UK.PROJECTが主催するライブイベント「UKFC on the Road 2018」のファイナル公演が、8月22日に東京・新木場STUDIO COASTにて開催された。
「UKFC on the Road」はUK.PROJECTのレーベル部門とプロダクション部門の所属アーティストが一堂に会するライブイベント。今年はツアー形式で行われ、新木場STUDIO COASTでのファイナル公演には2011年に始まった「UKFC」に初回から幾度も参加してきたthe telephones、[ALEXANDROS](当時は[Champagne])、BIGMAMA、POLYSICS、THE NOVEMBERSに加え、TOTALFAT、aint、Helsinki Lambda Club、odol、polly、postman、teto、ウソツキといった面々が出演した。
トップバッターのtetoはFRONTIER STAGEに登場。SEのNirvana「Silver」をぶった切るように一斉に音を鳴らし、ライブの幕開けを告げる。小池貞利(Vo, G)は「拝啓、ここ、新木場COAST、出会えたすべての人たちに」と言って「拝啓」を歌い始め、さっそくフロアにダイブ。「Pain Pain Pain」でもステージを飛び出し、客席エリアの柵に乗って観客と共にシンガロングしていた。疾走感のある「高層ビルと人工衛星」やエモーショナルな「溶けた銃口」でオーディエンスを盛り上げたtetoは最後に「忘れた」で強いメッセージを残し、ステージを下りた。FUTURE STAGEの一番手・postmanは寺本颯輝(Vo, G)のハイトーンボイスが冴え渡る「光を探している」でライブをスタート。今年4月にRX-RECORDSからミニアルバム「干天の慈雨」でデビューした彼らは、そのデビュー作より「Moongaze」を披露し、盤石なバンドアンサンブルで観客を魅了する。代表曲の1つ「正夢」を歌い終えた寺本は「これからもどんどん上に行きたい。次はメインステージに立ちたい」と野望を語り、そんな思いを込めた新曲「夢と夢」をメンバーと共に熱演し出番を終えた。
ナカムラリョウ(G, Syn)が加入してから初の「UKFC」出演となるPOLYSICSは「SUN ELECTRIC」で勢いよくライブを始め、フロアを大きく揺らす。ハヤシヒロユキ(G, Vo, Syn, Programming)は「今年は新体制でやって参りました!」と元気よく挨拶すると、2011年に行われた第1回目の「UKFC」に出演した5組がこの日そろうことについて「うれしいですよね。『UKFC』の重みを感じる」と感慨深げにコメント。バスを借りて全国を回った思い出を楽しそうに振り返り、一層気合いを入れてパフォーマンスを続けた。そしてラストナンバーとしてPOLYSICSがドロップしたのはthe telephonesの楽曲「urban disco」。疾走感のある演奏が繰り広げられ、サビではオーディエンスのかけ声が飛び交った。FUTURE STAGEではpollyがゆるやかに「生活」を奏で、柔らかなサウンドと儚げな歌声で場内を満たした。かすかに青のライトが照らす薄暗い空間で、彼らは「花束」を続けて演奏。そして「pollyです。よろしくどうぞ。やりたいように25分間音楽をやらせてもらいます」という越雲龍馬(Vo, G)の短い挨拶を経てシューゲイザーサウンドが美しい新曲や「狂おしい」などを届け、心地のいい空間を生み出した。
イベント立ち上げ時より「UKFC」に出演してきたTHE NOVEMBERSは「Hallelujah」でこの日のライブをスタート。続く「Misstopia」で浮遊感のあるサウンドが響き渡ると、観客は気持ちよさそうにゆったりと体を揺らした。「Gilmore guilt more」では緩急を付けた迫力のあるステージが繰り広げられる。その後も彼らはほとんど言葉を挟むことなく「こわれる」「黒い虹」といったナンバーで轟音をかき鳴らし続け、会場に深い余韻を残してステージを去って行った。昨年「UK.PROJECTオーディション2017」でグランプリに輝き「UKFC」に初出演したaintは今年FUTURE STAGEに登場し、ストレートにサウンドを放っていく。ニシダコウキ(Vo, G)の「今年6月に(UK.PROJECTから)シングルをリリースしまして、今年は正式に家族としてここに立てています」という喜びの言葉を経て、彼らはこの日リリースしたミニアルバム「灯」よりBIGMAMAの金井政人(Vo, G)がプロデュースした楽曲「Moondrop」をプレイ。堂々とした力強いパフォーマンスで最後までオーディエンスの目を引き付けた。
Jose(Vo, G)の「どうもこんにちは! お祭り隊長TOTALFATです! やれんの!?」という威勢のいい挨拶を経て、TOTALFATはShun(Vo, B)が鳴らす力強いベースラインが印象的な「夏のトカゲ」で演奏をスタート。観客はタオルを回したりクラップをしたりと、さっそく彼らのパフォーマンスを全力で楽しむ。4月に配信リリースされた「Phoenix」ではKuboty(G)のギターの速弾きが炸裂。Joseがハンドマイクで歌う新曲「Your Goddamn Song」ではBunta(Dr, Cho)が刻むビートに合わせて観客がステップを踏んだ。その後TOTALFATは“ガソリン注入タイム”と題してビールを来場者に配布。なぜかthe telephonesの岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek)もステージに現れ、ビールの入った紙コップを観客に手渡していた。“ガソリン満タン”な状態で始まったキラーチューン「PARTY PARTY」に観客は熱狂。さらにバンドは「Place to Try」「DA NA NA」と続け、熱気に満ちたステージをあとにした。FUTURE STAGEに現れたodolはセッションで観客を惹き付けたあと、少ない音数で魅せる「大人になって」でライブを開始。ミゾベリョウ(Vo, G)の突き抜ける歌声をダンサブルな人力ビートに乗せて届ける高揚感のあるナンバー「four eyes」、森山公稀(Piano, Syn)が奏でる美しいピアノの旋律が印象的な「years」などを届けていく。最後は「生活」でエモーショナルな一面を見せつけ、パフォーマンスを締めくくった。
FRONTIER STAGEに堂々と現れた「UKFC」の常連BIGMAMAは「荒狂曲“シンセカイ”」でフロアを焚きつける。メジャーデビューシングルからは「Strawberry Feels」「POPCORN STAR」の2曲を披露。「ヒーローインタビュー」では金井政人(Vo, G)と柿沼広也(G, Vo)の歌声が重なり、美しいハーモニーとなって会場を満たす。リズムを絶やすことなく、5人は「MUTOPIA」へと突入。力強いビートに乗って観客はジャンプし、フロアを揺らした。真っ赤な照明の中で金井が歌い始めたのをきっかけにスタートしたのは「ファビュラ・フィビュラ」。大合唱とヘヴィなサウンドがぶつかり合うこの楽曲で大きな一体感を作り上げた彼らだったが、「秘密」では一変清涼感あふれるサウンドで観客を盛り上げる。そして彼らのステージは人気の初期ナンバー「CPX」で締めくくられた。ウソツキは「新木場発、銀河鉄道」を皮切りに次々と楽曲を披露。9月26日にリリースするニューアルバム「Diamond」から「夏の亡霊」「名もなき感情」を一足先に届け、最後は「一生分のラブレター」で締めくくった。
満員の観客に迎えられた[ALEXANDROS]は新曲「LAST MINUTE」でライブの封を切る。人気曲「city」「Starrrrrrr」では大合唱が巻き起こり、会場に一体感が生まれる。「ハナウタ」を丁寧に歌い上げた川上洋平(Vo, G)は「UKFC on the Road」が始まった頃一緒に全国を回ったthe telephones、THE NOVEMBERS、POLYSICS、BIGMAMAという盟友たちが勢ぞろいしたことを喜びつつ、「いくら同じ事務所とは言えケンカ売っていきますんで!」と対抗心をむき出しに。アグレッシブなパフォーマンスで「I Don't Believe In You」を披露し、映画「BLEACH」の主題歌「Mosquito Bite」を畳みかける。「Kick&Spin」で会場をさらなる熱狂の渦に巻き込んだ彼らは、最後に「Adventure」をワンコーラス届けて颯爽と去っていった。FUTURE STAGEのトリを任されたHelsinki Lambda Clubはキャッチーな「skin」でさっそくシンガロングを巻き起こす。間髪入れずに「ユアンと踊れ」になだれ込み、さらに「King Of The White Chip」へとつなげた。橋本薫(Vo, G)が「UKFC on the Road自由に踊りましょう! よろしく!」と観客をエスコートし、バンドはリラックスしたムードで「PIZZA SHAKE」を披露。その後も最新曲「Jokebox」や「Lost in the Supermarket」といったナンバーを矢継ぎ早に投下し、「This is a pen.」まで駆け抜けた。
3年ぶりに「UKFC」にカムバックしたthe telephonesはおなじみのアフロのカツラを被ってステージイン。満員の観客が待ちわびる中、「D.A.N.C.E. to the telephones」でライブの幕を開ける。石毛輝(Vo, G, Syn)は「最高の夜にしようぜ! 俺たちはみんなを踊らせることしかできねえから踊ってくれ! 行こうぜ新木場!」と呼びかけ、バンドは長島涼平(B, Cho)が鳴らすグルーヴィなベースラインから「Yeah Yeah Yeah」に突入していく。初期ナンバーの「RIOT!!!」では石毛がハンドスプリングを披露。さらに「Homunculus」をじっくりと演奏し、ブランクを感じさせない息の合った演奏で魅せた。石毛は「(the telephonesとしては)3年ぶりの出演ですが、もう3年か……っていう気がするなあ」と感慨深げに語る。松本誠治(Dr)が「私は正式に3年ぶりです。みんなは出てたの?」とメンバーに振ると、3人は曖昧な返事でお茶を濁す。なんとも言えない空気の中、石毛は「ウソだろ? こんなMCでいいの?」と笑い、長島も「じゃあみんなどんなMCがいいの?」と問いかけるなど、混沌とした雰囲気でMCは進み、その流れを断ち切るようにバンドは「A.B.C.DISCO」で演奏を再開した。「We are?」「DISCO!!!」のコール&レスポンスにPOLYSICSの挨拶「TOISU!」を紛れ込ませながら、4人は「Keep Your DISCO!!!」「urban disco」の3曲を連射。観客たちの「I am DISCO!!!」の声がこだまする中、本編は幕引きとなった。
アンコールでは石毛が「本当にありがとうしか言えないです。バンド側のわがままを受け入れてくれてありがとう。休止してるのに『今年2本だけライブをやります』と勝手なことを言ったのに楽しんでくれて。その様子を観て俺たちも楽しめて。活動休止してよかったと言うことはないけれど、楽しんでもらえてるということはいい3年間だったのかなと思います」とファンに感謝。そしてメジャーデビュー10周年を記念してワンマンツアーを行うことを発表すると、この日一番の歓声があがった。その後バンドは「Monkey Discooooooo」と「Love&DISCO」を熱演。カラフルなバルーンが舞う中、「UKFC on the Road 2018」は大団円を迎えた。
UKFC on the Road 2018 2018年8月22日 新木場STUDIO COAST セットリスト
teto
01. 拝啓
02. Pain Pain Pain
03. 高層ビルと人工衛星
04. 溶けた銃口
05. 忘れた
postman
01. 光を探している
02. Moongaze
03. 正夢
04. 夢と夢
POLYSICS
01. SUN ELECTRIC
02. Young OH! OH!
03. That's Fantastic!
04. Sea Foo
05. How are you?
06. シーラカンス イズ アンドロイド
07. Let's ダバダバ
08. urban disco (the telephonesカバー)
polly
01. 生活
02. 花束
03. 新曲
04. バースデイ
05. 狂おしい
THE NOVEMBERS
01. Hallelujah
02. Misstopia
03. Gilmore guilt more
04. こわれる
05. Xeno
06. 黒い虹
aint
01. 君のこと
02. 透明な世界
03. 催花雨と踊り子
04. Moondrop
05. Alnitia
TOTALFAT
01. 夏のトカゲ
02. Phoenix
03. 晴天
04. Your Goddamn Song
05. PARTY PARTY
06. Place to Try
07. DA NA NA
odol
01. 大人になって
02. four eyes
03. 綺麗な人
04. years
05. 生活
BIGMAMA
01. 荒狂曲“シンセカイ”
02. Strawberry Feels
03. POPCORN STAR
04. ヒーローインタビュー
05. MUTOPIA
06. ファビュラ・フィビュラ
07. 秘密
08. CPX
ウソツキ
01. 新木場発、銀河鉄道
02. ボーイミーツガール
03. 夏の亡霊
04. 名もなき感情
05. 一生分のラブレター
[ALEXANDROS]
01. LAST MINUTE
02. city
03. Starrrrrrr
04. ハナウタ
05. I Don't Believe In You
06. Mosquito Bite
07. Kick&Spin ~ Adventure
Helsinki Lambda Club
01. skin
02. ユアンと踊れ
03. King Of The White Chip
04. PIZZA SHAKE
05. Jokebox
06. Lost in the Supermarket
07. 素敵な負け犬
08. This is a pen.
the telephones
01. D.A.N.C.E. to the telephones
02. Yeah Yeah Yeah
03. DaDaDa
04. RIOT!!!
05. Homunculus
06. A.B.C.DISCO
07. Keep Your DISCO!!!
08. urban disco
<アンコール>
09. Monkey Discooooooo
10. Love&DISCO
※記事初出時、カメラマンクレジットに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。