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みのミュージックの素直にライブ評 Vol.1 ExWHYZはガールズグループシーンに一石を投じる存在になり得るか?

ExWHYZ、みの。
1年以上前2023年01月25日 9:03

自身の敬愛する音楽カルチャーの紹介を軸にしたYouTubeチャンネル「みのミュージック」での動画配信と並行して、ロックバンド・ミノタウロスでも活動するクリエイター、みのがさまざまなアーティストのライブの現場を訪問する企画「みのミュージックの素直にライブ評」がスタート。この企画では、洋楽邦楽を問わず幅広い音楽ジャンルに精通した音楽マニアであるみのが、直接現場に足を運び、感じたことを素直にレポートする。

記念すべき初回に観覧したのは、昨年EMPiREのメンバーによって結成されたWACK所属のガールズグループ・ExWHYZが1月12日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で行った全国ツアーファイナル「ExWHYZ FIRST TOUR xYZ」。約半年間にわたって活動休止していたメンバー・midorikoのサプライズ復帰により、6人全員がそろったExWHYZの節目とも言えるライブに、みのは何を感じたのか。

取材・文・撮影(ヘッダー) / 田中和宏(音楽ナタリー編集部) ライブ写真 / sotobayashi kenta

ExWHYZのライブは抜群に音がいい

ExWHYZを観るのは初めてじゃないんですよ。昨年11月の幕張イベントホール(BiSH以外のWACK所属全グループが出演した「Even without BiSH, this is WACK」)を実は観に行ってたんです。ExWHYZのライブはまず、抜群に音がいいですよね。めちゃめちゃ会場映えするミックスをしっかりしているなって。これまでもアイドルのライブはいろいろ観てきたんですけど、もうダントツでいい音だったと断言できます。フロア映えするクラブライクなミックスをする方向性のアイドルの方ってほかにもいると思いますけど、その方向に振ると情緒的な面が欠けてしまいがちだったり、少し観客との距離を感じちゃうケースが多いと思うんです。でもExWHYZのライブはちゃんと距離感の近さも保ちつつの内容でした。

サウンドがカッコよくておしゃれなのに、親近感もあるみたいな二面性を持ち合わせているグループはあまり観たことがなかったので新鮮でした。お客さんの乗り方も、いっぱいジャンプをするとか、いわゆるオタクカルチャー的な乗り方をしている人もいれば、いかにも音重視のクラブ行ってますみたいなノリの人もいて、それが共存しているフロアで。そんな空間でちゃんとどちらにも響くパフォーマンスができる彼女たちの演者としてのパワーを感じました。

あと今日のライブはなんと言ってもmidorikoさんの復帰が最初に大きなトピックとしてあって。ファンの皆さんは本当にうれしかったでしょうね。ExWHYZとしての本格的なスタートをこのツアーファイナルで切ったわけで、メモリアルな日ですし、さらには日本武道館ライブの発表もあり。アユニ・D(BiSH)さんのPEDROが1回武道館ワンマンをやっているとは言え、WACKのグループとしては初めてなんですよね。ExWHYZとしてついにメンバー全員そろって、地盤が固まり、EMPiRE時代とは一新されたレパートリーが馴染んできて。BiSHが6月に東京ドームで解散するという中で、「じゃあ誰がWACKを次に引っ張っていくんだ」っていうのは、きっとファンだけじゃなくてメンバーも意識していると思うんです。活動歴が長いギャンパレ(GANG PARADE)なのか、ExWHYZなのか、BiSなのか。ExWHYZもきっとすごく期待されているでしょうし、事務所を引っ張っていける中心的な存在として、どう活躍してくれるのかはWACKのグループが好きな人たちがすごく注目してると思います。EMPiRE時代のライブも観たことがあるんですが、ExWHYZとしてのこの日のライブを観て、頭ひとつ抜けた印象があります。そもそもなんで改名したのかも気になるところではありますが、きっとEMPiREのままではいられない理由があったはずですよね。もっと上の世界に上り詰めていくにあたって必要な変化だったというか。で、ファンとしても「ExWHYZにこれからもついていきたい」と思うような、圧倒的な何かを打ち出せた感じはしました。

アイドル、ガールズグループシーンに一石を投じてくれる存在

アルバム「xYZ」の話になりますけど、本当にいい曲が多いですよね。大沢伸一(MONDO GROSSO)さんが手がけた「Wanna Dance」、80KIDZさんが担当された「Obsession」はライブでもカッコよかった。だから今日のライブは、音楽オタクの目線ですごく楽しみにしていたんです。ほかの楽曲もそうでしたけど、際立って会場映えしてましたね。音のエコーの深さだったり、パン振りとかまでしっかりわかって、「ああ、そういうミックスなんだな」と。僕はこれまでアイドルのライブでこの体験はしたことがなかったです。もう少し細かく言うと、キックとかスネアの処理がめちゃくちゃ丁寧なんですよね。トラックに余白があって、昨今のアイドルでこういうミックスは実に珍しいです。音が塊になってドカンと鳴ってることがアイドル現場だとわりと多い中、音が団子になってないからこそわかる音像、残響感が心地よかったですね。音量はかなり大きく感じましたが(笑)。

EMPiRE時代もよかったとはいえ、当時よりも音のよさが際立ってました。今日はオープニングアクトとして“元EMPiRE”が出演して、EMPiRE時代の曲を4曲やっていて。EMPiREのライブにはExWHYZ以上にアイドルイズムを感じました。EMPiREは松隈ケンタさんのロックイズムにエレクトロニックな要素を加えたサウンドのグループだったと思いますが、それはアイドルソングのフォーマットを念頭に置いていたからかもしれませんね。ExWHYZはメンバーこそ同じですが、サウンド面で一新しているのはアルバムの参加クリエイターを見れば明らかですよね。MONDO GROSSOを迎えるあたり、個人的には“ガチ感”が強くてたまらないです。

正直に言うと僕はEMPiRE、ExWHYZのストーリーをファンの方ほど追えていないので、サウンド面中心のお話にはなってしまううえに、辛口な物言いになってしまって恐縮ですが、もし1つだけ今後のライブで期待したいことがあるとしたら、ボーカルのミックスだと思いました。トラックのクオリティがめちゃくちゃ高いので、逆に言えば、そこさえクリアすればさらにすごい高みに到達するんじゃないかと。正確なピッチ、テンポをグリッドで合わせているトラックに有機的な要素としてボーカルが1個だけ生であったら、あれだけ踊っていますし、浮いて聞こえるところがあるのもわかるんです。でももしトラックとボーカルがよりハマったらもっとヤバいだろうなって。あとMCの雰囲気が独特でしたね(笑)。僕みたいなライトな人間にとっては「あ、ここの話はもう付いていけないぞ」という瞬間も正直なところ少しありましたけど、ファンの方からしたらクールなパフォーマンスとのギャップに親近感が湧くでしょうし、愛おしいんだろうな。きっと僕みたいな外野が言わなくても課題意識を持って、チームで取り組んでることがたくさんあるでしょうから、これからもどんどんブラッシュアップして、成長していくんでしょうね。アイドル、ガールズグループ界に一石を投じているであろうExWHYZのこれからの展開も楽しみになりました。

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