SAKA-SAMAの現体制ラストワンマンライブ「万祝」が7月2日に東京・UNITで開催された。
2019年8月にオリジナルメンバーかつリーダーの寿々木ここねに、朝倉みずほを“サポートメンバー”として迎える形で始まった2人体制のSAKA-SAMA。それまで交流がなかったものの、明るく優しく、どこか似た雰囲気の2人はすぐに打ち解け、“サポートメンバー”という朝倉の肩書きを忘れさせるほど、ニコイチなペアとなっていく。
2019年8月26日の初ライブで旧体制の楽曲を含む7曲を披露した2人は、その後どんどんと持ち曲を増やし、2020年末に28曲入りの2枚組のアルバム「君が一番かっこいいじゃん」をリリース。コロナ禍においても元気にライブ活動を続け、今春にはニューアルバムからの先行シングルとしてリリースした「ライラック・ランデブー / E.S.P.」でファンの高い評価を集める。今後の展開への期待が一層高まった矢先、4月8日に行われた朝倉のアイドル活動10周年記念ライブで発表されたのが、彼女の“サポートメンバー”としての活動終了、すなわちSAKA-SAMAからの離脱とTRASH-UP!! RECORDSからの退所だった。
2人のSAKA-SAMAが終わってしまう……唐突な発表はファンに大きな衝撃と悲しみをもたらしたが、それから約3カ月間、2人はこれまでとほとんど変わらない様子でライブを楽しみ、6月には現体制ラストアルバム「万祝」をリリース。以前から楽曲のクオリティの高さで知られていたSAKA-SAMAだが、グループの印象を大きく変えるほど強力な楽曲を一気にいくつも手に入れ、より進化した状態で現体制終了の日を迎えた。会場のUNITはSAKA-SAMAにとって過去最大規模の舞台となったが、フロアは2人を愛する人々で埋め尽くされ、会場には盟友と言える多数のアイドルやイベンターから祝いの花が届けられた。
「SAKA! SAMA! えいえいおー!」
おなじみのかけ声からステージに現れた2人がそれぞれポーズを取ると、現体制ラストアルバムの表題曲であり、ライブタイトルともなった「万祝」でライブが始まった。「2人でこれからもでたらめにいよう」という歌い出しの「万祝」は、“元気印”と評された2人の無邪気でハッピーなキャラクターをそのまま表現したかのようなハイテンションナンバー。広いステージを駆け回り、「君と歌うのが大好き」「君に歌うのが大好き」「たぶんずっとずっと」とパワフルに歌った2人は、ミラーボールがきらめく中、「Ex/cla/ma/tion/!!」「寿司でぃ・ないと・ふぃーばー!!」のダンスナンバー2連発でフロアをさらに盛り上げる。
現体制初シングルから「タイミング」「空耳かもしれない」の2曲を続けて歌った2人は、ここでMCへ。満員のフロアに驚いた様子を見せつつ、前に詰めるよう呼びかけた朝倉は「協力していかないとね。私たちの3年間みたいに」と笑う。豪華な照明により彩られたステージで、2人は思い出が詰まったバラエティ豊かな楽曲を次々に披露。キュートで、ユーモラスで、ときにエモーショナルなグループの多彩な魅力を存分に見せていく。
ライブ前半のハイライトとなったのはmekakusheが作詞作曲した新曲「わたし世界と地続きです」と、続けて披露されたmekakusheの初提供曲「抱えきれないわ」だった。「わたし世界と地続きです」には振り付けがない分、2人はより力を込めた歌声と美しいハーモニーを会場に響かせ、「抱えきれないわ」では息を呑むような繊細なパフォーマンスでオーディエンスを圧倒。大きく心を揺さぶられた観客の拍手はしばらく鳴り止まず、2人はうれしそうに笑みを浮かべた。
マイクスタンドを使用し、朝倉がメインボーカルを担当する「朝も夜もおなじ」でパフォーマンスを再開した2人は、ここから「おやすみジュディ」「可能性」「終わりから」といったシューゲイザー / ドリームポップ路線のナンバーを畳みかけるように披露。轟音に包まれる会場で懸命に声を振り絞る。その後MCも挟まれるが、2人はいつも通りの呑気なムードを崩すことはなく、ガバを取り入れた「ライト・ナウ!!」や近年のライブ定番曲「ダンスを止めるな」、mekakusheが手がけた新たなキラーチューン「革命前夜」でラストスパートをかけていく。
20曲以上が披露され、いよいよライブも終わりが近付く中、「憶えていたくても忘れてくと思うけど これ以上何かを失いたくはないから」と歌う朝倉の落ちサビが切ない「E.S.P.」、「きっと二人は変わってしまう それでも行こう」という歌詞が現体制終了を示唆するかのようなmekakushe提供曲「ライラック・ランデブー」を続けて披露したSAKA-SAMA。感傷的なモードに入りそうなところだが、2人は飛び切りポジティブな「君が一番かっこいいじゃん」でシリアスな空気を吹き飛ばしてライブ本編を終えた。
アンコールは現体制SAKA-SAMA初期のライブアンセムである「to the stars」でスタート。観客の手にしたサイリウムが赤く光る中、2人はエネルギッシュに歌い踊り、「今日が一番でしょ!」と勢いよく人差し指を突き上げる。ここでようやく2人は現体制の終了について触れるが、朝倉が虫刺されをアピールしたり、口内炎を気にし出したり、自由奔放な振る舞いを見せ、会場には笑いが絶えない。
寿々木に「どうでした?」と感想を求められた朝倉は「3年もサポーターを続けるなんて思ってもなかったけど、3年間でいろんなここねんを知れたのがとても楽しかった。あとはいっぱいいろんな曲に出会えた」とコメント。「私は10年やってたけど、その中の3年間という、このSAKA-SAMAでの時間はとても濃く、みんなにも観てもらえて、出会えて、楽しい時間でした」と振り返った。
「いかがでしたか? 私との3年間」と朝倉に話を振り返されて「褒めてほしい人みたい」と笑った寿々木は「3年間スーパーナイスサポートありがとうございました。本当にね、2人で歌って踊るのは私もすごく楽しかったし、それまで出会えてなかった皆さんにも出会えて、すごくいい3年間だったなって思います。みずほちゃんありがとう」と感謝を伝えた。そして「朝日のようにさわやかに」「わたしたちの地図」の曲中にも「大好きだよ」と微笑み合った2人は、フォークソング「たんぽぽ」を伸びやかに歌唱。温かい空気の中、全30曲のパフォーマンスを終えた。
ここでO'CHAWANZのメンバーであり、過去にはSAKA-SAMAのサポートメンバーを務めていたこともあるしゅがーしゅらら改め、さとうららが登場。さとうは2人に花束を渡しつつ、「ここねんがSAKA-SAMAを続ける限り、SAKA-SAMAはずっとどこまでも続くと思うから、私はずっと応援してます」「みずほちゃんは途中からSAKA-SAMAに入っていろいろ覚えることも多かったり、大変だったり、辛いことも多かったと思うんですけど、それを私たちには全然見せずに、最高の笑顔で最高のSAKA-SAMAを、大好きなSAKA-SAMAを作り上げてくれてありがとう」と労いの言葉をかけた。
最後に記念撮影を行った寿々木と朝倉は、改めて感謝を伝え合うと「以上、私たちSAKA-SAMAでした! ありがとうございました!」と笑顔で挨拶。これで終わってしまうのが信じられないほど、さわやかに2人のラストライブを締めくくった。
なお7月6日には東京・Time Out Cafe & Dinerでトークイベント「ここねんみずほとアフターパーティー!」が開催される。このイベントでは2人がラストライブをのんびりと振り返る予定。またラストライブの模様を収めた映像作品が8月中旬に発売されることも決定しており、TRASH-UP!! RECORDSのオンラインストアでは予約を受け付けている。
SAKA-SAMAワンマンライブ「万祝」2022年7月2日 UNIT セットリスト
01. 万祝
02. Ex/cla/ma/tion/!!
03. 寿司でぃ・ないと・ふぃーばー!!
04. タイミング
05. 空耳かもしれない
06. 或る日の出来事
07. 時々わたし
08. SAMA-DREAMING
09. 恋は愛の日傘
10. わたし世界と地続きです
11. 抱えきれないわ
12. 朝も夜もおなじ
13. おやすみジュディ
14. 可能性
15. 変身
16. Melody
17. Heavenly Blue ~ずっと傍にいたい~
18. 終わりから
19. ライト・ナウ!!
20. ダンスを止めるな
21. 革命前夜
22. ひとりぼっちの地球人
23. ネガティブ・グライダー
24. E.S.P.
25. ライラック・ランデブー
26. 君が一番かっこいいじゃん
<アンコール>
27. to the stars
28. 朝日のようにさわやかに
29. わたしたちの地図
30. たんぽぽ
ここねんみずほとアフターパーティー!
2022年7月6日(水)東京都 Time Out Cafe & Diner
撮影:畦柳純子