大阪☆春夏秋冬が4月29日に東京・神田スクエアホールでライブツアー「大阪☆春夏秋冬 2022 TOUR Thanks for 10th ~歌い続ける僕らの唄~」のファイナル公演を開催し、現体制での活動を締めくくった。
圧倒的な歌唱力を誇るメインボーカルMAINAを中心としたパワフルなパフォーマンス、ロックサウンドを軸にしたアグレッシブな音楽性、大阪発のグループならではのにぎやかで軽快なMCなどを武器とするダンス&ボーカルグループ大阪☆春夏秋冬。確かな実力とともに独自の存在感を放ってきた彼女たちだが、結成10周年に合わせた今回のツアーをもってMANA、YUNA、RUNAが所属事務所のハッピータイム事務所を退所すること、それに伴い現体制の活動に終止符が打たれることを今年1月に発表した。5人はツアーを通してゲストとのツーマンライブを繰り広げ、ステージデビュー10周年記念日に単独のファイナル公演を開催。10年間の感謝の気持ちを込めて集大成となるパフォーマンスを届けた。
会場に集まったファン、CSテレ朝チャンネル1で実施された生中継の視聴者がいつもとは違った緊張感を持って開演を待つ中、大阪☆春夏秋冬はSEに合わせた手拍子に迎えられながらステージに姿を現す。そして照明が作り出す逆光によって5人のシルエットが浮かび上がった瞬間、1曲目の「Brave Soul」がスタート。さらに「ROCK SHOW」「MOVE AROUND」などのロックナンバーが続くと、観客は手を掲げたり、体を揺らしたりして心の底からライブを楽しんだ。最初のMCでは笑顔を浮かべたメンバーがデビュー10周年を迎えられたこと、このライブのチケットが完売したことについて感謝の言葉を口に。新型コロナウイルス感染拡大防止対策として声援を送れない環境でもより積極的にライブに参加できるよう、観客に一斉にハミングの練習を促して会場の一体感を高める場面もあった。
その後、5人はテレビアニメ「FAIRY TAIL」のオープニングテーマに使用された「NO-LIMIT」や、メジャーデビュー曲「Travelin' Travelin'」で会場をさらなる高揚感で満たしたかと思えば、しっとりとしたバラード曲「もしも逢えたなら」「Last Day」を続けて披露。「もしも逢えたなら」は雨の音とともに曲が始まり、「Last Day」ではステージ中央で歌い上げるMAINAに傘を持ったメンバーが1人ひとり歩み寄り互いに抱き合う。この日の天気が生憎の雨であったこともライブを印象深いものにする1つの演出となり、MAINAが響かせる力強く伸びやかな歌声が聴く者の胸を打った。場内にセンチメンタルなムードが漂う中、メンバーは「10周年ってこんな景色なんやなって、今ここで感じてます」としみじみと語りつつも、「遊びすぎたライブが多数ありまして……」とこれまでの活動の中で繰り広げてきたユニークなライブ演出の数々を回顧。その話で盛り上がりすぎたあまりMCの時間をオーバーさせ、次の曲に移るためにトークの途中で暗転させられてしまうという展開で観客の笑いを誘った。
気を取り直して次の曲の立ち位置についた大阪☆春夏秋冬は、ここから息つく暇もなく楽曲を披露し、怒涛のステージで観る者を圧倒する。「mellow mellow」「Evolution」「カメレオン少女」などが次々に畳みかけられ、ライブの人気曲の1つ「C'mon!」では観客がジャンプしたり、メンバーの動きに合わせて体を左右に揺らしたりして大いに熱狂した。また5人はパーティの始まりを告げるR&Bソング「New Me」、MAINAのラップが心地よいソウルフルな楽曲「ひゅるり」、メロディアスなダンスナンバー「Dance to the light」もパフォーマンス。改めて楽曲のクオリティの高さ、音楽性の幅広さを見せつけた。
インストゥルメンタルのダンス曲を挟み、思い出の1stシングル曲「DAWN OF MY LIFETIME」を歌ったあとは、メンバーが1人ずつ順番に“大阪☆春夏秋冬としての今の気持ち”を語っていく。まずはRUNAが「どんなときでも味方でいてくれてありがとう。そしていつも1番のファンとして近くで応援してくれてありがとう」と家族に対する思いを述べ、YUNAは「一緒にステージに立って戦ってこれたことはホンマに幸せやったし、ずっと待ってくれているファンの人たちのために前を向き続けて手を取り合って、本当にたくましい姿でした。それとともに終わってしまう儚さもたくさん感じてきました。今度は私たちの番です。続けられるうちにたくさんぶつかって、たくさん愛して、そしたらそれが一生の宝物になります」とアイドルシーンの同志や仲間にメッセージを送る。またEONはハッピータイム事務所や所属レーベルのエイベックス、これまで出演してきた音楽フェスに向けて、「たくさんの方々が私たちを支えてくださって、そのおかげで私たちは今日ここでライブをすることができていると思います」と感謝の気持ちを語り、MANAは涙ながらにステージ上のメンバー4人や、卒業していったメンバーへのあふれんばかりの思いを言葉にした。
MAINAはあきんど(大阪☆春夏秋冬ファンの呼称)に向け、「10年の間の中で私たちを見つけてくれて、出会ってくれて、好きって言ってくれて、夢を見させてくれて、いつでも味方でいてくれてホンマにありがとう。あきんどがいなかったら、私たちは今こんな素晴らしい環境で歌って踊って輝いてなかったと思います」と胸の内を伝える。彼女が「5月以降、絶対に寂しくなるけど、私たちの心には絶対にあきんどがおるし、あきんどの心の中にもずっとメンバーがいます。だから、今日は終わりじゃないと思っています。またいつか5人で……いや、もしかしたら6人でステージに立つときが来たら、そのときは会いに来てくれますか?」と昨年4月に卒業したANNAの存在に触れながら呼びかけると、大きな拍手が沸き起こった。5人の挨拶が終わり、MAINAの「青春をありがとう。輝きをありがとう。たくさんの思い出をありがとう。本当に本当にありがとうございました。今言ったいろんなありがとうを込めて、次の曲を歌います。そしてまたこの5人、みんなと会えますように」という曲振りを経て、大阪☆春夏秋冬は情感あふれるミドルチューン「太陽と月とピザ」を披露。真剣な表情で熱い思いを歌に乗せた。続く「SUNSHINE LOVE」では観客がハミングでシンガロングしたり、手でハートマークを作ったりして会場にエモーショナルな空気が作り上げられた。
ステージ上から観客と記念撮影した大阪☆春夏秋冬は、ラストスパートとしてアッパーチューン「BABY CRAZY」「Start Over」を勢いよくパフォーマンス。その勢いのまま別れと再会を歌った「See you again」を響かせ、「2022年4月29日、私たちは大阪☆春夏秋冬は10周年を迎えることができました! ありがとう! 新しい未来に向けて突っ走っていきます!」という宣言を残してステージをあとにした。
アンコールではMAINAが10年間の思い出を“宝物”として残すために作詞作曲した「忘れないもの」、同じくMAINA作詞作曲のナンバーで、コロナ禍でライブができずにファンに会えないことへの思いを込めて制作された「シンガロングをもう一度」が届けられ、場内の空気に感動と興奮が入り混じる。そしてMAINAの「ラストに終わらない歌を歌います」という言葉を合図に、5人は夢へ突き進む思いをつづった「その手」を披露。曲中にはMAIINAの「終わらないからなー!」という魂の叫びが響きわたった。
メンバーは再びステージから退場するも、客席からステージに送られる拍手は鳴り止まない。大阪☆春夏秋冬はこれに応えて再度あきんどの前に姿を現すと、代表曲であるキラーチューン「Let you fly」をラストナンバーとして投下。観客はペンライトを手に盛り上がりつつ、5人が大阪☆春夏秋冬として歌う最後のステージを目に焼き付けた。盛大な拍手に包まれたメンバーは瞳に涙を浮かべつつ、「10年間、本当にありがとうございました!」と生声で挨拶。ラストにMAINAは「私たち大阪☆春夏秋冬、この5人は5月からバラバラになっちゃうけど、この感謝の気持ちを持って、ずっと心に秘めてがんばっていきたいと思います。みんなもつらいこととか悲しいこととかいっぱいあると思うけど、きっと大丈夫です。つらくなったら大阪☆春夏秋冬の曲を聴いてください。そのために今日私たちは終わらない歌を歌いました」と晴れやかな表情で語り、「大阪☆春夏秋冬 2022 TOUR Thanks for 10th ~歌い続ける僕らの唄~」の幕を閉じた。また終演後にはハッピータイム事務所からメンバー5人に向けてトロフィーが贈られ、10年間の努力と功績が健闘が讃えられた。
なお大阪☆春夏秋冬はオーディションの合格者によってメンバーを一新し、夏に新体制での活動を本格的にスタートさせる予定。MAINA、EONはソロ活動とともに楽曲提供、総合アドバイザーとしての活動を通じて新グループに関わっていく。
大阪☆春夏秋冬「大阪☆春夏秋冬 2022 TOUR Thanks for 10th ~歌い続ける僕らの唄~」2022年4月29日 神田スクエアホール セットリスト
01. Brave Soul
02. ROCK SHOW
03. MOVE AROUND
04. AxMxMxRx to The End
05. NO-LIMIT
06. Travelin' Travelin'
07. もしも逢えたなら
08. Last Day
09. 世界には僕らだけ
10. mellow mellow
11. かなしいうた
12. Get up for your right
13. SSFW / Evolution
14. カメレオン少女
15. C'mon!
16. New Me
17. ひゅるり
18. Makkkkko Shobu / Dance to the light
19. ダンスナンバー
20. DAWN OF MY LIFETIME
21. 太陽と月とピザ
22. SHINE
23. PLAYER
24. SUNSHINE LOVE
25. BABY CRAZY
26. Start Over
27. See you again
<アンコール>
28. 忘れないもの
29. シンガロングをもう一度
30. その手
<ダブルアンコール>
31. Let you fly