TEAM SHACHIが10月24日に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにてワンマンライブ「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ!~」を開催した。
2018年10月23日にチームしゃちほこから改名したTEAM SHACHI。改名後最大規模の単独公演となる「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ!~」のチケットはソールドアウトし、会場には大勢のタフ民(TEAM SHACHIファンの呼称)が訪れた。またチケットのソールドアウトを受けてこのライブの模様はニコニコ生放送で無料で配信され、会場に足を運ぶことができなかったタフ民もそれぞれの場所から彼女たちの現時点での集大成的な本公演を見届けた。
ステージには巨大なスクリーンが配置され、バンドセットが鎮座。グッズやペンライトを装備したタフ民たちの熱気が高まっているのが客席の雰囲気から伝わってくる。オープニングムービーの上映が終わると、ステージにはmasasucks(G / FULLSCRATCH、the HIATUS、RADIOTS)、芳賀義彦(G)、Tatsuya(Dr / Crossfaith)、MIYA(B)からなるバンド民(バンド)と6人組のブラス民(ブラスセクション)の姿が。彼らの演奏に乗って登場したのはTEAM SHACHI……ではなく、大旗を持った16人のダンサー民(ダンサー)。荘厳な雰囲気の演奏に合わせてダンサー民がステージの3Fにたどり着くと、その旗の向こう側からTEAM SHACHIが登場した。TEAM SHACHIの4人、ダンサー民 16人、ブラス民6人、バンド民4人の総勢30人がステージにそろうと、ライブは最新作「浅野EP」のリード曲「番狂わせてGODDESS」でスタート。大サビでは大黒柚姫のハイトーンも気持ちよく決まり、会場のテンションをアップさせた。
2曲目の「わたしフィーバー」で会場に幸福感が満ちる中、間髪入れずに始まったのはキラーチューン「抱きしめてアンセム」。終盤で披露されることが多いこの曲が序盤で披露されるという予想外なセットリストに困惑するタフ民をTEAM SHACHIは「踊れー!」と焚き付け、バンド民もパワフルな演奏でそこに加勢する。タフ民は彼女たちに言われるがままに低姿勢でダンスを踊り、Cメロの体操のパートでは大きく体を動かしてこれからますます“はちゃめちゃ”になっていくライブへの準備を整えた。
突如現れたパーカッショニストのnotchが陽気なビートを鳴らす姿にタフ民が釘付けになっていると、紫色のジュリ扇を持ったダンサー民がステージにやってくる。ダンサー民の影から黄金の衣装で現れた大黒はソロ曲「One-One-Love」を初パフォーマンス。大黒はダンサー民とともに紫のジュリ扇を使った景気のいいステージを繰り広げ、タフ民はジュリ扇の代わりに紫色のペンライトを振った。大黒に代わってステージに登場した秋本帆華、咲良菜緒、坂本遥奈は「ケモノノハナミチ」をひさしぶりに披露。サビで大黒もステージに復帰し、バンドアレンジによりロックサウンドに生まれ変わったこの曲を熱唱した。TEAM SHACHIは「ラリラリホー」は長机と椅子を使ったパフォーマンスで魅せ、「BASYAUMA ROCK」はヘヴィなロックアレンジで披露。この日のために仕込んだスペシャルな演出で次々と楽曲を届けていく。スキャットで始まる「こだま」の前には、彼女たちの動きに合わせて映像が変化していく巨大スクリーンを使った演出でもタフ民の目を惹き付けた。重厚感のあるサウンドの「SURVIVOR SURVIVOR」では咲良のロックボーカリストさながらのパワフルなボーカルが炸裂。発表当時、STARDUST PLANETの先輩グループであるももいろクローバーZや私立恵比寿中学のパフォーマンスをオマージュした振り付けで話題を集めた「アイドンケア」は、Tatsuyaの怒涛のドラミングをはじめ、ラウドポップユニットらしいヘヴィなバンドアレンジでTEAM SHACHIの新たなロックアンセムへと変化を遂げていた。
突如ドラムロールが鳴り、スポットライトが客席を照らし出すと、そこには“坂本寄りの箱推し”を公言しているMCUの姿が。秋本が「MCU発見!」と彼を指差すと、ステージでは「Rocket Queen feat.MCU」の演奏がスタートし、ステージサイドのモニタには、新潟・中越高等学校吹奏楽部の映像が映し出される。3段になったステージでTEAM SHACHIやダンサー民、ブラス民がパフォーマンスしているところにMCUも登場し、豪華なコラボパフォーマンスでより一層お祭りムードを盛り上げた。
TEAM SHACHIはこのライブの前日10月23日に生配信番組にてグループ名のTEAM SHACHIの読み方を「シャチ」から「チームシャチ」にマイナーチェンジしたことを発表。これまでは「super tough strong energy positive exciting soul from nagoya」というスローガンに続いて、「We are……シャーチ!」と自己紹介していたが、このライブでは「チームシャーチ!」と新たな読み方をアピールした。ペンライトの光が輝く客席を見渡して秋本は「ついにこの日が来ちゃったね」としみじみ。咲良は「2月に発表して今日まで1カ月くらいだったように感じた」とメンバーもタフ民も待ちわびたパシフィコ横浜でのライブの開催を喜んだ。またTEAM SHACHIは、ダンサー民としてライブに参加しているスターダストプロモーション名古屋営業所の後輩・N-Twinkle TRIBEのメンバー・下村星奈、久保歌恋、遠山姫禾を紹介。後輩たちは緊張しながらもTEAM SHACHIのステージに参加できる喜びを語った。
ライブ後半戦は坂本のソロ曲「Bunny」のパフォーマンスでスタート。ドレッサーに向かって歌ったり、ソファに座って歌ったりと、大型モニタや配信があるからこそのステージングを展開した。ステージ上部にレーザーで雨が描かれる中、ステージにはビニール傘を持った咲良が登場。エレクトロポップサウンドが新鮮な「One way LOVE…?」をダンサー民を引き連れて披露し、新たな魅力を発揮してみせた。続いてTEAM SHACHIはブラス民が鳴らすホーンサウンドのイントロから「JIBUNGOTO」をプレイ。来年2月16日にリリースする1stフルアルバム「TEAM」の衣装に身を包んだ彼女たちは、パワフルなダンスと歌でテンションを引き上げた。小出祐介(Base Ball Bear)が作詞を手がけた「HONEY」で艶っぽい歌とダンスを披露したTEAM SHACHIは、7年前に小出が提供した楽曲「colors」も続けてパフォーマンス。ギターがエモーショナルに響く「colors」では、ライトが赤、青、紫、緑に加え、チームしゃちほこ時代に活動をともにした安藤ゆずと伊藤千由李のカラーである黄色とピンクの照明もステージを彩った。
ダンサー民がスマホのバックライトを効果的に使った幻想的なパフォーマンスを披露したあと、モニタには「まってるね 作詞:秋本帆華」の文字が。秋本は3月に挑戦したフルマラソンでメンバーからもらった「まってるね」の言葉をヒントにつづった歌詞を、川嶋あいが提供した楽曲に乗せて笑顔で歌った。ステージの上部に星空が広がり、ブラス民がファンファーレを鳴らすと、TEAM SHACHIは「パレードは夜空を翔ける」を披露。生のブラスサウンドとエネルギッシュなバンドサウンドをバックに、TEAM SHACHIは美しいコーラスワークとダンサー民との息の合ったパフォーマンスを繰り広げ幸福感に満ちた空間を演出した。
そんな空気を断ち切るようにバンド民は爆音を鳴らし、それぞれがテクニカルなプレイを披露してタフ民を圧倒。その間にTEAM SHACHIは2017年開催のライブ「しゃちサマ2017~どどん~」で着用した袴風の衣装をリメイクした衣装に着替え、「どどん」でも披露した「We are…」をパフォーマンスした。この曲の間奏ではダンスブレイクを披露し、難易度の高いダンスで会場の熱気を引き上げる。続く「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」では会場に激しくレーザー光線が放たれる中で、メンバーもタフ民もなりふり構わずヘッドバンギング。息をつく間もなく「AWAKE」を畳み掛け、タフ民のテンションをピークまで引き上げる。咲良が涼しい顔で「まだまだ行けるか!? はちゃめちゃになろうぜ!」と呼びかけて始まったのは「START」。ほぼ踊らず歌だけで魅せるこの曲では、4人がこのライブに向けて鍛え上げた歌唱力が存分に発揮され、タフ民は彼女たちの歌に応えるように何度も力強く手を掲げた。さらにTEAM SHACHIは、改名後最初に発表した楽曲「DREAMER」を熱唱。激しいダンスを踊りながらも力強い歌声を響かせ、そのタフな姿をタフ民に印象付けた。
TEAM SHACHIが颯爽とステージを降りると、モニタに「特報」の文字が映し出される。ここでは、2022年1月より全世界で配信、国内ではテレビ放送もされるアニメ「ドールズフロントライン」のエンディングテーマに新曲「HORIZON」が決定したことが発表された。スモークが立ち込めるステージにミリタリーテイストな衣装で現れたTEAM SHACHIは、さっそくその「HORIZON」を披露。咲良と大黒の歌唱力が光るこの曲では、秋本の特徴的な声が生き生きとセリフパートでアニメの世界観を演出し、坂本のソリッドなラップのフロウが会場の緊張感を高める。メンバーとダンサー民が繰り広げる難易度の高いダンスパフォーマンスでもタフ民を圧倒し、最後は音玉の爆発音で強烈な余韻を残して4人はステージから消えた。
アンコールでは「乙女受験戦争」「エンジョイ人生」といったチームしゃちほこ時代の曲が派手なバンドアレンジで披露され、客席はまだまだ盛り上がりを見せる。そんな客席をうれしそうに眺めたTEAM SHACHIはこのライブの感想を1人ずつ述べていく。坂本は目に涙を溜めながら「このライブが決まってから、最初は埋まるか不安だったけれど、タフ民が私たちのことをたくさんの人に知ってもらおうと動いてくれているところを見て大丈夫と思えた。頼もしいみんながいるから、こういう大変な状況の中でも前を向いてポジティブでいられます。『START』の歌詞にあるようにみんなと一緒に戦っていきたい。いろんなことを乗り越えた強い4人だけど、強がっている部分もあるから。支えてくれるみんなの愛を感じた幸せな1日でした」と思いを述べた。
咲良は「3年間TEAM SHACHIをやってきたけれど、『私たちの3年ってこんなはずじゃなかったのに』とか、いろんな思いがあって。パシフィコ公演を用意してもらって、これは絶対に成功させないともっと悔しい思いをすると思ったんです。このライブを成功させることが自分の中では悔しさを乗り越えられる何かだった。改名してからずっとこういうライブをやりたかった。3年目にしてやっと『これがTEAM SHACHIなんだよ』っていうのを伝えられたので、このライブを観て好きだと思った人はシャチが好きということ。このパシフィコ公演を乗り越えられたならきっとこれからも何があってもがんばれる気がする。もっともっと大きいところで『すごいでしょ? シャチって』って胸を張れるライブができたと思います」と力強く語った。大黒も「自分が一番TEAM SHACHIを見くびっていたかもしれない。自分が思っていた以上にシャチはすごいパワーを持っていました。今までうれしいとか悲しいとか悔しいで泣くことがあったけどこんなに感情が膨張して涙が出る機会がなかった。また新しい自分を発見できてうれしいです。正直、このライブが成功しなかったらこの先の明るい未来の可能性が狭まるかもしれなかった。私たちは崖っぷちで危機一髪な状況だったんです。でも今、私は胸を張って大成功だったと言えます。これから先もTEAM SHACHIが大好きだし、カッコいいと自分で言っていきます。どんなに笑われようとこの気持ちを貫いて(目標に掲げている)武道館まで持っていきます」と頼もしいコメントを残した。
最後にマイクを取った秋本は「TEAM SHACHIになって3年、チームしゃちほこ時代から数えると約10年ステージに立って歌って踊っています。どんなステージでも私たちがやることは変わらないけれど、今日パシフィコに立って最高の景色を見せていただいたらもっと大きいステージに立ちたいと思ったし、そこに立っている私たちをみんなに観てもらいたいと思っちゃいました。今でも十分幸せなんだけど、みんなが私たちを欲張りにさせてるの。笑顔でいつも応援してくれるから、このチームでもっとすごい景色を見れるんじゃないかなと思っちゃう」と笑顔で語る。そして「言霊ってあると思うから私も言うね。私たちが皆さんを武道館に連れていきます」と日本武道館での単独公演の開催を宣言した。
そして最後にTEAM SHACHIはライブで一緒に歌えるシンガロングパートがある楽曲「Today」を披露。いつかタフ民と一緒に歌える日を夢見てTEAM SHACHIは、事前に募集したタフ民のコーラスに包まれながら歌い、3時間弱のパフォーマンスを終えた。秋本は「今日は1日、本当に幸せでした。一緒にライブができることは当たり前じゃないからこそ、ライブをすると“うれしい”があふれ出していくの。これからもこういうライブをみんなと作っていきたいと思います!」とコメント。客席をバックに記念写真を撮影した4人は名残惜しそうにステージをあとにした。
TEAM SHACHIは2022年2月よりライブツアー「TOUR 2022 ~猪突!猛進!猛進!猛進!猛進!~」を開催。ツアーは2月11日に宮城・チームスマイル・仙台PITで開幕し、 4月23日に東京・中野サンプラザホールにてツアーファイナルを迎える。
TEAM SHACHI「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ!~」2021年10月24日 パシフィコ横浜 国立大ホール セットリスト
00. OVERTURE ORCA
01. 番狂わせてGODDESS
02. わたしフィーバー
03. 抱きしめてアンセム
04. One-One-Love / 大黒柚姫
05. ケモノノハナミチ
06. ラリラリホー
07. BASYAUMA ROCK
08. こだま
09. SURVIVOR SURVIVOR
10. アイドンケア
11. Rocket Queen feat.MCU(マーチングバンドver.)
12. Bunny / 坂本遥奈
13. One way LOVE…? / 咲良菜緒
14. JIBUNGOTO
15. HONEY
16. colors
17. まってるね / 秋本帆華
18. パレードは夜空を翔ける
19. We are…
20. ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL
21. AWAKE
22. START
23. DREAMER
24. HORIZON
<アンコール>
25. 乙女受験戦争
26. エンジョイ人生
27. Today
TEAM SHACHI「TOUR 2022 ~猪突!猛進!猛進!猛進!猛進!~」
2022年2月11日(金・祝)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
2022年2月12日(土)福島県 HIPSHOT JAPAN
2022年2月19日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
2022年2月20日(日)新潟県 studio NEXS
2022年2月26日(土)京都府 京都FANJ
2022年2月27日(日)兵庫県 Harbor Studio
2022年3月14日(月)神奈川県 CLUB CITTA'
2022年3月20日(日)福岡県 DRUM LOGOS
2022年3月21日(月・祝)熊本県 熊本B.9 V1
2022年4月9日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2022年4月10日(日)愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2022年4月23日(土)東京都 中野サンプラザホール
(撮影:笹森健一、草間智博)