私立恵比寿中学が4月16日に東京・ヒューリックホール東京にてライブイベント「エビ展の前夜祭 ~開校10周年をお祝いする夜~ presented by ナタリー」を開催した。
このイベントは、東京・タワーレコード渋谷店 SpaceHACHIKAIにて4月17日にスタートした企画展「エビ展 ~永遠に中学生の彼女たち~ presented by ナタリー」の前夜祭として行われたもの。MCにエビ中と縁の深い流れ星の2人を迎え、メンバーは10年の歩みを振り返るトークとライブで来場した満員のエビ中ファミリー(私立恵比寿中学ファンの呼称)を楽しませた。
ホールに学校のチャイムが鳴り響くと、セーラー服を着た6人が元気に姿を見せた。流れ星のちゅうえいと瀧上伸一郎もそれぞれ教師風の出で立ちで、彼らは授業のようなテイストでこの日のイベントを進行することを観客に伝える。また体調を鑑みライブパフォーマンスを制限している星名美怜は、流れ星と共にMCを務めることに。さっそく教壇側に回った星名は流れ星の2人に「メンバーに聞きたいことは?」と聞かれると「『ここはもう1回行きたい』という、お気に入りの都道府県はありますか?」と柏木ひなたに問いかけ、ステージ上の全員から「絶対1発目の質問じゃない!(笑)」「ほかに聞くことあるでしょ!」と総ツッコミを受けていた。
続けて星名が「10年間を振り返ってみていかがですか?」と超スタンダードな質問を、結成時から所属している唯一のオリジナルメンバー・真山りかに投げかけると、真山は「あっという間だったと思います。私の10年間が走馬灯のように巡る感じが……(笑)。でも、思い出を詳細に思い出して話せるのが不思議」と語った。また真山は、ちゅうえいからの「これまでで一番緊張した出来事って何?」という質問に対し「『ミュージックステーション』の2回目! 最初に出たときは『一生出られない番組だ』と思ってやったけど、2度目はけっこう緊張しました」と即答。安本彩花は同じ質問に「郷ひろみさんに挨拶に行ったとき。大スターだから! けど、すごく優しい人でした」と答えた。
トークの合間には計3回のライブパートが設けられ、メンバーは初期の懐かしいナンバーから最新アルバム「MUSiC」の収録曲まで、バラエティ豊かなセットリストでパフォーマンスを展開した。最初のライブパートでは「キングオブ学芸会のテーマ ~Nu Skool Teenage Riot~」「仮契約のシンデレラ」の2曲が届けられ、「仮契約のシンデレラ」では柏木が「エビ中結成10周年だって!」と歌詞を歌い替える。彼女たちの「一緒に!」という呼びかけを受けたファミリーも大きなコールで曲に参加し、会場は一瞬にして大きな一体感に包まれた。
続くトークパートでは、多くのアーティストや著名人から寄せられたエビ中10周年祝福コメントが次々に上映された。氣志團、矢作兼(おぎやはぎ)、溜口佑太朗(ラブレターズ)、たむらぱん、Negicco、前山田健一という豪華な面々からの愛にあふれた言葉の数々を、6人は笑顔で受け止める。すると突如「ebiture」が鳴り響き、「私立恵比寿中学 父兄の皆様」という声が“生”であることに即座に気付いたメンバーは席を立って「え、本物! どこにいるの!?」と会場を見回した。舞台袖から登場したのは「ebiture」のセリフも担当しているエビ中の“音楽主任”こと前山田。ここからはサプライズゲストの前山田とメンバーとのクロストークという形でイベントが進行していった。
古くからメンバーを知る前山田の登場とあり、話題は結成当初の思い出話に。「美怜のレコーディングですごい覚えてることがあって」と切り出した前山田は「まだ12歳とかだったと思うんですけど、彼女が僕に『私って感受性豊かじゃないですか?』って言うんです(笑)。もうタトゥーに刻みたいくらいの言葉」と明かして会場の爆笑を誘う。この暴露に星名が「相当ブッ飛んでたんです!」とフォローを入れると、メンバーは即座に「今もだよ!」と反応した。また前山田は「ヤス(安本)も面白かったよね。当時、マジでボーカロイドみたいだった」とコメントし、安本はこれに「ハイ、そのときは自我がなくて」と素直に応じる。小林歌穂と中山莉子については「陽気な子とヘンな子が入ってきたなと思っていた」と明かし、前山田は「全員めちゃくちゃ歌うまくなったよね」としみじみ語っていた。
ライブパート3曲目に披露されたのは、前山田が「この曲を今歌ったらどうなるかなと思って選んだ」という「えびぞりダイアモンド!!」。メンバーは“えびぞり”ダンスでエネルギッシュにステージ上を駆け回り、続く「君のままで」ではさわやかで力強い歌声をまっすぐに響かせた。続いてのトークコーナーでも著名人からのお祝いコメントが次々と上映され、木本武宏(TKO)、フジテレビの軽部真一アナウンサー、「佐野店長」こと俳優の佐野元哉、天竺鼠、向井地美音(AKB48)といった面々がユーモアあふれるメッセージを6人に送る。エビ中の冠番組「エビ中++」では中山と“対立構造”を築いていた佐野だが、中山は上映が終わると「佐野店長、すごいライブに遊びに来てくださるんですよ」とすっかり和解したことを明かした。
ちゅうえいが「ノー編集の『エビ中++』を観ている、と思ってくれたら」と表現したように、エビ中と流れ星、前山田による“特別授業”の時間は終始リラックスした雰囲気の中で和やかに過ぎていった。出演者は最後に席を立って観客の前に立ち、ここでも星名が音頭を取る形でメンバー1人ひとりがコメントをすることに。トップバッターに指名された安本は「もうすぐ元号も変わるじゃないですか。新元号が発表になったときは『梅』という私たちの曲が注目されて……これ、(楽曲を書いた)前山田先生がいたときに話せばよかったんですけど(笑)」と切り出しつつ「新しいアイドルの時代、令和の時代も引っ張っていけるよう、さらにがんばっていきたいです!」と意気込みをファミリーに伝える。続く小林は「10周年はイベントとかもたくさんあって、お財布の中身もいなくなっちゃうかもしれないけど(笑)、そこは厳選していただいて……盛り上げられたらなと思います」とコメント。中山は「こうやって『エビ展』ができるのもすごいし、10周年の企画も付いて来てくださる方がいなかったらできません。いっぱい皆さんと盛り上げていきましょう、です!」と続き、柏木は「フェス、シングル、アルバム……と、10周年は盛りだくさんです!」とファミリーの高まる期待感を煽った。
真山をラストに残しマイクを握った星名は「私たちはグイグイ行くタイプじゃないけれど、エビ中ってホントに多くの方に支えてもらって、優しさをいただいていて、本当にうれしいです。これからも、応援してくださる皆さんにお返しできるよう、楽しいエビ中としてがんばっていきたいと思います」と語った。そして星名は「最後はとっておきの素敵な言葉を!」とプレッシャーをかけつつ、真山へコメントを託す。周囲から「地獄だな」と同情された真山は苦笑いを浮かべつつも「10周年を迎えられたのは、皆さんのおかげです。平日にも関わらず(ホールの)奥のほうまで集まってくださっているなんて、結成当初から考えたらありえない光景で。どこか別の現場に行かれてしまった方もいるかもしれないけど(笑)、みんなで紡いできた10年、そのきっかけを与えてくれたのがナタリーさんだと思います。エビ中がニュースに取り上げられないようなときからいつもニュースを上げてくださっていたナタリーさん、これからもよしなに……(笑)」と思いを語る。そして最後のライブパート、イベントは「Family Complex」でにぎやかにフィナーレへ。メンバーの「全員踊れ!」という勇ましい煽りにこの日一番の熱狂が生まれ、イベント本編は締めくくられた。
メンバーが舞台袖へ姿を消しても場内の熱気は冷めず、ファミリーのアンコールの声に応じた6人はTシャツに着替えてステージに再登場した。ここでは星名もパフォーマンスに参加する形で「響」が披露され、メンバーは晴れやかな笑顔を浮かべながら歌を届ける。予定の公演時間をオーバーするほどの盛り上がりを見せた「エビ展の前夜祭」は、オープニングトークでエビ中とちゅうえいが盛り上がったボーイスカウトの祝声「いやさか(弥栄)」の唱和で締めくくられることに。ファミリーの「10周年おめでとう!」という大きな声に、6人は「いやさか! いやさか! いやーさかー!」と声を合わせ、「明日からエビ展行ってね!」と手を振りながらステージをあとにした。
企画展「エビ展 ~永遠に中学生の彼女たち~ presented by ナタリー」は5月6日まで連日開催中。メンバーの衣装展示や音楽ナタリー掲載のライブフォトコーナー、エビ中ファミリーによる手作りの公募作品展示コーナーなどが楽しめるほか、前夜祭イベントの幕間に上映されたコメント映像の上映も行われている。
私立恵比寿中学「エビ展の前夜祭 ~開校10周年をお祝いする夜~ presented by ナタリー」2019年4月16日 ヒューリックホール東京 セットリスト
01. キングオブ学芸会のテーマ ~Nu Skool Teenage Riot~
02. 仮契約のシンデレラ
03. えびぞりダイアモンド!!
04. 君のままで
05. 紅の詩
06. Family Complex
07. 響
※記事初出時よりキャプションを一部修正しました。