女性タレントが多く所属し、長時間のライブやプロレスなど激しい運動を伴うアイドルグループも抱えるYU-M(ヤム)エンターテインメント(以下、YU-M)。昨年、女性が自分らしく活躍できる社会を目指すプロジェクト「#NoBagForMe」へ同事務所に所属する和田彩花が参加したことをきっかけに、YU-M代表の山田昌治は所属タレントのヘルスケアに力を入れていくことを決意した。その一環として、所属アイドルやマネージャー全員で、ユニ・チャーム株式会社の生理用品ブランド「ソフィ」による企業向け研修プログラム「みんなの生理研修」に参加し、全社を挙げて生理への理解を深めようと乗り出した。芸能事務所が一丸となって同研修を受講するのは業界において初めてのこと。生理を知ることで男女間、さらに女性間の相互理解を促進していきたいという新たな取り組みである。
音楽ナタリーでは、「みんなの生理研修」を受けたYU-M所属タレントを中心に、“アイドルの生理と健康”をテーマにした座談会を実施した。参加メンバーは和田、ぱいぱいでか美、アップアップガールズ(仮)の関根梓と鈴木芽生菜、アップアップガールズ(2)の鍛治島彩、アップアップガールズ(プロレス)のらく、そしてYU-M代表の山田。アイドル活動をするうえで自身の生理や健康とどのように向き合っているか、研修を経て自身の意識の中にどのような変化があったかなど意見を交わしてもらった。それぞれ異なるフィールドで活動している6名のアイドルたちは、自分たちの学びをとてもオープンに、そして語ることや学ぶことの大切さを懸命に話してくれた。
取材・文 / 羽佐田瑶子 撮影 / 小財美香子 構成 / 瀬下裕理
生理の学びが圧倒的に足りていない。知ることで、自分にも周りにも優しくなれる
多くの女性が経験することなのに、まるで秘密であるかのように、積極的に会話が交わされてこなかった生理の話題。最近は、女性が抱えるさまざまな健康問題をテクノロジーの力で解決する取り組みを意味する“フェムテック”(「Female<女性>」と「Technology<技術>」を組み合わせた造語)という言葉が日本にも浸透し始めたり、SHELLYや指原莉乃ら著名人がYouTubeで生理にまつわるコンテンツを配信したりと、オープンな場で生理が話題に上がるようになってきている。が、誰もが生理についてフランクに話す機会はまだまだ少ない。ときには生理の重い症状に悩まされ、その症状のせいで仕事や学校に影響が出てしまい1人で解決できない問題に直面している女性が、今もまだたくさんいるというのに。ステージで激しく歌って踊り、一方で苦しんでいる姿をあまり表に出さないとされている女性アイドルたちは、この悩みをどのように乗り越え、自分の体と向き合っているのだろう。
「生理について詳しく勉強したのは、中学校の保健体育のみ」という人も多いのではないだろうか。思い返せば、あの頃はまだ経験が浅いため関心が低く、ほとんどの人が真剣に授業を受けていなかった気がする。男女でクラスを分けられ、「異性の体について詳しいのは恥ずかしいこと」というようなレッテルを貼られ、知らず知らずのうちに性について知ることをシャットダウンしていた可能性だってある。男性だったら「自分には関係ない」と、恥ずかしがって耳を塞いでいた人もいるかもしれない。
しかし、ほとんどの女性の体に毎月やってくる生理という現象は、想定外のことを体や心に引き起こすものだ。腰が鉛を背負ったように重たくなったり、理由はわからないけど些細なことにもイライラしてしまったり、その状況が何十年も続くなんて。生理の初心者だった中学生の頃には、ことの重大さに気付いていなかった。女性のパートナーや友人を持つ人も、一度は生理で苦しんでいる人の姿を見たことがないだろうか。14歳で、ハロー!プロジェクトのスマイレージ(現アンジュルム)のオリジナルメンバーとしてデビューした和田彩花は、「自分の人生に生理がどう影響するかなんて、10代から考えるのはすごく難しい」と話した。卒業後、ジェンダーやフェミニズムといった関心を寄せていた分野に関する発言の機会を増やした彼女は、女性がもっと自分らしくいられる社会を目指すユニ・チャーム主催の「#NoBagForMe」プロジェクトに参加し、生理を学び直す機会を得たことについて「すごく大切だった」と語る。
「中学校でも性教育は受けているはずなんですけど、記憶にうっすら残っているのは、先生が男女で教室を分けて、性教育に関するビデオを見せてくれたことだけ。生理が毎月一度やってくることはわかっているけれど、結婚と妊娠がリアルな年齢じゃないから、それが直接妊娠につながる可能性のある現象だということや、自分の人生に大きく影響を与えるかもしれないということまで全然想像できていませんでした。しかも、私の場合は活動に一生懸命で、自分と仲間の体やプライベートを大切にできていなかった。苦しい生理を耐えることが毎月の習慣になっていて、『我慢しよう』って思っちゃってましたね。
『#NoBagForMe』で学んだことは、たくさんあります。具体的な学びも大事だったけど、一番心に残ったのは、『学ぶことで自分の人生について考えられるんだ』ということ。私は出産したいのか? 仕事をしたいならいつまで何をしたいのか? アイドル活動をしている子だと、中学高校で学ぶ機会が少ない子もいると思うので、私たちだけじゃなくてみんなが改めて学ぶ機会を持てるといいと思います」(和田)
zetima(現アップフロントワークス)でのアルバイトからアップフロントエージェンシーに就職後、2001年にマネージャーの仕事を開始し、2016年に独立。そのキャリアの中でモーニング娘。やスマイレージをはじめ、20年以上にわたり多くの女性タレントをマネジメントしてきた山田は、和田が生理に関して知識を深めていく姿を見ながら、「和田でも知らないことがこんなにあるんだ」と驚いたという。
「僕は男性で自分の知識が足りないことはわかっていたけれど、和田は普段からこういうことに興味を持っていたし、常に考えているタイプ。そんな和田でも、『#NoBagForMe』を通じてこんなに学ぶんだ、という驚きがありました。ということは、僕の事務所に所属している女性アイドルやスタッフたちも生理について詳しく知らない可能性がある。男性マネージャーなんて、さらに知識がないだろうと思いました。僕は、物質的にというより、精神的に豊かになる情報はみんなで共有したいと思っているタイプなんですが、この生理研修で学べることは、男女関係なく、生きていくうえで絶対に知っておいたほうがいいことだと思って。『#NoBagForMe』を主催するユニ・チャームさんにお願いして、社内向けに生理研修をしてもらいました」(山田)
「みんなの生理研修」では、生理用品ブランド「ソフィ」担当者が月経の仕組みや生理痛、婦人科に行く目安、多様な生理アイテムの紹介など、基礎知識から最新の生理事情まで約1時間にわたって詳しいレクチャーを行う。講義のあとは、メンバーとマネージャーが3つのグループに分かれ、生理に関する悩みや対策についてざっくばらんに語り合うグループディスカッションも行われた。一方的な学びではなく、自身のエピソードも踏まえながら、決して答えや発言を強要することなく、事務所仲間とワイワイ学びを深めた機会。「生理のことを考える日なんて、初めてだった」とうれしそうに語るアップアップガールズ(仮)(以下、アプガ(仮))の鈴木芽生菜は、研修で学んだことをすぐに実妹にも共有したという。
「もともと経血量も多いし、生理痛には悩まされてきたほうでしたが、初めてあの場でショーツ型ナプキンの存在を知りました。吸水ショーツの存在は知っていたけど、それとは別でショーツとナプキンが一体化したものがあると教えてもらって、気になったので妹にも買ってあげたら『よかったよ』と喜んでもらえて。自分が学ぶことで、それを誰かに共有したら『あなたの味方だよ』と手を差し伸べることができるんだと思いました」(鈴木)
みんな一緒に学べたことで、話しやすい空気になった
誰かに話すことを躊躇してしまう感覚。長くソロアイドルとしても活動し、普段の生活の中で自分の意見をはっきり言うことができるタイプだというぱいぱいでか美は、男女関係なく「生理を恥ずかしいって思うのは、性教育が進んでなさすぎる」と指摘する。
「『シンクロフィット』(体に密着させるタイプの生理用品)が指原莉乃さんのYouTubeの影響でバズったり、SHELLYさんが生理に関するYouTube動画を投稿していたりしている今、私たちのようないわゆるアイドルと呼ばれるような人たちもしゃべっていくことで、生理は得体の知れない恥ずかしいもの、というイメージを払拭していきたいですよね。男性にとっては、女の子だけが集まって話す話題というイメージがあると思うんですよ。だけど、私は人と変なところで感覚がずれているので、生理を恥ずかしいと思ったことがない。学生時代に、生理痛がしんどくて机で突っ伏していたら、男子から『仲井(でか美の本名)、どうしたの?」って聞かれて。それに対して普通に『生理ー』みたいに答えたら、男子がギョッとしているのを見て、なんで?って思っていました。恥ずかしい気持ちもわかるけれど、生理痛は頭痛について話しているのと同じこと。男女ともに生理のことを正しく知るというのが、生理がタブー視されている空気を変えるきっかけになると思います」(でか美)
「生理の授業が男女で分けられてしまう時点で、話しちゃいけないことなんだなという空気になりますよね。それに、大人も子供にちゃんと話してくれないじゃないですか。もう少し気楽な気持ちで、『知ることが大事』というところに重きを置けるといいなと思います」(鈴木)
アップアップガールズ(プロレス)に所属する、らく。アイドルとしての活動だけでなく、プロレスラーとして東京女子プロレスの興行にレギュラー参戦し、日々リングの上に立っているため、活動における激しさを伴う運動量はアイドル界でも随一だ。しかし、プロレスラー同士でも生理について会話することは、これまでほとんどなかったと言う。
「試合中は、夢中になって生理のことは忘れちゃうんですけど、生理のときは試合前後に大変なことになってしまう場合も。一度、試合直前に衣装のパニエが真っ赤になってしまったことがあって、そのときはたまたまほかの子が持っていたサブのパニエを借りられたんですけど、恐る恐る相談した記憶があります。たとえ生理に関心があっても、急にその話を始めたらびっくりしちゃう子もいると思うんですけど、今回みんなで一緒に学べたことで、お互いにある程度知識があることがわかっているから、生理の話をしても不自然な空気にならないんじゃないかなって思いました。そうしたら、生理のことだけじゃなくて、自分の体のこともいろいろ話せる気がして。心を開こうという気持ちになれたのが、私はよかったです」(らく)
話しやすい空気作りのために、意識していること
笑顔でステージに立ち、苦労をあまり表に出さないアイドル。同じ人間なのだから、体の不調があって当たり前のことなのに、彼女たちはどうやって生理を乗り越えているのだろうか。同事務所でも、特にストイックなパフォーマンスやライブ活動が多い、アプガ(仮)。彼女たちは標高の高い富士山頂でのライブや、2時間ノンストップライブなど、グループ名の由来である「毎日一杯一杯になりながらも“上へ上へ”を目指す」というアグレッシブな姿勢でファンを魅了し続けている。「健康が第一」と考える山田は、2013年からグループに定期的なフィジカルトレーニングを導入し、メンバーたちがハードな活動に耐えられるよう基本的な体作りもしっかりと行うようになった。しかし、体作りと生理はまた別の問題。「グループ内では生理のことも、体のことも、オープンに話せる空気を意識して作っています」と、アプガ(仮)リーダーの関根梓は話す。
「以前から、生理が重たくて気絶したり吐いちゃったりするメンバーを見てきたので、どれだけつらいことなのか、自分の体験も含めて身をもってわかっているつもりです。なので、比較的オープンに話しますし、リーダーになってからほかのメンバーの状態もすごく気にかけるようになりました。具合が悪そうだったら、今生理が何日目で、どんな状態なのか聞いて。私たちはリハーサルやトレーニングに割く時間が多いので、無理して体を壊さないよう、ステージに立たなくてもいい日はなるべく休んでいいという空気を作るようにしています。リーダーである私が率先して休むことで、グループ全体がそういう空気になっていくと思うんですよね」(関根)
「私はアプガ(仮)に加入してまだ10カ月ですし、男性スタッフも多いので、生理痛がつらくてもどうしても言えなくて。自分のつらいレベルもわからなくて、『とにかくがんばらなきゃ!』という考えになっていました。だけどあずさん(関根梓)が、自分自身の体験をけっこう話してくださるんですよね。自分の生理時の状態とか、何日目がどれくらいつらいのかとか、どんなふうに動けなくなるのかとか。使っているアイテムや薬のことも教えてくれるので、メンバー同士でも生理についてオープンに話せるようになりました。人によってつらさやリズムが違うので、知らぬ間に無理させちゃうこともあると思うんですけど、話したり学んだりすることで、お互いを気遣えるようになったなと思います」(鈴木)
約10年間、スマイレージ時代からグループでリーダーを務めていた和田は、関根の姿勢を見て、「上の人が休む姿を見せることの大切さ」を感じたという。
「グループには先輩後輩があるし、ハロプロの子たちはみんな真面目だから、迷惑にならないようにと我慢しちゃうんですよね。私も我慢強いタイプだったから、たとえ体がつらくても自分の都合でグループのスケジュールを変更させることはできなかったです。体調が悪いほかのメンバーに対して何ができたかというと、とにかく『寝ていて大丈夫だよ』と楽屋で休ませることくらい。仕事の時間になったら、様子を見て声をかけていました。今思い返せば、理想的なのは、例えば選抜メンバーで仕事をする場合はその仕事を交代したりだとか、私が休むことで後輩が休みやすい環境を作ったりするとか。メンバー同士でカバーできることがあった気がします」(和田)
和田の意見に大きくうなずくのは、アップアップガールズ(2)(以下、アプガ(2))の鍛治島彩。アプガ(2)はアプガ(仮)の妹分として5年前に結成され、最年少メンバーは15歳というフレッシュなグループだ。11月26日開催の東京・Zepp Tokyo単独公演「アップアップガールズ(2)Welcome to にきちゃんぱれーど」に向けて奮闘中の彼女たち。ストイックな姿勢で練習に励む日々の中で、ときには無理してしまうこともあると鍛治島はこぼす。
「アプガ(2)のメンバーは、めちゃくちゃ無理する人ばっかりで。自分の体のこととか、比較的オープンに話せるんですけど、生理痛ですっごくつらかったとしても『私、がんばる』みたいな感じで練習は休まない。世間から『生理は我慢するもの』という考えを植え付けられた人たちの集合体、みたいな感じなんですよね(笑)。だけど、今回の研修で『体がつらいときは我慢するものじゃない』と改めて教わったので、みんなが変わるといいなと思います。アプガ(2)はメンバー同士の年齢が離れている分、若い子たちは経験も浅くて知らないことも多いと思うし、そういうところも年上メンバーがフォローできたら。こうやって考えてみたら、きっとできることはたくさんありますよね」(鍛治島)
「私もグループに所属していたとき、ライブのMCタイミングなどでは、体調が悪い人には話を振らないようにしていたかな。あとはMCを交代するのもいいよね。かじぃ(鍛治島)のグループもあーちゃん(関根)のグループも素晴らしいところは、みんなで話せる空気があること。それができないと、1人で抱え込んでしまうじゃないですか。自分が今どういう状態なのか、近くにいる人に知っておいてもらうだけでも気持ちが楽になると思うので、アイドルグループだけに限らず、会社や学校でもそういう機会が増えるといいなと思います」(和田)
男性にも知っておいてもらえるだけで、気持ちが楽になる
生理で調子が悪いとき、自分のコンディションを知ってもらうだけで気持ちが楽になるというのは、男性に対しても同じ。グループ活動を支えるマネージャーが男性だった場合、生理の仕組みや対処法について完璧に把握しておいてほしいというのはなかなかハードルの高い話かもしれないが、「不調だと知っておいてもらえるだけでお互いに楽になる」と、メンバーたちは口をそろえる。和田はアンジュルム時代に経験した男性マネージャーとのエピソードを話してくれた。
「まだ生理に対して恥ずかしいという意識を持っていた当時、練習中に突然生理が来てしまって、すごくお腹が痛くなってしまったんです。マネージャーさんに『鎮痛剤ありますか?』と聞いたら、『なんで?』って聞くんです。マネージャーさんとは仲がよかったし、普段から話しやすいタイプの人だったけど、そこは察してほしいと思ってしまった。『どういう痛み?』と聞かれたけど、『生理痛』と答えるのが恥ずかしくて、つい怒っちゃったんですよ。デリケートな部分ではあるから、慎重に接しないと傷付いてしまう子もいるはず。だから、お互いに理解し合うことが必要ですよね。生理を体験できない人でも、生理痛にはどんな対処法があって、どういう薬を使うのかとか、知っておくだけで相手との関わり方がまったく変わってくると思うんです。だから普段から情報交換をしておくことが必要だなと思います」(和田)
そのストイックな仕事ぶりから、かつてスマイレージのファンから“鬼軍曹”と呼ばれていた山田。「1年間で1日しか休みがなかった」と当時を振り返るほどメンバーと行動をともにしていた経験もある彼は、生理に対して恥ずかしさや抵抗感などは感じていなかったという。
「僕自身はわりとオープンな性格なので、これまであまり深く考えてこなかったんですけど、生理に対しても『女性のものだから触れてはいけない』みたいに思ったことはないです。もちろん、年頃の女性タレントと接していたので、発言やコミュニケーションの取り方には都度配慮してましたし、知識は全然なかったけど、生理痛も頭痛や腹痛と同じラインで考えていました。21歳から20年以上ずっと女性アイドルに携わる仕事をしてきましたし、僕の母親が働きながらつらそうにしている姿も見てきたから、男性の中では理解しているほうかもしれないです。過去を振り返れば『もっと知識があればこんなふうにフォローできたかも』と反省することもありますし、男性が知ることは必要だと思います」(山田)
「YouTubeで彼氏に生理を体験してもらうって企画の動画を見たんですけど、そういうふうに実際に体験するのが難しくても、少し知識があるだけで全然違うと思います。それに生理について他人と話す機会が増えれば、状況も変わると思うし、誰かをサポートするタイミングが来たときに役立つはず。いち女性としても、少しでも生理について知ってくれている人には悩みやつらさを打ち明けられる気がするし、それだけでだいぶ助かるだろうなと」(関根)
ぱいぱいでか美は、長く同じ男性マネージャーと活動をともにしている。彼女自身の性格もあるだろうが、普段から自分の体調の変化を細かく伝えていることで、「助けられていることが多い」と話す。
「私は、ちゃんと“生理の人”になっちゃうんです。イライラするし、普段なら我慢できるようなTwitterのリプライにも食ってかかりそうになるし(笑)、体調が悪いときは起き上がれなくなる。だから、症状の程度に関係なく、生理がきたら『今日は生理』とマネージャーに伝えます。生理周期の前半に症状が重くなることが多いんですが、そう伝えておくと相手も気を遣ってくれますし、イライラして当たってしまっても『自分のせいじゃない』と思ってもらえたりする。言っておいたほうがお互いに楽だろうなと感じています。
でも、今日みんなと話していて思ったのは、私がソロで活動しているから、こんなふうに融通が効くんだなと。打ち合わせをずらしたり、ギリギリまで寝かせてもらえたりとか、グループで動いている子たちには、なかなか難しいかもしれないですよね。『ほかのメンバーに迷惑をかけたくない』と言いづらい気持ちもわかるけど、だからこそ自分の状態をみんなに共有したほうが、お互い気持ちよく仕事できるんじゃないかな。自分からは言い出せないタイプの女の子をマネジメントしている人は、余計先回りして学んでおくといいんだろうなと思います」(でか美)
生理について学び、話すこと。「躊躇してしまう気持ちもわかる」と前置きをしたうえで、彼女たちはその大切さについて身をもって語り、自分たちもまだ学んでいる途中であることを教えてくれた。後編では彼女たちに、各々の生理の乗り越え方や具体的なエピソード、YU-Mが目指す「現代型の根性論」について語り合ってもらった。
<後編へ続く>
山田昌治
株式会社アップフロントグループでモーニング娘。、後藤真希、スマイレージらのマネージャーを担当後、2016年にYU-Mエンターテインメント株式会社を設立。現在アップアップガールズ、吉川友、辻希美、和田彩花、仙石みなみ、新井愛瞳、ぱいぱいでか美らが所属する同社の代表取締役を務めている。
和田彩花
1994年生まれ、群馬県出身のアイドル。2009年にスマイレージ(現アンジュルム)の初代メンバーに選出されリーダーを務める。2010年に1stシングル「夢見る 15歳」でメジャーデビュー。2019年にアンジュルムおよびハロー!プロジェクトを卒業し、以降は音楽活動の傍らトークイベントや執筆活動などを行う。趣味は美術に触れること。特に好きな画家はエドゥアール・マネで、好きな作品は「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」。2021年11月23日に初のソロアルバム「私的礼讃」を配信リリースした。
ぱいぱいでか美
1991年生まれ、三重県出身のタレント / 歌手。ソロ楽曲の作詞作曲やライブ活動、他アーティストへの楽曲提供、DJ、コラム執筆などの傍ら、2014年8月から2021年9月まで日本テレビ系「有吉反省会」にレギュラー出演していた。また自身が中心となるバンド・ぱいぱいでか美withメガエレファンツ、アイドルユニット・APOKALIPPPSのメンバーとしても活動中。2021年3月に新曲「イェーーーーーーーー!!!!!!!!」を配信リリースし、同年4月よりYU-Mエンターテインメントに所属している。
アップアップガールズ(仮)
ハロー!プロジェクトのハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)の研修課程を修了した7人によって2011年に結成されたアイドルグループ。結成当初は「アップフロントガールズ(仮)」として活動し、同年7月に「アップアップガールズ(仮)」に改名した。以降楽曲をリリースしながら精力的にライブ活動を行い、2014年8月には富士山山頂でのライブに挑戦。2015年5月にはハワイ・ホノルルで開催された「ホノルル駅伝」に参加しメンバー全員が完走した。2017年9月と2020年12月のタイミングで関根梓以外のオリジナルメンバーが卒業。同時に新メンバーが加入し、現在は関根、古谷柚里花、鈴木芽生菜、工藤菫、鈴木あゆ、小山星流、青柳佑芽、住田悠華の8人で活動中。
アップアップガールズ(2)
アップアップガールズ(仮)の妹分として結成されたアイドルグループ。2016年に行われたアップアップガールズ(仮)の東京・日本武道館公演にてメンバーオーディションの開催が発表され、翌2017年に活動がスタートした。初期メンバーの吉川茉優、鍛治島彩、高萩千夏の3人に加え、2018年4月に中川千尋と佐々木ほのか、2019年3月に島崎友莉亜、新倉愛海、森永新菜が新メンバーとして加入。現在は8人体制で活動している。最新作は2021年11月17日発表の音源集「にきちゃんわんだーおんぱれーど」。
※高萩千夏の「高」ははしご高が正式表記。
アップアップガールズ(プロレス)
2017年にアップアップガールズとプロレス団体「DDTプロレスリング」による新プロジェクトとして結成されたアイドルグループ。2017年にライブイベント「@JAM EXPO」でアイドルデビュー、2018年に「東京女子プロレス」後楽園ホール大会にてプロレスラーデビューを果たし、同年乃蒼ヒカリ、渡辺未詩、らくの3人体制での活動をスタートさせた。アイドルとして単独日本武道館公演、プロレスラーとして日本武道館メインイベント出場を目指し、日々アイドル活動とプロレスの稽古に励んでいる。現在東京女子プロレスの興行にレギュラー参戦中。