石野卓球とZAZEN BOYSによるツーマンライブ「ライブナタリー × SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY『地下室の喧騒』」が、10月11日に東京・LIQUIDROOMで行われた。
もともとこのイベントは2020年3月に、東京・新宿LOFTの歌舞伎町移転後20周年を記念して同会場で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大し始めたタイミングだったため同年6月に延期に。ところがコロナ禍の状況はその後さらに悪化し、この振替公演も結局開催見送りとなっていた。そして今回、イベントタイトルの“地下室”である新宿LOFTからLIQUIDROOMに会場を変更し、当初の予定から約1年半が経ってようやく再延期公演の開催が実現。当日は音響・照明・舞台を支えるスタッフを新宿LOFTの現場チームが担当し、ステージの後方にはLOFTのロゴが描かれた大きなバックドロップが吊るされるなど、ライブハウスの垣根を超えたコラボが展開された。
全員で不織布マスクを着けてステージに登場したZAZEN BOYSのライブは「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」で幕開け。抜群に息の合った4人のタイトで切れ味の鋭いアンサンブルが、会場の空気を一瞬で熱くした。向井秀徳(Vo, G)は当日が月曜だったことに触れて「月曜日、個人的にはウィークエンド」と言い、バンドは「Weekend」を演奏。感染対策のため大きな声を出すことを禁じられたフロアから手拍子が沸き起こった。「COLD BEAT」では終盤にメドレー的に「泥沼」に突入し、最後に再びもとの曲に復帰。グルーヴィなサウンドがオーディエンスの体を揺らした。
続いて披露されたのは、Kraftwerkのカバー「Computer Love」。メランコリックなメロディを吉兼聡(G)が哀愁あふれるギターで響かせ、向井が彼らしい歌いまわしで英語詞を熱唱した。「はあとぶれいく」で向井は、マイクケーブルを持ってぐるんぐるんとマイクを振り回し、曲の終わりにキャッチしてキメようとするも、受け取り損ねてマイクが落下。「ゴツッ」という音が会場に響き渡った。「半透明少女関係」ではラストの「らっせーら!」「ええじゃないか! ええじゃないか!」「わっしょい! わっしょい!」の掛け声に合わせて、観客も腕を振り上げて踊り出す。バンドの凄味を見せつける怒涛のステージは「Asobi」で締めくくられ、ステージを去る4人に観客から惜しみない拍手が送られた。
後攻としてステージに登場した石野卓球が機材に手をかけると、極太の電子音が会場に充満。空気が震えるほどの大音量が観客の肌を痺れさせる。そしてパーティの始まりを告げるように、P!nkの「Get The Party Started」のワンフレーズがループで流された。その後も彼は、みぞおちを打つような爆音のキックなどのリズムの上で、「ゴジラのテーマ」のイントロ部分などさまざまな曲の断片を素材にし、ボイスサンプルなどと組み合わせて彼らしいダンスミュージックを構築。フロアはどんどん高揚感で満たされていった。
終盤にDead or Aliveの「You Spin Me Round」がプレイされると、オーディエンスは腕を振り上げてダンス。そこにNew Order「Blue Monday」のブレイク部分のドラムを重ねて何度もループさせ、声を出せないながらも観客は静かに熱狂に達していた。ここで一旦ヘッドフォンを外してブースの陰に隠れた卓球だが、鳴り止まない拍手を受けてアンコール的にパフォーマンスを再開。ジョルジオ・モロダー「Chase」をプレイしてフロアを沸かせた。さらに彼はJefferson Airplane「Somebody To Love」をノイジーにループさせ、観客はグルーヴィなビートに合わせて手拍子。1年半の延期を経て行われた再延期公演は大盛り上がりの中でフィナーレを迎えた。
なお、ナタリーストアでは本公演の開催を記念した、クリエイティブユニット・magmaがデザインを手がけたグッズを期間限定で販売中。なくなり次第販売は終了となるとなるので、購入はお早めに。
「ライブナタリー × SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY『地下室の喧騒』」2021年10月11日 LIQUIDROOM セットリスト
ZAZEN BOYS
01. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
02. Weekend
03. ポテトサラダ
04. COLD BEAT
05. Computer Love
06. 杉並の少年
07. はあとぶれいく
08. 半透明少女関係
09. Asobi
