本日10月11日に東京・アンダーズ東京 TOKYOスタジオにて行われた、映画「窓辺にて」の完成報告イベントに稲垣吾郎が出席した。
映画「窓辺にて」は、妻の浮気を知るも、それを言い出せないフリーライター・市川茂巳の姿が描かれる大人のラブストーリー。主人公の市川を稲垣、売れっ子小説家と浮気をする市川の妻・紗衣を中村ゆり、市川と文学賞の授賞式で出会う高校生作家・久保留亜を玉城ティナが演じ、主題歌はスカートが担当している。イベントには稲垣、中村、玉城の3名に加えて、作品の監督を務めた映画監督の今泉力哉が登壇した。
本作が「第35回東京国際映画祭」のコンペティション部門に選出されたことについて、稲垣は喜びを表明しつつ「『東京国際映画祭』に取材に行ったりとか、メンバーが出ている映画を観に行ったりとかしましたね」と感慨深げにエピソードを明かす。稲垣がレッドカーペットを歩いた同じ年には今泉が監督を務めた映画「愛がなんだ」もノミネートされていたそうで、今泉は「もしかしたら稲垣さんに自分の作品に触れてもらえるきっかけになってるんじゃないか、と勝手に期待していました」と照れ笑いを浮かべながら当時を振り返っていた。そんな2人が初めて会話を交わしたのは稲垣の雑誌連載で企画されたリモート対談企画。対談がセッティングされたときにはすでに稲垣を主演に据えた本作の企画が密かに立ち上がっていたそうで、今泉はそのことを知らなかった当時の稲垣から「いつか監督の作品出たいです!」「僕を映画の主演にするなら、どのような役柄にしますか?」とラブコールを送られたことを明かした。
今泉が、喜怒哀楽があまり表に出ない本作の主人公の性格について「稲垣さんに理解してもらえるのか、最初は不安に感じていたけど、衣装合わせの際、稲垣さんから『知ってる感情です』と言っていただけたのですごく安心しました」と稲垣とのエピソードを語ると、稲垣も「たぶん僕をイメージして監督も(脚本を)書かれたと思うんですけど、それでも、『なんでこんなにも僕のことがわかるんだろう』と不思議でした。スピリチュアル体験という感じです」と監督に視線を向ける。そして「初めて脚本を読んだとき、いわゆる世の中でイメージされている僕のパブリックイメージよりも、僕の心の内側までわかっているなあという印象を抱きました」と続け、感心した表情を見せた。これについて今泉は「いろんな作品を見たりとか、テレビや雑誌を見て稲垣さんの人柄を想像しただけで……そう思っていただけたのはすごくうれしいです」とコメントし、脚本を書く際には稲垣の写真集なども参考にしたことを明かした。この今泉の言葉を聞いた稲垣は「監督は僕のことが好きだったんだと思います」とはにかみ、自信を見せていた。
劇中で印象に残ったセリフを聞かれた際、稲垣が挙げたのは「“理解”って、ときに残酷だったりするから、理解なんてされないほうがいい」という一文。「理解していただけるってすごくうれしいんですけど、ときにプレッシャーになってしまうこともあり……僕もこの世界で30年くらいやらせていただいているので、共感できるポイントでした」と理由について説明した。これに対し今泉は、「芸能活動やSMAPとしての活動なども含めて、稲垣さんは僕が知るよしもないような期待や信頼を受けてきた方だと思ったので、現場で稲垣さんのこのセリフを聞いたときはすごくぞわぞわしました。役の言葉だけど稲垣さんも乗っかっていて……稲垣さんが言うとこんなふうになるのかと」と撮影を振り返っていた。
イベントの終盤では、作品が「大人のラブストーリー」であることにちなんで「人を好きになること」に関する話題に。自身の恋愛観を聞かれた稲垣は「自然の成り行きに任せることが基本ですよね。迫り来る自分の感情を拒まないというか。すごく考える人であるように見えると思うんですけど、恋愛に関しては無邪気かもしれないですね」とコメントしたのち、「49なんでね、今年で。……そろそろね、最後の恋をね」とニヤリ。司会から「お、もういいんですか? 最後の恋で」と明るく尋ねられると「それも嫌だなあ」と即座に返答し、会場の笑いを誘った。また自身が演じた役と“恋愛”の観点で重なる部分があるかを問われると、「すごくあります!」と食い気味に同意。「無邪気、などと言いましたけど、相手がいるとやはり遠慮したり冷静になってしまったりする。(自身が演じた市川が)妻の浮気にショックを受けなかったことについては、自分ももしかしたらそう思ってしまうかも……」と神妙な面持ちで語った。なお今泉の恋愛観の話題に関連して、司会から「100万人のファンがいて、自分が“選べる“立場だとしたら、どう感じるのか」と話を振られると、稲垣は「僕はそんな立場じゃないですよ。100万人のファンの方がいても恋愛してくれるとは限らないし。意外と地味なもんですよ」と呟き、哀愁を漂わせていた。
稲垣は最後に「いろんな登場人物が登場して、言葉にできない、さまざまな感情があふれている映画です。観ている方はその中からご自身が共感できるような思いを汲み取っていただければなと思います」と作品をPR。報道陣に丁寧にお辞儀し、イベントを終えた。
映画「窓辺にて」は、11月4日より全国公開される。