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ART-SCHOOL、聖なる夜にアコースティックライブで過去作を懐古

「ART-SCHOOL ACOUSTIC TOUR 2023『NOSTALGIE』」の様子。
3か月前2023年12月25日 10:01

ART-SCHOOLが12月24日に東京・YUKUIDO工房でアコースティックツアー「ART-SCHOOL ACOUSTIC TOUR 2023『NOSTALGIE』」のファイナル公演を行った。

ART-SCHOOLは「《レコードの日2023》限定盤」として11月に過去アルバム「REQUIEM FOR INNOCENCE」「LOVE/HATE」のアナログ盤をリリースした。アコースティックツアーで木下理樹(Vo, G)と戸高賢史(G)はこれらの作品の中からレア曲やアコースティック用にアレンジした楽曲を披露。岡山、京都、宮城、愛知、神奈川、東京の6カ所を回り、ツアータイトル通り、たっぷりとノスタルジーに浸った。

聖なる夜にステージに現れた木下と戸高は、「TIMELESS TIME」でゆったりとライブを開始。木造ならではの温かみのある雰囲気の会場で、柔らかな歌声と晴れやかなギターの音色を響かせ、観客を日常から離れた幻想的な世界へと誘った。戸高は「クリスマスイブですね。秘密の集会をしているみたいです」と階段の立ち見エリアまでぎっしりと人が集う場内を見渡す。木下も観客に「メリークリスマス」と言葉を贈った。戸高は「ART-SCHOOLにはいろんな曲があるんですけど、いい曲が多く、アコースティックアレンジにしても合う曲が多いなと思っていて。そういうことを噛み締めようという企画です」とツアーの趣旨を説明。爽快なギターサウンドが印象的な1stアルバムの収録曲「リグレット」にもアコースティックアレンジが施され、楽曲の新たな一面をオーディエンスに感じさせた。

ここまでスタンドマイクで歌を届けていた木下は、フライングVを携え、「バンドでやる機会が少ない曲で、けっこう好きな曲があって」と「それは愛じゃない」を披露した。本公演ではアコースティックライブならではの木下と戸高のゆるやかなトークも楽しみどころのひとつ。「お客さんとコミュニケーションを取りながら、お互いの緊張をほぐしていきたい」と木下は意欲的に述べ、会場が上野にあることにちなんで、かつて上野動物園でものすごく大きなゾウを見たエピソードなどで観客を和ませた。

「影待ち」では陰りのある歌声とギターが紡ぐメロディアスな旋律に観客がじっくりと浸り、「Love will found you, in the end」では2本のギターの音色が美しく絡み合って心地のいい空間を生み出す。普段のライブでも披露される機会が比較的多い印象のある「Butterfly Kiss」「クロエ」といったナンバーもアコースティックアレンジによって新たな空気をまとって軽やかに響き渡った。「僕らにもクリスマスソングっぽいものがあって。クリスマスの時期になると、これやったほうがいいかなとメンバーと話し合ったりします」と戸高が話し、そっと演奏し始めたのは「アパシーズ・ラスト・ナイト」。2人は「クリスマス・イヴに裸足のまま逃げ出そう」というフレーズで始まるART-SCHOOL流のクリスマスソングを紡ぎ上げた。

その後、彼らは美しいメロディが際立つシンプルなアレンジで「BOY MEETS GIRL」、エモーショナルな間奏のギターをアコースティックに落とし込んだ「LOVE/HATE」などを演奏した。さらに2人は「SWAN DIVE」をたおやかに届けたあと、冬の空気が漂うナンバー「カノン」を披露。爪弾くような音色からエレキギターでドラマティックな展開を描いた「ステート オブ グレース」を経て、「しとやかな獣」を慈しむように穏やかに奏でた。

戸高は今年6月にリリースした最新アルバム「luminous」について「アコースティックライブ向けの曲があんまりなくて」と述べつつ、「でも、次にやる『Bug』という曲は、木下さんのデモの段階からアコギとピアノだけで作られていて、牧歌的な感じの曲だった」と振り返る。結果としてシューゲイザーサウンドの轟音が印象的なナンバーに仕上がったが、戸高は「たくさんギターを重ねて、新しいことをやったのに、作ったときにすごく懐かしい感覚があって。木下理樹の書く綺麗なメロディと、情景が浮かんでくる歌詞、これこそがART-SCHOOLなんだなという感じがした」と話し、「作っていてよかったなと僕も心から思った曲。今日の僕らの演奏とか、木下理樹の歌声、ギター、ART-SCHOOLの曲が、皆さんの生活の中で少しでも背中を押せるようなものでいてくれたらいいなと思っています。今日は本当にありがとうございました」と言葉を贈った。そして2人はラストナンバー「Bug」を披露。戸高がかき鳴らすアコースティックサウンドに乗せて、木下の透き通るような柔らかな歌声が会場に響き渡った。

アンコールを求める拍手に呼ばれて2人は再びステージに登場し、冬を感じさせる楽曲「ガラスの墓標」を演奏した。木下は「今日はいいライブで、やっていてすごく楽しかったです。どうもありがとうございました」と告げる。その後「僕らにとってすごく大事な曲をやって終わりにします」という戸高の言葉とともに、2人はこれまでも節目で大切に演奏にしてきた「斜陽」を観客に贈り、2023年最後のライブを締めくくった。

セットリスト

ART-SCHOOL「ART-SCHOOL ACOUSTIC TOUR 2023『NOSTALGIE』」2023年12月25日 YUKUIDO工房

01. TIMELESS TIME
02. 1965
03. リグレット
04.それは愛じゃない
05. 影待ち
06. Love will found you, in the end
07. Butterfly Kiss
08. クロエ
09. アパシーズ・ラスト・ナイト
10. フローズン ガール
11. BOY MEETS GIRL
12. LOVE/HATE
13. SKIRT
14. SWAN DIVE
15. カノン
16. ステート オブ グレース
17. しとやかな獣
18. Bug
<アンコール>
19. ガラスの墓標
20. 斜陽

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