JYPエンターテインメントの代表プロデューサーを務め、ソロアーティストとしても活動するJ.Y. Park(パク・ジニョン)の来日公演「J.Y. Park CONCERT 'GROOVE BACK' IN JAPAN」が1月28、29日に神奈川・ぴあアリーナMMにて開催される。これに向けて、マスコミ向けの囲み取材がリモートで行われた。
取材が開始するやいなや、「あけましておめでとうございます! お会いできてうれしいです」と記者に対してにこやかに挨拶し、報道陣の緊張を和らげるJ.Y. Park。彼はその後も、記者が質問前に名前を名乗るたびに「お会いできてうれしいです」と声をかけていた。
「J.Y. Park CONCERT 'GROOVE BACK' IN JAPAN」は、J.Y. Parkにとって2016年1月以来、約7年ぶりの日本単独公演。7年前の東京・NHKホール公演の思い出を尋ねられると、「日本のファンの皆さんは、リアクションに照れがあるのではないかと思っていたのですが、最後の曲に向かっているとき、皆さんが情熱的なリアクションをくれたんです。そのときに、会場とひとつになれたなと思えたことが、とても記憶に残っています」と説明した。
昨年11月にリリースしたシングル「Groove Missing」のリード曲のタイトルでもあり、今回のライブのキーワードでもある「Groove Back」というワードについて問われると、J.Y. Parkは80年代カルチャーへの愛を語る。「最近の大衆音楽には、当時の音楽が持ち合わせていたグルーヴ感が欠けているなと感じることがあります。80年代の音楽を愛するJ.Y. Parkとしても、そうしたグルーヴが戻ってきてほしいな、という気持ちがありました」と、タイトルに込めた思いを熱弁。実際にこのコンサートでは、グルーヴ感を追求し、全編バンドによる生演奏でバックを固めることが明かされている。これについてJ.Y. Parkは「即興でテンポを変えたり、サビを繰り返したり……そのときのグルーヴに合わせてライブができるように、今回のライブでは録音した音楽を一切使いません」ときっぱり断言。「バンドの方は大変そうですね!」という記者からの相槌に対して同意しつつ、「(練習が)終わるといつも、おいしいお肉をご馳走しています!(笑)」と続けた。
ライブで披露する楽曲について、J.Y. Parkは「今回の日本公演のために9曲を変更しました」と、韓国で開催されたライブからセットリストが変更されていることを明かす。この9曲の中にはJ-POPのカバーパフォーマンスも含まれているとのことで、「韓国のコンサートをそのまま日本で行うというよりかは、日本のファンの皆さんに向けてパフォーマンスをするにあたり、新たに楽曲を追加しました。練習も一からやり直して、日本の皆さんのために真心を込めて用意しています」とにっこり。日本語の楽曲を披露することについて、「今回のライブで日本語の曲を歌うのは、決して日本での公演だから、というわけではありません。私がミュージシャンとして大きな影響を受けているから、本当にその歌が好きだから歌うんです」とJ-POPへの愛を表明した。
今回のJ.Y. Parkの来日ライブに、NiziUの出演が発表されたことも記憶に新しい。12月に約18万人を動員したドームツアーを完走した彼女たちについて、記者から「NiziUの反響は予想していたのか?」という質問を投げかけられると、J.Y. Parkは「予想を超える反響の大きさでした」と明かす。その理由について、日本国外のプロデューサーが手がけるアーティストの反響が予想できなかったこと、そして「日本でスターになるための一般的な足取りを考えると、こんなにも短期間で(スターに)なれるものではないと感じていたので……」と説明した。また彼のライブにアーティストして参加するNiziUに「今回のライブで感じ取ってほしいこと」を問われた際には、「自分が手がけてきたアーティストたちとともにステージに立ってきたときと同じ感情を感じています。一番大きな感情は『誇らしい』『よくやった!』です。私自身、彼女たちのサポートはしましたが、(このライブが)『これからは同僚なんだよ』という気持ちを彼女たちが認識できる1つの機会になってほしいです。新人とプロデューサーという立場ですけど、同僚として1つのステージに立ち、皆さんに大きな感動を届けたいです。私に限らず、どんな分野であったとしても先生が弟子と何か1つのことをやるとなったら、同じ感慨を持つと思います」と話した。
2020年に放送された「Nizi Project」で日本での知名度を高めたJ.Y. Parkは、「Nizi Projectをやる前とあとの大きな違いは、街中を歩いているときに日本のファンに気付かれるようになったこと。空港でも、パスポートを差し出すと、入管スタッフの方にびっくりされるようになりました」とコメント。 「一緒に写真を撮ってください、と言われることが多いです。(写真は)お酒を飲んで顔が赤くなっているとき以外はOKです(笑)」と茶目っ気を見せつつ、「ありがたいなと感じるのは、街中で声をかけられたときに『Nizi Project』を見て感動しました』と言われたこと。単純に面白かった、というだけでなく『感動』と言ってくださったのが……」と感慨深げに語った。また昨今の日本の“K-POP熱”の高まりも身をもって感じていると話し、「経営もしているので数字の面で感じることもありますし、頻繁に日本に来ているので肌で感じることも多々あります。とにかく、以前とはまったく違うなと。NiziUのドーム公演を見に行ったのですが、そこでもすごくその熱を感じました。彼女たちはアーティストとして最短でドームに立ちました。これは非常に驚くべきことだと思います。信じられません」と再びNiziUに言及し、彼女たちを称えた。
「Nizi Project」ではJ.Y. Parkの流暢な日本語が注目を浴びたが、「Nizi Project」以前は日本語に明るくなく、7年前のコンサートには文章を丸暗記して臨んだという。彼は当時のことを「『Nizi Project』に際しては周りの人から心配されましたし、ソニーミュージックの皆さんも心配していました(笑)。拙い日本語で進行することによって、感情の伝達がうまくいかないのではないか、という心配があったんです」と懐かしむ。しかし「Nizi Project」の実施まで1年という時間が用意されていたそうで、「その期間中に日本語を勉強してみてできなかったらやめようと思っていた」と、「Nizi Project」のために日本語を勉強したことを明かした。日本語の勉強法については、「読み書きを一旦あきらめて、オーディションで自分が使いそうな言葉だけをまずは覚えました」と説明。「番組の収録の中で、自分が使うであろう文章、用例を120個用意し、それらをハングルで書き取りしながら音声を覚え、すべて暗記しました。そうして覚えた文章中の単語を組み合わせて日本語を話すことを1年間続けていたら、日本語が上達しました」と続けて述べ、報道陣を驚かせた。
取材の終盤には、彼のソロアーティストとしての活動が30周年を迎えることについて話題が及んだ。J.Y. Parkは「いつも思うのが、知人として個人的な関係があったとしても、誰かを応援することは決して容易いことではありません。人間は利己的な生き物ですから。自分以外の誰かに心を寄せて応援することは簡単なことではないと思います。ファンの皆さんは、心の奥底から、心を込めて誰かを応援する。その存在は驚くべきものです。そのため、僕はずっと『ファンの方々よりもさらに勤勉であるべきだ』という考えを常に胸に刻んできました。その証として、60歳までステージをお見せすることを約束してきましたし、そんな自分の姿を見て元気になってほしい、パワーをもらってほしいという思いがずっとありました」とファンへの熱い思いを吐露し、「60歳まであと9年。以前は漠然とした遠い将来のようなものだと思ってここまで歩いてきましたが、今はむしろカウントダウンです(笑)。それらを今に至るまで守り続けることができて本当によかったなと思います」とこれまでのアーティスト活動を振り返る。そして「歌手を志すことは、さまざまな混乱があると思います。人気がなくても、逆にありすぎても、アーティスト自身の中には何かしらの混乱が生まれます。もちろん、そういったときに言葉が役に立つこともあるかもしれません。ですが私は、私自身の生き方や生き様を見てもらうことによって1つの道を示したいという思いもあります。だからこそ、健康であること、規則的であること、正しい生活態度を持つことの大切さを自ら体現し続けたいです」と続けた。
最後に投げかけられた質問は、「夢を叶える秘訣を教えてください」というもの。プロデューサーという立場でさまざまなアーティストの夢の実現に関わってきたJ.Y. Parkは「私はデビューしてから今まで一生懸命努力し続けましたが、決して常に最高のポジションにいたわけではありません」と前置きしつつ、日本語で「世の中は不公平です。でも、長い目で見たら、少しずつ、公平になっていきます。ですので、長い目で見ることが重要です」と笑顔でメッセージを送り、取材を締めくくった。
J.Y. Park CONCERT 'GROOVE BACK' IN JAPAN
2023年1月28日(土)神奈川県 ぴあアリーナMM
2023年1月29日(日)神奈川県 ぴあアリーナMM
<出演者>
J.Y. Park / NiziU(スペシャルゲスト)