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三月のパンタシアが“海”の明暗を表現、新しいブルーポップの世界へ

みあ(Vo)(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])
約1年前2023年03月19日 13:07

三月のパンタシアが本日3月19日に東京・豊洲PITでワンマンライブ「三月のパンタシア LIVE 2023 / 君の海、有機体としての青」を開催した。

今回のライブのテーマは“海”。三月のパンタシアは浅瀬の明るさと深海の暗さ、そのどちらの側面も併せ持つ海の姿を音楽と紗幕に映し出される映像で表現した。

ライブは、みあ(Vo)によるポエトリーリーディングとともに進行。「ずっと誰かに出会いたかった。1人ぼっちは寂しくて ジメジメと湿った場所で 心は腐り落ちていきそうだった」「出会いたい。でも、その誰かがずっとわからなかった」という孤独な思い、そして「私はようやく出会えた。誰かは、君だった」「嫌いになりかけていた自分をもう一度好きになることができた」という言葉を経て、三月のパンタシアは「三月がずっと続けばいい」で軽やかにライブを開始する。みあは、堀江晶太(G / PENGUIN RESEARCH)、YUTAKA(G)、Kei Nakamura(B)、ゆーまお(Dr / ヒトリエ)、金井央希(Key)が奏でるみずみずしいアンサンブルに乗せて透明感のある歌声を響かせ、「始めよう!」と笑顔でライブの開幕を告げた。

ミュージックビデオをバックにデビュー曲「はじまりの速度」を歌い上げたあと、みあは「今日はさまざまな明るさや暗さを持つ、三月のパンタシアの青い世界に一緒にもぐって旅をしていきたいと思うんですけど、付いて来れますか?」とオーディエンスの期待を煽り、「ユアソング」「街路、ライトの灯りだけ」を楽しげに歌い上げて会場を盛り上げる。「幸福なわがまま」ではオーディエンスが一斉に左右に手を振り、ダンスナンバー「アイビーダンス」ではキャッチーな振付がフロアに広がった。

「君の海を泳いだ。景色は美しい青色だった」「君と一緒にこの美しい青さの中を漂っていたかった」というポエトリーリーディングを経て、みあがメロディアスなギターの音色に合わせてそっと歌い始めたのは「夜光」。一節を歌い終えたところでバンド演奏が加わり、グルーヴ感のあるストレートなバンドサウンドをバックにエネルギッシュな歌声が響き渡る。「青に水底」ではみあが淡い歌声でノスタルジックなメロディを紡ぎ、「マイワンダー」では胸の内にある感情を爆発させるように言葉を放った。

一体感のあるハンドクラップが自然と沸き起こった代表曲の1つ「青春なんていらないわ」を経て、みあは疾走感のあるサウンドに乗せてキラーチューン「101」を勢いよく歌唱。そして幻想的な夜空のような深い青と光の粒に彩られたステージで「星の涙」をたおやかに届けたあと、紗幕に手紙のようにつづられていくリリックをバックに「あのときの歌」を優しく歌い上げた。

続いて、みあがポエトリーで紡いだのは「青色の海には深度があった。水面に近いほど光が届きやすく、海底に沈むほど暗闇が広がる」「暗闇は痛みも伴うから、触れるのに勇気が必要だ」「でも、だんだん深くもぐった場所にこそ、知られざる秘密が隠れているような気がしてきた」という言葉。ここから三月のパンタシアは、鬱屈とした感情があふれるダークなナンバーを深海にもぐっていくように次々と披露していく。みあは「不揃いな脈拍」で救いのない虚ろな恋心を気だるげに歌唱したあと、胸の内に秘めた嫉妬心を激しいサウンドで表現したナンバー「パインドロップ」を投下した。その後も胸の内の葛藤を描いた「四角運命」や、依存心をテーマにした「ビタースイート」とシリアスな楽曲が続く。そしてみあは「君の幸せ喜べない、ごめんね」で心の深淵にある歪な感情を切なく歌い上げた。

ここで紗幕がゆっくりと左右に開き、「この海は広く、青はどこまでも深い。私たちの音楽みたいだ」「海は流れ続ける。濁ったり浄化されたりしながら流れ続ける。海が有機的な存在であるように、音楽も確かに生きている」というポエトリーが紡がれる。「私たちの音楽はこれからどこへ向かっていくのか、それは今私だけが知っている。美しい青だけじゃない、明と暗、光と影、新しい景色、新しい青を描く物語。たどり着きたい場所は変わらない。ともにたどり着きたいと願う気持ちも変わらない」という言葉を経て、みあは紗幕が取り除かれたステージに立ち、オーディエンスの顔を直接見て「また出会えたね!」と晴れやかに告げた。みあが大きな旗を掲げて歌い始めたのは、三月のパンタシアのファンの物語が詰まったナンバー「ランデヴー」。みあとオーディエンスはコール&レスポンスとシンガロングで深く心をつなぎ合い、温かな時間をじっくりと共有した。

本公演には、これまで三月のパンタシアに数多くの楽曲を提供してきた堀江がバンドマスターとして参加。堀江は昨年11月に行われたライブイベント「SACRA MUSIC FES. 2022 -5th Anniversary-」でみあからオファーを受けたという経緯を明かし、「ずっと曲を書かせてもらってるんですけど、やっと会えたなという感じです!」と観客に挨拶した。みあはコロナ禍の3年間を振り返り、「あの時期、夜の真っ暗な部屋の光景を見て、海の底に沈んでいくみたいだなと感じていた。そのとき、『自分は今沈んでるから浮かび上がらなきゃ』と思うんじゃなくて、『暗くて息苦しい深海みたいな場所に沈んじゃってもいいんだ』と少し考え方を変えて。がんばって光に届こうとするよりも、沈むならとことん沈んでもいいんだって、自分のネガティブな感情を認めることで、少しだけ気持ちが楽になれた感覚があって。そんなことを振り返ったりしながら今回のライブのテーマを海にしました」と話す。そして「これまで三月のパンタシアが描いてきたブルーポップの世界は、明るくてみずみずしくて甘やかな憂鬱を描いた情景が多かった。そういう明るさがあるからこそ届く感情も確かにある。でも、気分によっては暗くて息苦しい場所に深く沈みきってしまいたいときもあるんじゃないかなと思ったんですよね。三月のパンタシアはこれまでのブルーポップも背負いつつ、これからは明るいだけじゃない、仄暗さもはらむような新しいブルーポップの世界を描いてみたいと考えたりもしていて。そういった新しい音楽が、みんながとことん沈んでしまいたいと思ってるときにそばにあるものであったらいいなと思っています」と今後の音楽について言及した。

その後、みあは「そういうふうにこれから進化していくという気持ちを言葉だけで伝えるのは面白くないかなと思って、新曲を作ってきました」と宣言。「3月という出会いと別れが交錯する季節に何を伝えたいのか、誰に伝えたいのかを考えながら歌詞を書いてきました」と述べ、最後に新曲「March」を披露した。マーチングのリズムで楽曲はスタート。躍動感のあるアンサンブルに乗せて、みあは自身の思いが詰まったこの曲をオーディエンスへと届け、次なる未来を見据えてライブを締めくくった。

三月のパンタシア「三月のパンタシア LIVE 2023 / 君の海、有機体としての青」2023年3月19日 豊洲PIT セットリスト

01. 三月がずっと続けばいい
02. はじまりの速度
03. ユアソング
04. 街路、ライトの灯りだけ
05. 幸福なわがまま
06. アイビーダンス
07. 夜光
08. 青に水底
09. マイワンダー
10. 青春なんていらないわ
11. 101
12. 星の涙
13. あのときの歌
14. 不揃いな脈拍
15. パインドロップ
16. 四角運命
17. ビタースイート
18. 君の幸せ喜べない、ごめんね
19. ランデヴー
20. March

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