インディーズレーベルやディストリビュージョンのほか、ライブイベント「REDLINE」などを手がけるジャパンミュージックシステム(JMS)主催のライブツアー「JMS presents BODY and SOUL TOUR」のファイナル公演が10月28日に東京・新木場STUDIO COASTで行われた。
全国7都市8公演行われたこのツアーは、主催者であるJMSの鈴木健太郎氏の「今のJMSを象徴するライブバンドが集結することで、力強さ、土臭さ、そしてトレンドカルチャーを提示したい」という思いから企画されたもの。ファイナル公演は2ステージで行われ、「BODY STAGE」にSHANK、COUNTRY YARD、NOISEMAKER、Northern19、Crystal Lake、NAMBA69、SHADOWS、「SOUL STAGE」にDay tripper、Track's、FOMARE、THE FOREVER YOUNG、KOTORIの総勢12組が出演し、“力強く土臭い”ライブを繰り広げた。この記事ではメインステージである「BODY STAGE」の様子をレポートする。
「BODY STAGE」のトップバッターはJMSがマネジメントしたアーティスト第1号であるSHANK。彼らは「Set the fire」で勢いを付け、最初からフルスロットルのパフォーマンスで会場を温めていく。ファンから飛んだヤジに庵原将平(Vo, B)が「『お尻出してみろ』はおかしい。絶対俺のほうが年上やぞ」と言い返しながらも、無言でボトムを下ろすファンサービスに会場はどよめいた。ライブは後半に差しかかり、バンドはハンドクラップが響き渡った「Hope」、3人が息の合ったプレイを見せた「Take Me Back」を続けて披露。最後に「Long for the Blue moon」「BASIC」「submarine」を畳みかけ、35分の持ち時間の中で13曲を力強く届けた。
2番手のCOUNTRY YARDは、リハーサルの段階から本番さながらの演奏を行った。Keisaku “Sit” Matsu-ura(B, Vo)は「リハでテンション上がってるなんて最高じゃん。PAは準備OK。バンドも準備OK。で、みんなはどうなの?」とうれしそうに言ってライブ前からフロアを沸かせる。メロディアスな「Don't Worry, We Can Recover」「Far Flower」でフロアを盛り上げたあと、Sitはこのツアーについて「今の自分たちと向き合えた最高のツアー」と語り、「1人ひとりに伝えるのは時間がかかるから1回だけ。『ありがとうございます!』」とツアーに関わった人へ肉声で思いを届けた。バンドはキラーチューン「Starry Night」「In Your Room」でファンのシンガロングを煽り、会場をひとつにした。
続くNOISEMAKERは「SADVENTURES」をエモーショナルにプレイする。「日本一カッコいいツアーへようこそ」とAG(Vo)が口火を切り、ファン1人ひとりと目を合わせるようにし「Something New」を続けてバンドの世界観へ誘っていく。「Wings」ではフィーチャリングゲストとしてCrystal Lake のRyo(Vo)が登場。割れんばかりのシャウトで曲を彩り、AGと固い握手とハグを交わした。AGのMC中、YU-KI(B)がTシャツを脱ぐ様子に歓声が上がると「そんなに筋肉が好きなのか」と少し拗ねた様子のAG。気を取り直し「あなたたちと一緒にツアーのゴールテープを切りたい」と語りかけ「flag」でフロアに飛び込んで熱唱した。最後に「Nothing to Lose」を届け、ファンが飛び跳ねる様子を見て満足気にステージを締めくくった。
Northern19のステージはエネルギッシュなパフォーマンスを見せた「BELIEVER」で幕開け。笠原健太郎(Vo, G)はこのツアーを共に回ったヘッドライナー6組について「生まれも育ちも違うし平均年齢高めな6バンドだけど、このツアーでバイブスが生まれたし、みんなといると少年みたいな気持ちになれた」と語った。「NEVER ENDING STORY」ではSitがゲストボーカルとして加わり、優しいムードが会場に広がる。続く「SUMMER」で「青春の燃えたぎる叫びを聞かせてくれますか!」と笠原が咆哮すると会場にシンガロングが発生し、曲名通り夏のように熱い空間に。ラストナンバーは「STAY YOUTH FOREVER」。笠原は満身創痍な様子で床に崩れ落ちながらもギターを弾き切りステージを終えた。
重厚なサウンドでファンを暴れさせたCrystal Lakeは「The Circle」から熱演を見せ、フロア中の手を上げさせる。「Matrix」では、この日の出演バンドとしてはラインナップされていないHER NAME IN BLOODのIkepy(Vo)が登場し、ヘビーなグロウルを炸裂させた。さらにRyoが「サークルピット、ステージダイブ、シンガロング、モッシュ、全部来い。かませ新木場!」と焚き付け、ファンはフロアやステージを縦横無尽に動き回る。ここでフロアにダイブしたRyoが「ファイナルだかなんだか知らねえが俺たちのメロディックハードコアは一生終わらせねえよ!」と宣言した。「Mercury」でファンが拳を突き上げる様子を見て“もっとだ!”と言わんばかりにRyoが手を振り上げてフロアを煽る。バンドは最後に「The Fire Inside」をプレイし、AGを呼び込むとステージ上に15人以上ものステージダイバーを上がらせて会場を熱狂させた。
「LOOK UP IN THE SKY」でライブをスタートさせたNAMBA69は、K5(G)とko-hey(G, Cho)が向かい合って楽器をかき鳴らして観客をヒートアップさせていく。NAMBA(Vo, B)がツアーの終わりを惜しみつつ「兵庫公演で自分のライブが不甲斐なくて楽屋でダンボールを蹴っちゃってさ。そしたら蹴れば蹴るほどコンドームが出てきて……」と話すと、ko-heyが「そのあと自分でダンボールを直す姿に“男”を感じました(笑)」とフォローをしてファンの笑いを誘った。Sitが飛び入りで歌ったカバー曲「TAKE ME HOME,COUNTRY ROADS」では、この日唯一オーディエンスが一斉に手を横に振る光景に。最後の曲「HEROES」ではK5とNAMBAがフロアにダイブし、観客を熱狂させて最終アクトのSHADOWSへとつなげた。
言葉を発することなくステージに姿を現したSHADOWSは最新アルバム「torches」から「Flare」をドロップし、フロアに重低音を響かせる。「Senses」にはRyoが参加し、会場の温度を熱く高めていく。Hiro(Vo)は「照れくさくてこのツアー中一度も言わなかったけど、前のバンドのときからJMSには本当に感謝してます」と気持ちを伝えた。「Forest」で感動的な余韻を残しステージを去ったSHADOWSに、アンコールを求める声が上がる。ここでSHADOWSメンバーの代わりに顔中にメイクを施し長い髪の毛を上に逆立てた、COUNTRY YARDのHayato Mochizuki(G, Cho)扮する“閣下”が登場し、会場に笑いが起こる。しばらくしてSHADOWSが爆笑しながらステージに現れ「Tourette's」をフランクにプレイ。閣下は猫の鳴き声のようなシャウトで参加した。HiroがステージをあとにするHayatoを見送りながら「SHADOWS with 閣下でした。メイクのコンセプトは北斗晶らしいです(笑)」と緩い雰囲気で紹介。一転して真面目な顔で「これが最後の曲になります。『BEK』」とタイトルコールしてからヘビーな音が奏で始められるとAG、YU-KI、Crystal Lake のYudai(G)が加わり渾身のシャウトと演奏を披露した。最後にHiroが「今日は本当にありがとうございました! 気をつけて帰れよ!」とオーディエンスに言葉をかけてこのツアーの幕を引いた。