ばってん少女隊が11月26日に東京・中野サンプラザホールでワンマンライブ「御祭sawagi~踊れ心騒げ~」を開催した。
2020年にリリースされた楽曲「OiSa」がUSEN HIT J-POPランキングで上位にランクインし、街中で偶然この曲を聴く現象が「野生の『OiSa』に遭遇する」と表現されるなど、さらに知名度を高めたばってん少女隊。このヒットが契機となって持ち曲に和風テイストの楽曲が増え始め、今年10月にはそんな彼女たちの進化を象徴する最新アルバム「九祭」がリリースされた。このアルバムを携えて開催された本公演は、ばってん少女隊にとって過去最大規模のワンマンライブ。チケットは見事にソールドアウトし、会場に集まった約2000人の隊員(ばってん少女隊ファンの呼称)が、グループの新たな門出を祝った。
開演時刻の少し前、祭囃子のような会場BGMに合わせて客席から手拍子が沸き起こった。「パンパンパン、パパン、パパン」というリズムが繰り返されてしばらく経つと、場内の照明が落とされ、ステージの幕がゆっくりと上がる。立体的なステージセットが目を引く中、華々しく鳴り響いたのはサマーチューン「虹ノ湊」のイントロ。パステルカラーの衣装に身を包んだばってん少女隊が、海や空の映像をバックに歌い踊り、会場を夏色に染め上げる。冒頭で可憐な姿を見せたかと思えば、続く「スウィンギタイ」と「ジャン!ジャン!ジャン!」では一変、タイトなリズムに乗ってキレのあるダンスを披露した。メンバー6人は自己紹介を終えると、中野サンプラザホールのステージに立てた喜びを口々に話し始める。希山愛が中野サンプラザホールの会場名の由来について「中野さんが作ったけ、中野サンプラザ?(笑)」と首を傾げ、ほかのメンバーから「じゃあ愛が作ったら“希山サンプラザ”になるってわけか」と茶化される場面も見られた。
上田理子の「お祭りスタート!」という掛け声とともに始まったのは「YOIMIYA」。メンバーは巫女衣装に早着替えし、ステージ背後のスクリーンに寺社の映像が投影される。和装のバックダンサー6人も加わり、場内は一気に和風テイストに様変わりした。ライブはここから怒涛の“九州パート”に突入。最新アルバム「九祭」から、九州各県にまつわる楽曲が7曲連続で披露された。「和・華・蘭」「沸く星」ではステージ上部から垂れ下がった一反木綿のような白い布が妖艶に揺れ動き、「南風音頭」が始まるとゲストダンサーとして鹿児島県鹿屋市のPR特命係長・かのやカンパチロウが登場。ステージセットの上でアクロバティックなパフォーマンスを繰り広げた。色とりどりに輝いていた照明が急にその光度を下げ、クールなビートと和楽器のリフに乗せて披露されたのは、ばってん少女隊の代表曲「OiSa」。シリアスな表情で「ほらね真っ当に生きてしまうから満身創痍だ」と歌う彼女たちに、会場中の視線が釘付けになった。
幕間映像でメンバーが「九祭」の収録楽曲について解説したのち、ライブは後半戦へ。メンバーカラーが差し色になった黒いドレスに身を包んだ6人は「ばりかたプライド」「FREEな波に乗って」など、近年リリースされたシングル曲を続けざまに披露。2020年10月発表のアルバム「ふぁん」以降の楽曲のみで構成されるセットリストが、常に変化を続けるばってん少女隊の強さを感じさせた。
会場にメンバーカラー6色のスポットライトが輝く中、観客はアンコールの拍手を送り続ける。場内の照明が再び明るくなると、法被を羽織ったメンバーが客席通路にいるというサプライズ。6人は目の前にいるファンたちに手を振りながら会場を走り回りステージへ。ハイハットの4カウントを合図に始まったのは「ありがとーと」。バックスクリーンにはメンバーのオフショット写真や直筆メッセージが映し出され、苦難をともにしてきたファンに向けて「ありがとう」という言葉が歌われた。
最後のMCでは、メンバー1人ひとりが声を震わせながら改めて感謝の言葉を述べた。客席は各メンバーカラーのサイリウムの光で輝き、目に涙を浮かべながら話す6人を会場中が温かく見守る。「ヤフオク(現:福岡PayPayドーム)に立ったときしか泣かない」と話していた瀬田さくらも「1人ひとりのお顔を見ると、あのときこのライブで会ったなあとか、こんなこと一緒にお話したなあとか、すごく幸せな思い出ばっかりで」と語ったところで涙を堪えきれなくなり、「こんなにたくさんの方と会えるまでアイドルを続けることができて、本当に幸せだなあと思います」と観客に伝えた。上田はこの日が22歳の誕生日であることに触れて、会場から送られたお祝いの拍手に「あ、すみません、ありがとうございます(笑)」と少し照れながら「22歳って大学卒業の歳で、普通なら進路を考えなきゃいけないというのもあると思うんですけど、こんな夢でしかない職業を続けさせてもらえて、夢を見てたいなと思わせてくれるメンバーとかスタッフさんとか、そしてもちろん隊員の皆さんと、今日ここに立てていることがすごくうれしいです」と話した。
挨拶を終えたばってん少女隊はラストナンバーとして、本公演のタイトルにもなっている「御祭sawagi」をパフォーマンス。サビ前で連呼される「ばってん」という言葉が、福岡から遠く離れた中野サンプラザホールの会場に響き渡る。「悶々なんて吹き飛ばせ!」というフレーズが繰り返されるたびにフロアの熱気が上昇し、四つ打ちのバスドラムの音に合わせてメンバーも観客も踊り騒いだ。
ばってん少女隊は、2023年4月から5月にかけて台湾公演を含むライブツアー「ばってん少女隊2023 SPRING『想定の遥かナナメ上』ツアー」を行い、7月8日には福岡・キャナルシティ博多で「ばってん少女隊8周年記念ライブ」を開催する。2023年春頃には、韓国発のファッションブランド・AKIII CLASSICとばってん少女隊のコラボアイテムの発売も決定している。
ばってん少女隊「御祭sawagi~踊れ心騒げ~」11月26日 中野サンプラザホール セットリスト
01. 虹ノ湊
02. スウィンギタイ
03. ジャン!ジャン!ジャン!
04. YOIMIYA
05. 御祭sawagi
06. 和・華・蘭
07. 沸く星
08. 南風音頭
09. さがしもの
10. Bright & Breezy
11. OiSa
12. 禊 the MUSIC
13. ばりかたプライド
14. でぃすたんす
15. FREEな波に乗って
16. わたし、恋始めたってよ!
<アンコール>
17. OiSa PARKGOLF REMIX
18. ありがとーと
19. 御祭sawagi
ばってん少女隊2023 SPRING「想定の遥かナナメ上」ツアー
2023年4月1日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
2023年4月22日(土)台湾
2023年4月30日(日)大阪府 BIGCAT
2023年5月6日(土)北海道 cube garden
2023年5月13日(土)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
ばってん少女隊8周年記念ライブ
2023年7月8日(土)福岡県 キャナルシティ博多