浴びた。「朝までお付き合いください」と彼が頭を下げて立ち去ろうとしたところ、ステージ袖からホールケーキを持ったフルカワが登場し、観客とバースデーソングを合唱。ケーキを渡されてうれしそうな木下の様子をメンバー戸高賢史(G)がステージ袖よりしっかりとカメラで捉えてライブ配信するという、和やかな光景が繰り広げられた。

イベントのトップバッターを務めたのは、この日徳島のイベントに出演したあと、本会場に駆け付けたフルカワ。彼は軽快なトークで親友の木下をいじりつつも「誕生日おめでとうございます!」と言葉を送り、「シューティングゲーム」でアコースティックギターをかき鳴らした。「なんでこんなに木下理樹から離れられないんだろう?」と笑いを交えて関係性を語ったフルカワは「このまま俺はあいつのそばにいるから。50になっても、60になっても」と愛ある言葉を口にし、「バスストップ」、そしてフジファブリックの楽曲「ロマネ」を披露。最後にDOPING PANDAの代表曲の1つ「the miracle」をプレイすると、場内に温かなハンドクラップが自然と沸き起こった。

フルカワはライブを終え、普通ならステージをはけていくところだが、2番手の須藤にギター演奏を頼まれたという。ステージに現れた須藤は「木下理樹に出会った日はこんな夜だったかな」となぜかミュージカル風に「青空」を歌い始め、フルカワに突っ込まれながらも、穏やかな歌声で心地のいい空間を作り出した。須藤は「弾き語りだからってひよってんじゃねえぞ!」とフロアを煽ると、コール&レスポンスを交えながら「テキーラ!テキーラ!」を縦横無尽にパフォーマンス。ひと足早くフルカワがステージからはけたあと、「僕は彼(木下)にすごい友情を感じているよ。本当にいい人だよ、あの人は」と述べ、木下にはちょうどいい曲だと前置きして8月に配信した「きみの世界に花束を」をじっくりと弾き語った。

アチコ(Vo)とこの日ダブルヘッダーとなった戸高によるユニットRopesは「Baby」でライブをスタートし、ゆるやかにサウンドを紡ぎ出す。アチコは「年を重ねながら美しく生きていくことは、非常にクリエイティブなことだと思います。リッキーも素敵に年を重ねていってもらえたら」と、木下に温かなメッセージを送った。彼女たちは「Draw」「yume」を続け、無垢な歌声と奥行きのあるサウンドで幻想的な空間を生み出す。そしてラストナンバー「dialogue」を経て、アチコの「ART-SCHOOL、木下理樹愛してます!」という言葉でRopesのステージは締めくくられた。

静かにステージに現れたクボは、メレンゲのナンバー「忘れ物」で切迫感のある歌声を響かせた。彼は「今年たくさんの人が亡くなってしまうことが多いなと思って……会いたい人には、会いたいと思った瞬間に会っとかなきゃなと思ったんですよ。だから、僕は今日木下理樹に会いにきました」と思いを吐露し、ART-SCHOOLが今年発表した最新アルバム「In Colors」より、クボのお気に入りの楽曲だという「OK & GO」をカバー。最後には「リッキーと仲よくなったのも、志村(正彦)が巡り合わせてくれたような感じでもあるので」とフジファブリックの「若者のすべて」を熱唱しステージを終えた。

深夜3時を回る頃、いよいよART-SCHOOLがステージへ。この日彼らは最新アルバム「In Colors」から2000年発表の1stミニアルバム「SONIC DEAD KIDS」まで、18年におよぶバンドの歴史をさかのぼっていくかのようにセットリストを展開した。まずは「In Colors」より「Touching distance」「Dreaming Of You」が披露され、4人のハイテンションなプレイに深夜のLIQUIDROOMは大盛り上がり。戸高に40歳になった心境を尋ねられた木下は、「38歳くらいからだんだんおっさん化してるなとは感じてたから、おっさん化現象に関しては特に」とマイペースに答え、早速オーディエンスを和ませていた。

ライブ序盤では「Supernova」「フローズン ガール」といったバンドの歴史の中では比較的新しいナンバーが続き、観客はポップで美しいバンドの世界観に陶酔。「BABY ACID BABY」収録の「CRYSTAL」、「14SOULS」収録の「LOST CONTROL」といったレアナンバーも惜しげもなく演奏され、この日ならではのセットリストにフロアから大きな歓声が上がった。MCでは「50歳くらいになっても、またこういうのをやれたらいいよね」と屈託なく語る木下に、戸高が「長生きしそうですね、誰よりも」と笑う場面も。木下から観客へのプレゼントコーナーも設けられ、抽選で選ばれた幸運なファンがステージ上で喜びいっぱいに景品を受け取った。

アルバム「Flora」収録の「アダージョ」「Nowhere land」といった中期の楽曲を経て、バンドは観客を引き連れてさらに歴史をさかのぼっていく。「LITTLE HELL IN BOY」「刺青」では木下の切実な歌声が響きわたり、オーディエンスは息を呑んでじっくりと聴き入っていた。その後は「スカーレット」「UNDER MY SKIN」といったライブの人気ナンバーが演奏され、フロアから一斉に腕が上がる。朝方4時にも関わらず会場は熱気に包まれ、いよいよライブは初期ナンバーで構成される終盤へと突入した。

1stフルアルバム「REQUIEM FOR INNOCENCE」から演奏されたのは「アイリス」。鮮烈なギターサウンドに始まり、4人は疾走感あふれるパフォーマンスを繰り広げた。柔らかなサウンドが紡がれた「レモン」を経て、オールナイトのライブ終盤、木下は「見たらわかると思うけど、もうボロボロなんだよ……」と疲弊した様子。「なんで40歳の誕生日にこんなボロボロになってるんだよ」と戸高からまっとうな突っ込みが入るも、木下は「それでこそART-SCHOOLだよな」と言い切り、フロアから大きな拍手を浴びた。その後も彼らは「MISS WORLD」「ロリータ キルズ ミー」といったバンドの代表曲をエモーショナルに届け、いよいよバンドにとって最初期の作品「SONIC DEAD KIDS」の収録曲の演奏へ。軽快ながらも濃密なバンドの世界観が広がる「SANDY DRIVER」、豪快なステージングが繰り広げられた「NEGATIVE」を経て、本編の最後を飾ったナンバーは「斜陽」。これまでバンドにとって節目の大切なライブでも演奏してきたこの曲をたおやかに奏で、彼らは本編を終えた。

アンコールで木下は改めてこの日の出演者、スタッフ、そして集まったファンへの感謝を言葉に。バンドは最後に「FADE TO BLACK」で轟音をかき鳴らし、朝方5時頃、オールナイトの愛あふれる生誕祭を締めくくった。

「木下理樹生誕祭2018~BAN NEN~」2018年10月13日 LIQUIDROOM セットリスト

フルカワユタカ

01. シューティングゲーム
02. バスストップ
03. ロマネ(オリジナル:フジファブリック)
04. the miracle

須藤寿(髭)

01. 青空
02. テキーラ!テキーラ!
03. きみの世界に花束を

Ropes

01. Baby
02. Draw
03. yume
04. dialogue

クボケンジ(メレンゲ)

01. 忘れ物
02. 絵本
03. OK & GO(オリジナル:ART-SCHOOL)
04. 若者のすべて(オリジナル:フジファブリック)

ART-SCHOOL

01. Touching distance
02. Dreaming Of You
03. Promised Land
04. Supernova
05. フローズン ガール
06. CRYSTAL
07. LOST CONTROL
08. アダージョ
09. Nowhere land 
10. それは愛じゃない 
11. LITTLE HELL IN BOY 
12. 刺青 
13. スカーレット 
14. UNDER MY SKIN 
15. OUT OF THE BLUE 
16. ジェニファー'88 
17. アイリス
18. レモン
19. シャーロット
20. MISS WORLD
21. ロリータ キルズ ミー
22. SANDY DRIVER
23. NEGATIVE
24. 斜陽
<アンコール>
25. FADE TO BLACK

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