森崎ウィン(PrizmaX)が本日11月17日に東京・新宿ピカデリーにて行われた映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」の公開記念舞台挨拶に登壇した。
「母さんがどんなに僕を嫌いでも」は、歌川たいじのコミックエッセイをもとにした作品。主人公のタイジが自分を拒絶してきた母と向き合い、その愛を取り戻そうとする姿が描かれる。舞台挨拶には森崎のほか、キャストの太賀、吉田羊、小山春朋、監督の御法川修が登場。タイジ役の太賀は「僕自身ここまで壮絶な過去を持っているわけではないので、歌川さんの実人生を演じるには生半可な気持ちではいけないと思った」と強い思いを述べたほか、撮影現場に何度も足を運び、まぜごはんや菓子を差し入れたという歌川に触れながら「何度優しい言葉をかけてもらったかわからない。映画の中でお母さんへの愛を渇望していたタイジですが、今の歌川さんは人に(愛を)与え続けている。何よりも歌川さん自身がこの作品の希望だと思って演じました」と語った。
タイジの友人であるキミツを演じた森崎は、「自分の殻をどんだけ破れるかっていうお話を最初に監督からいただいて。僕の場合は撮影に入る前にキミツさんご本人にお会いする機会がなかったのが逆に自分の中でプレッシャーになく自由にできたんじゃんないかなと思います」とコメント。10年来の友人である太賀と本作で初共演を果たしたことについては、「変な意味じゃないんですけど、すげえ太賀が好きで。こんなに素敵な役者が年齢に関係なく身近にいて刺激をたくさんもらいましたし、太賀はラジオで菅田将暉くんに嫉妬してるって言ってましたけど、僕は太賀に嫉妬してますから。またいつか一緒にやりたいなっていう追いかける存在でもありますね」と尊敬の念を露わにした。
一方の太賀は、「台本を読んでキミツという役を見たときに、『こんな大変な役を誰がやるんだろう』と思ったんですけど、森崎ウィンくんに決まったと聞いて『これは間違いない。いける』という確信と言うか、ウィンの持っているものとキミツさん自身の魅力がものすごく噛み合うような気がして」と述べる。続けて彼が「初めてのダンス練習をしたときに、ビルの一室でやったんですけど、ビルのフロア中に僕の心が折れる音が響きました。そんなところからスタートしたんですけど、ウィンが本当に手取り足取り教えてくれて、徹底的に僕に寄り添ってくれたんですね。ダンスのシーンに限らず芝居を通しても常に寄り添ってくれたことにどれほど助けられたかって、本当に感謝しています」と感謝の気持ちを伝えると、森崎はあからさまに照れながら「いや、全然大丈夫だから」と返して会場に笑いを起こしていた。
舞台挨拶の後半では、親子を演じたキャスト3人がメッセージを交換。幼少期のタイジを演じた小山は、母・光子役の吉田に対し、「羊さんが僕と本気で演技してくれて、認めてくれている気がしてうれしかったです。羊さんはとても優しい人だから、とても心が苦しかったと思います。最後の日に抱きしめてくれてうれしかったです。直接言うのは恥ずかしいんですが、僕は羊さんのことが大好きです」と手紙を読み上げる。撮影中、「愛情が湧いてしまうから」という理由で一切小山に触れなかったという吉田は思わず涙し、「“ちびタイジ”が、最後の日に『僕は羊さんに嫌われてると思ってました』って言ったの。この小さい体で一生懸命耐えてきたんだなと思うとありがたかったし、ごめんねという気持ちでハグをしました。素敵な言葉をいただけて、母は幸せです」と声を震わせて返答した。
また太賀から吉田へは「吉田羊さんとお芝居で対峙するのって、役者にとっては生半可なことじゃないんです」「ラストシーンで僕は、できる限りのことをすべて羊さんに投げた。すべて受け取ってくださって本当に感謝しています」というメッセージが。これに対し吉田は、「太賀くんの、体の底から地響きが鳴るようなお芝居は圧倒的。私の芝居は全然太刀打ちできなくて……。改めて、太賀くんに対峙するにふさわしい俳優にならないと、と襟を正される気持ちで過ごしました」と胸のうちを明かしていた。