湯木慧が映画「光を追いかけて」のために書き下ろした主題歌「心解く」が、9月29日に配信リリースされる。
「心解く」は、湯木の自主レーベル・TANEtoNE RECORDSの第2弾作品として発表される楽曲。湯木が「光を追いかけて」のロケ地・秋田に足を運んで制作した主題歌で、本人演奏のピアノと歌だけで構成されている。
9月21日(火)放送のJ-WAVE「SONAR MUSIC」にて「心解く」の初オンエアが決定。また数量限定で「心解く」がフォトブック付きのCDパッケージで販売されることもアナウンスされた。CDの詳細は追って発表される。
映画「光を追いかけて」は10月1日に公開予定。本作の監督・成田洋一と、湯木から「心解く」についてのコメントも到着した。
湯木慧 コメント
主題歌を作ります。となってからまず思ったのが、秋田に行こう。でした。
全く秋田に関わりのなかった自分が書いて良いのか否か迷いながらも、
色々な事の裏や表を想像し想いを馳せながら訪れた秋田は唯一無二の壮大な景色と香りでした。
大人と子供、内側と外側、光と影。
人間のうまくいかない感情やもがく様やぶつかり合ったりくっついたり離れたり壊れたり戻ったりするその形が、
すごく絡まっているようにみえて、ぐちゃぐちゃだなって。
そんな絡まったものが一つずつ解かれる時に、私はすごく光を感じるというか、すーっとなる。
それを形に、楽曲にできないかなぁなんて思いながら作った曲です。
映画を観た方は勿論、幅広く多くの方の想いや心に寄り添いリンク出来る楽曲になったと思うのです。
是非映画と合わせて楽曲も沢山噛み砕いて欲しいです…。
秋田大好き。
成田洋一監督 コメント
映画の主題歌は、実は考えていませんでした。
エンドロールの背景は黒画面にし、朝の学校の効果音だけにするつもりでした。
せっかくのストーリーの余韻が、音楽で邪魔されるのが嫌だったので。
ところが、編集の過程で、黒画面ではなく、映像を入れることになりました。そうなると主題歌を入れないともたないなと。
ただ、曲が流れることで映画の世界観を崩すことはしたくない、むしろ、観客の余韻を増幅する曲じゃないと入れたくないと強く思いました。
もともと、湯木慧さんのことは知っていました。
その歌は、心の奥の方に隠している弱さを鷲掴みにし、目の前に突きつける、そんな容赦のなさがありました。
心が震えました。
この人に「心の肌」があるとするなら、限りなく薄く、触れるものは風でさえ敏感に感じ取り、常にヒリヒリする痛みを感じてしまう。
痛々しい……彼女の歌にはそんな絶望の魅力を感じたのです。
僕の映画の世界観と彼女の歌の世界観は、確実に合う、でも、そこに未来はあるのか? そんな不安もありました。
ただ、何度も何度も彼女のさまざまな曲を聴いているうちに、どの曲にも微かな光を感じました。
未来はある。危険ではあるが、心中するのもおもしろいかと。
そう思うと妙に高揚し、彼女しかいないと思うようになりお願いすることになりました。
初めて彼女に会った瞬間に、あぁ、やっぱりそうかと。もはや何の心配もないなと。
この人の「心の肌」にまかせようと決めました。
映画を見てもらった上で、彼女の希望で秋田に向かいロケ地を案内しました。
映画のシーンをひとつひとつ噛み締めるように彼女は見つめ、匂いを嗅ぎ、時には覚えてしまったセリフを口にしてました。
思い出深いのは、屋根の上。二人で登り、草刈りによって流れてくる青臭い香りを嗅ぎながら一時間あまり話しました。
内容は覚えていません。おそらく頭に浮かんだ言葉の素直なやりとりをしていたのではと思われます。
それで充分だったのではないでしょうか。
その後、あがってきたのが「心解く」です。
長期にわたる編集で何度も何度も見てきた作品でしたが、この曲がエンドロールとともに流れてきた時、
あぁ、これでやっと完成したんだと思いました。
と同時に「運命」という言葉が頭に浮かびました。
そう、やはり運命だったのです。
『光を追いかけて』の宣伝コピーは「光を望むな、光となれ。」としましたが、
実は映画が完成してから、 つまり主題歌をエンドロールに入れてから浮かんできた言葉です。
それは、まさにこの映画で真に伝えたかったこと。
「心解く」が導いてくれたような気がします。
J-WAVE「SONAR MUSIC」
2021年9月21日(火)22:00~24:00