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店長たちに聞くライブハウスの魅力 第5回 千葉・千葉LOOK

約7年前2018年12月29日 9:06

全国のライブハウスの店長の話を通して、それぞれの店の特長や“ライブハウスへ行くこと”の魅力を伝える本連載。第5回は千葉・千葉LOOKに約30年勤めている、3代目店長のサイトウヒロシ氏に登場してもらった。“この店は愛で成り立っている”というサイトウ氏に店の歴史や現状を聞いた。

21時まではライブハウス、21時からはスナックだった5年間

「もともとこの建物にはスナックが入っていて、ライブハウス営業が始まったのは1989年です。ちょうどバンドブームだったこともあって、スナックのオーナーが『スナック営業が始まる21時まで、バンドに場所を貸したりできないかな?』と会計士に相談したのがきっかけ。たまたまライブハウスの初代オーナーがその話を聞いて、ライブハウスの経営を任されたそうです。でも21時までという時間の制限が大変で、毎日時間になるとスナックのお姉ちゃんやボーイさんが来るから、ライブハウスの人間は急いで出ていかなきゃならなかった。翌朝来るとフロアのソファには割れた卵やガラスが飛び散っていることもありました。前日に散らかったものを片付けて、バンドにライブをやってもらって、すぐ撤収して、という流れをしばらくは続けていましたね。でもやっぱり限界があって、5年ほど経ってようやくライブハウス営業のみになりました」

ライブハウスで働きたいと思っていなかった

「自分はオープンから10日後くらいにPAオペレーター兼ブッキングスタッフとして働き始めました。実はもともとライブハウスで働きたいとは思っていなかったんです。この店で働く前は“いつか自分の楽器店を持つ”という夢があり、楽器店で働いていたので。あるとき楽器店のお客さんに『ライブハウスを立ち上げるから手伝ってくれないか』と頼まれて、1、2年くらいのつもりで引き受けました。ライブハウスの人間としての志は一切ない状態でのスタートでしたが、気付けばもう30年ほどこの店に勤めています。あの楽器店のお客さんと出会っていなければ、この店で働いていることはなかったと思います」

店長業務をしていた最初の数年は「店長じゃないです」

「店長としては3代目です。初代店長が1年でいなくなり、そのあとオーナーが店長になったのですが2、3カ月で辞めてしまって、しばらくは店長不在の店でした。店長業務は自分が行っていたのですが、何年かは頑なに『店長じゃないです』と主張していました。昔の千葉は怖い街で、『店長はどこにいるんだこの野郎』と殴り込んでくる人がいても『バイトなのでわかりません』と逃げられたんです(笑)。店の名前はスナックの名前をそのまま使っているだけなので、こだわりはないですね。名前といえば、HEAVEN'S ROCK系列はもとはVOGUEという名前でしたがいろいろあって名前を変えたそうで、周りの人には『“LOOK”という名前、商標取っておいたほうがいいよ』と勧められますが、変わるなら変わるで、話題になっていいかなと思っています(笑)」

むちゃくちゃだったTheピーズ、ウルフルズ、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの対バン

「Theピーズの安孫子(義一 / G)くんは、楽器店で働いているときからの知り合いなんです。ピーズは、満足に機材もないオープン当初から何度も出演してくれたし、ウルフルズ、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTなども紹介してくれました。この3組の対バンはむちゃくちゃでしたね(笑)。各バンド30分ずつライブをして、全員ベロベロの状態でステージに再登場して弾き語りをしていました。なぜベロベロかと言うと、本番中から楽屋にビール入りバケツを用意していたからです。出演者側からすれば『なんで本番中に?』という感じだと思いますが『いいから飲んじゃえ!』という気持ちで置いていました。そういう雰囲気を楽しいと思ってくれたのか、それからMICHELLEがほぼ毎回ツアー初日はうちでライブをやってくれるようになった。うれしいですね」

愛着しかないこの店に、地元や若手のアーティストにも出演してもらいたい

「最近は地元や若手のアーティストにあまり出てもらえていないという現状があります。間口は広げているつもりだけど、変に老舗っぽく思われているからか出演応募もあまりなくて。単純に『汚ねえからやだ』と思われているだけかもしれないですけど(笑)。自分もこの店の内装や造りにはコンプレックスがあるんです。“若い人は最新鋭でキレイな箱に出演したいのかな”と思いつつ、30年近く働いた今はこの店に愛着しかないので改装はしたくないんですけどね。気持ちとしては、うちでよければどんどん若いアーティストに応募してきてほしいし、出演してもらいたいですね」

ツアー初日のアーティストは特大ポスターで出迎える

「ツアー初日の会場にうちを選んでくれたアーティストに対してやっていることがあって。通常のツアーポスターの何倍もある“デカポスター”を店の外壁に貼って出迎えているんです。最初に“デカポスター”を作ったのは、薮蛇古屋というバンドのワンマン。そのときはポスターを拡大コピーしたA3の紙を何枚も何枚もつなぎ合わせたものでした。安井則之(Vo)はつれづれ草というバンドに所属している頃から力を貸してくれていて、バンドにも彼にも思い入れがあります」

アーティストの熱やサウンドの立体感がダイレクトに体感できる

「僕はコンサートは鑑賞で、ライブは体感だと考えています。そして単純でシンプルな場所であればあるほど、アーティストの熱やサウンドの立体感をダイレクトに体感できると思っていて。ライブを体感するという点においてはうちの箱はぴったりなんじゃないかな。あとよく、フロアの柱が邪魔だと言われるんですが、案外あの柱がキモだと思っています。柱でステージが見えないとも言えますけど、観たくないアーティストのときとか、休憩したいときに柱に隠れられるとも言える。要するに……うちは柱が魅力です(笑)。フードメニューが凝っているとか内装がキレイとか、そういう意味でウリになるものはありません。だからほぼ運でここまで来られたと思っています。“皆さんの愛”で成り立っている千葉LOOKを、ぜひ覗きに来てもらえたらうれしいです!」

店舗情報

住所:〒260-0015 千葉県千葉市中央区富士見1-6-2
アクセス:JR千葉駅東口より徒歩5分
営業時間:公演により異なる
定休日:不定休
ロッカー:なし
駐車場:なし
再入場:不可
キャパシティ:200人
ドリンク代:アルコール600円、ソフトドリンク400円
フリーWi-Fi:なし
貸切:可
※情報は12月29日時点のもの。

取材・文 / 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部) 撮影 / Shin Ishihara

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