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茅原実里、笑顔も涙もあふれたラストライブ「みんなと出会えて私は本当に幸せ者」

3年近く前2021年12月27日 7:01

茅原実里が歌手活動休止前のラストライブ「Minori Chihara the Last Live 2021 ~Re:Contact~」を昨日12月26日に神奈川・神奈川県民ホールで開催した。

2004年に歌手デビューを果たし、2007年よりランティスで本格的に音楽活動を始めた茅原は、今年の12月31日をもって歌手活動を休止する。自身の誕生日である11月18日には、これからの未来への希望やファンへのメッセージが詰まった新作ミニアルバム「Re:Contact」をリリースした。茅原はラストライブでこのミニアルバムの収録曲を含め、これまでの活動で生まれてきたさまざまなナンバーを披露。音楽ナタリーのメールインタビューで彼女はライブに向けて「これまで音楽を通していただいたたくさんの愛情を返す時間にしたいと思っています」「応援してくれたみんなに感謝の気持ちを歌にして届けたいと思います」と語っていたが、その言葉の通り、ファンへの愛や感謝に満ちた温かな時間となった。

「みんな、いくよー!」と茅原が叫んだと同時にステージと客席を隔てる紗幕が勢いよく落ち、ミニアルバムの表題曲「Re:Contact」でライブはスタート。“CMB”ことChihara Minori Bandが奏でるスケール感のあるサウンドに乗せて、茅原は凛とした佇まいで明日へと突き進んでいく意思を力強く歌い上げた。そのまま2007年にランティスからリリースされた1stアルバムの表題曲「Contact」へと演奏がつながると、茅原はダンサブルなビートに体を揺らしながら時折笑顔を見せて歌を届け、「詩人の旅」では「ありがとうー!」とオーディエンスに向けて何度も手を振った。

「too late? not late…」では馬場一人(G)の爽快なギターサウンドと茅原の晴れやかな歌声によってエモーショナルな空気が会場に広がる。そんな中、茅原が「2007年からランティスさんで音楽活動を本格的に始めさせていただいて、私はそこからたくさんのアニメソングを歌わせていただきました。アニメと歌が重なり合うとこんなに大きな愛と力が生まれるんだなと教えてもらいながら歌わせてもらいました。そんなアニメソングと歩んできた私にとって大切な楽曲たちを聴いてください」と告げて、ゆっくりと歌い始めたのはテレビアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のエンディング主題歌「みちしるべ」。鍵盤を中心とした温かな演奏をバックに、茅原は1つひとつの言葉を大切そうに紡いでいく。その後も茅原はテレビアニメ「境界の彼方」のオープニングテーマ「境界の彼方」や、テレビアニメ「翠星のガルガンティア」のオープニングテーマ「この世界は僕らを待っていた」といった多くの人々から愛されてきたアニメソングをじっくりと思いを込めるように披露した。

ライブ前日がクリスマスだったことから、「みんな昨日何してた? ケーキ食べた?」と観客に問いかけた茅原。彼女は「穴に落ちた人いる?」と2013年に東京・両国国技館で行ったクリスマスライブでポップアップ用の穴に落ちてしまったことを思い返し、「あのときは心配をさせてしまってごめんなさいね。でも、振り返るといい思い出ですよ」と懐かしそうに笑った。茅原は夢に満ちたクリスマスソング「キラキラ輝く、世界の時間」をファンにプレゼント。その後、愛しい人への思いがつづられたナンバー「Dears~ゆるやかな奇跡~」を観客を見つめながら穏やかに歌い上げた。

茅原は最新ミニアルバムについて「5曲入りなんですけど、フルアルバムと同じような熱量と愛情がこもった1枚が完成しました」と話を切り出し、「茅原実里の歴史がギュッと詰まった1枚で、菊田大介さん、畑亜貴さんをはじめ、これまで私の音楽を作ってきてくださったたくさんの音楽家の皆様に協力していただいて、希望にあふれたミニアルバムができました」と充実した表情で語る。そして「本当に私は素敵な方々と音楽活動をしてこれたんだなというのを噛み締めながら作っていきました。みんなの人生の節目だったり何かをスタートさせるときに、きっと力をくれるアルバムになったんじゃないかなと思っているので、これからもいっぱい聴いてくれたらうれしいです」と客席に向かっておじぎをした。その後、茅原が歌唱したのは最新ミニアルバムの収録曲「いつだって青空」。茅原とファンの関係性を表すような温かくて優しいこの曲では、オーディエンスが左右に手を振って会場がひとつになった。

茅原が一度ステージをあとにすると、ここからCMBがインストメドレーを展開。茅原の音楽を支えてきたCMBの芳醇なアンサンブルをオーディエンスはじっくりと堪能した。茅原は赤い衣装にチェンジして再びステージに登場。レーザーライトが飛び交う中、疾走感のあるEDMナンバー「Dream Wonder Formation」で芯のあるロングトーンを響かせた。さらに茅原が「TERMINATED」をパワフルに歌唱すると、オーディエンスも赤いペンライトを力いっぱい振り上げる。「Paradise Lost」では炎が吹き上がるステージで茅原がマイクスタンドを持ち上げてエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げた。

「声優として歌手として、私にたくさんのチャンスをくれた、私の未来を変えてくれた大切な曲を聞いてください」という言葉を経て披露されたのは「涼宮ハルヒの憂鬱」で茅原が演じる長門有希のキャラクターソング「雪、無音、窓辺にて。」。白いペンライトに染まった客席を前に、茅原は自身の音楽活動の原点とも言えるこの曲を届けた。茅原は思いきり感情を吐き出すように「a・b・y」を情熱的に歌い上げたあと、2ndシングル曲「君がくれたあの日」をエネルギッシュに歌唱。新たな“旗曲”である「FEEL YOUR FLAG」では、茅原の新たな船出を応援するようにオーディエンスのフラッグが一斉に揺れた。

純白の衣装に着替え、「Voyager train」を伸びやかに歌い上げた茅原。この曲の前に衣装を自分で踏んでしまってスカートが取れてしまうというハプニングを起こした彼女は「もしかしたらクリスマスに穴に落ちたときよりもびっくりしたかもしれない。実に茅原実里っぽいなって思ってます」と笑い、「何かやらかして、みんながフォローしてくれて、がんばるぞっていう。温かいパレードをみんなと一緒に歩んでこれました」と感謝の思いを述べた。茅原は「楽しいなあ。歌が好きで、音楽が好きで、歌ってこれて、生きてこれてよかったなってすごく思います。だって歌ってなかったらこうやってみんなに出会えなかったわけでしょ? 出会えなかった人、見ることができなかった景色とか、いっぱいあったんだろうなって思うから、本当に歌が好きで、歌ってきてよかったなって思います」と話す。そんな思いを込めるように、茅原はこれまでの歩みを想起させるような楽曲「everlasting…」を涙で声を詰まらせながら歌いきった。「いろいろな思いがあふれてしまって……ごめんね」と言う茅原を励ますように会場は温かな拍手に包まれる。茅原は涙をあふれさせながらも「今日は何があっても気持ちだけは絶対に途切れないように歌っていこうって、心に決めてここにやってきました」とまっすぐな眼差しで語った。

ここから茅原はバンドマスターの須藤賢一(Key)と2人のみで楽曲を披露していく。まずは2010年に自身で初めて作詞をした楽曲「sing for you」を柔らかなピアノサウンドに乗せて観客にそっと語りかけるように歌った。さらに2人が続けたのは、最新ミニアルバムに収録されている茅原が作詞、須藤が作編曲を手がけた楽曲「Sing」。茅原はこの曲を通して、どんなに遠く離れていても同じ空の下でつながっているというファンへの温かなメッセージを自身の言葉で伝えた。

CMBのメンバーが再びステージにそろったあと、茅原はこれまで自身の音楽活動に携わってくれたすべての人々への感謝の思いを述べる。そして客席を見渡し、「みんな、いっぱい歌を通して同じ時間を過ごしてきましたね。思い出がいっぱいです。もうあふれています。みんなと一緒に過ごしてきた時間、思い出はかけがえのない私の一生の宝物です。さっき『Sing』に込めたメッセージの通り、みんなと同じ空の下でこれからもつながっていますし、みんなの笑顔と幸せを毎日毎日祈っています。みんなと出会えて私は本当に幸せ者でした」と深く頭を下げた。「私とみんなの始まりの曲です」という言葉を経て披露されたのは1stシングル曲「純白サンクチュアリィ」。羽が舞う美しい光景の中、茅原は涙をこらえながら晴れやかにこの曲を歌い上げた。

ステージに1人残った茅原は「楽しかったー? 私も楽しかった。本当に楽しかった! みんなとの思い出は私の大切な宝物です」と泣きながらも明るく手を振り、「みんな、これまで私の歌を愛してくれて本当にどうもありがとうございました!」とおじぎをした。一度ステージを去ったあと、拍手に呼ばれてもう一度舞台に現れた茅原は、マイクを通さずに「寂しい!」と思わず本音を叫ぶ。そして「いつも笑っててね! 私はみんなの幸せを毎日祈ってます! 大好き!」とありったけの愛をファンに伝え、大きく両手を振りながらステージの奥へと去って行った。

茅原実里「Minori Chihara the Last Live 2021 ~Re:Contact~」2021年12月26日 神奈川県民ホール セットリスト

01. Re:Contact
02. Contact
03. 詩人の旅
04. too late? not late...
05. みちしるべ
06. 境界の彼方
07. この世界は僕らを待っていた
08. キラキラ輝く、世界の時間
09. Dears~ゆるやかな奇跡~
10. いつだって青空
11. CMB inst
12. Dream Wonder Formation
13. TERMINATED
14. Paradise Lost
15. 雪、無音、窓辺にて。
16. a・b・y
17. 君がくれたあの日
18. FEEL YOUR FLAG
19. Voyager train
20. everlasting...
21. sing for you
22. Sing
23. 純白サンクチュアリィ

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