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最後までメンバーを思い続けた齋藤飛鳥、乃木坂46の未来を後輩とファンに託し旅立つ

「乃木坂46 齋藤飛鳥 卒業コンサート」DAY2の様子。(提供:ソニー・ミュージックレーベルズ)
11か月前2023年05月18日 15:04

乃木坂46の1期生・齋藤飛鳥の卒業コンサートが5月17、18日に東京・東京ドームで開催された。

齋藤は2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格し、当時のグループ内最年少メンバーとして活動を開始。初期の頃は選抜の常連メンバーではなかったが、2016年発表のシングル「裸足でSummer」で初めて表題曲のセンターに。これをきっかけに人気が加速し、これまで計24作品で選抜入りするなど乃木坂46を牽引するエースへと成長するとともに、女優やモデルなど幅広い分野で活躍してきた。グループでの活動自体は昨年12月末をもって終了していた彼女だが、今回のコンサートをもって正式に卒業。2日間合わせたチケットの応募数は約69万、動員数は約10万人におよび、大勢のファンが“アイドル齋藤飛鳥”のラストステージを目に焼き付けた。この記事では昨日18日公演の模様をレポートする。

今回の場内アナウンスを担当したのは、ファンによく知られている乃木坂46の菊池マネージャー。彼の音頭により、メンバーが円陣を組む際に口にしている「努力、感謝、笑顔、うちらは乃木坂上り坂46!」という掛け声が客席で発生し、開演前から会場に熱い一体感が生まれた。いよいよ開演時刻になると、齋藤の今日までの歩みを振り返るオープニングムービーとともに「OVERTURE」が響き渡り、彼女のペンライトカラーである白と水色の光で客席が鮮やかに染まる。そして巨大な白い羽根を模したステージセットの中央に、真紅の衣装に身を包んだ齋藤が1人で登場。大きな拍手に包まれながら花道をゆっくりと歩き出した彼女は、センターステージに設置されたドラムセットのもとへと移動し、スティックを手に持って特技であるドラム演奏を披露し始めた。そのパワフルなビートに合わせてクラップが沸き起こる中、ドラムセットごとスライドするように花道を後ろ向きに移動し、齋藤はメインステージへ戻っていく。そこにほかのメンバーも合流し、火花が勢いよく上がったのを合図に、彼女がセンターを務める21stシングル曲「ジコチューで行こう!」のパフォーマンスがスタートした。齋藤は引き続きドラムを叩き、メンバーの後ろで歌唱。そこにバックバンドがストリングスを含むほかの楽器の音色も加え、さらに観客の息の合ったコールが重なった。

これを皮切りに、乃木坂46はバンドが生み出す迫力のサウンドを味方にヒット曲を次々に繰り出していく。ステージ上に火花が噴き上がる中、齋藤はドラムセットから立ち上がってメンバーと一緒に踊り、山下美月とダブルセンターを務めた「インフルエンサー」では華麗なソロダンスを披露。「シンクロニシティ」では単独でセンターポジションに立ち、会場により一層の高揚感をもらたした。このほか、コンサート序盤のセットリストにはライブの鉄板曲である「ハウス!」「ダンケシェーン」も。齋藤を筆頭に数人が鳥をモチーフにしたゴンドラに乗り、ステージを縦横無尽に動き回るほかのメンバーとともに東京ドーム全体に笑顔を届けていく。曲の最後には山下の「やっぱ、あしゅりんだなー!」という声に続いて、観客が一斉に「だなー!」と叫んだ。

怒涛の勢いで展開された序盤のブロックが終わると、齋藤は客席を見渡しながら「今日は特に熱気がすごいですね」とコメント。後輩メンバーが言葉にする自身への思いを優しい表情で受け止めた。このコンサートのセットリストは齋藤自らセレクトし、スタッフと協議したうえで最終決定したとのことで、パフォーマンスの合間に彼女が選曲に込めた思いを解説する幕間映像が上映される。齋藤は映像を通じて「みんなと絡みたい、目が合いたいという気持ちがあるし、みんなが誰1人漏れることなく、かわいくきれいにモニタに映ってほしい」と語ると、後輩メンバーに交ざっての特別な編成で3~5期生の“期別”の楽曲を披露。まずは5期生と「絶望の一秒前」を歌い、4期生の楽曲「I see…」では賀喜遥香が「今度は私たちが立派ないい先輩になって、大好きな飛鳥さんから受け継いだものを未来の乃木坂につなげていけるようにみんなでがんばります。だからずっと見守っていてください。飛鳥さん、大大大大好きです!」と目に涙を浮かべながら愛を伝えるひと幕も。3期生曲「トキトキメキメキ」の途中には、岩本蓮加が「これからの乃木坂46の未来は私たちに任せてください」と頼もしい言葉を口にし、「飛鳥さんにトキトキメキメキ!」と3期生全員で笑顔を弾けさせた。

齋藤が「アンダーってすげーぞっていうのを伝えられたらなって」と語る映像を経て始まった次のブロックは、現在のアンダーメンバーを携えてのスペシャルなステージに。高くせり上がったセンターステージの上で、齋藤が初めてセンターに抜擢されたアンダー曲「扇風機」が披露され、アンダーメンバーにもしっかり光を当てるグループ愛と後輩思いな一面が垣間見えた。映像内の「本当はこのあたりで落ち着いていきたいところだったんですけど……」という齋藤の言葉のあとには、彼女の冷静なキャラクターとのギャップが感じられるキュートなユニット曲が続く。齋藤、梅澤、山下がメインキャストを務めた映画「映像研には手を出すな!」の主題歌「ファンタスティック3色パン」の曲中には、“3色パンルーレット”と題したコーナーが突如スタート。梅澤と山下にはめられる格好で、齋藤が「あしゅしゅ あしゅしゅ あっしゅしゅっしゅ~」という“胸キュン”ゼリフを放つと、客席から大きな歓声が上がった。

さらに齋藤は岩本、筒井あやめという3期と4期の最年少メンバーと「なぞの落書き」を、遠藤さくらと「他の星から」を歌唱。「他の星から」のラストに姉妹のように抱き合う2人の姿に、観客は目を奪われた。「制服を脱いでサヨナラを…」では中村麗乃が思わず感極まった表情を見せたかと思えば、齋藤に愛を伝えた伊藤理々杏がステージ上で仲間はずれにされて“ツンデレ”の対応を受けるというコミカルな場面も展開される。「ロマンティックいか焼き」「ガールズルール」では齋藤が「真夏の全国ツアー2022」のアンコールで登場したキャラクター・トリンギョの被り物を着用し、トリンギョ型の気球に乗って場内を旋回。ファン1人ひとりと目を合わせるように、2階スタンド席後方まで会場の隅々に手を振った。

ここからライブはいよいよ後半戦へ。齋藤の熱望を受けて小室哲哉による楽曲提供が実現し、彼女がセンターも務めた「Route 246」、疾走感あふれるサウンドと切ないムードが印象的な「ありがちな恋愛」と続き、気迫のこもったパフォーマンスが繰り広げられるのに伴い、場内のボルテージも右肩上がりに高まっていく。華やかな赤い衣装を身にまとった齋藤は、続いてアコースティックの生演奏に合わせて「地球が丸いなら」を1人でしっとりと歌い上げた。

その後、齋藤は「まだまだ乃木坂には伸び盛りのメンバーがたくさんいます」と話し始め、自分が去ったあともグループを応援するようにファンに呼びかけたほか、後ろに並んだ後輩メンバーのほうを振り向き、目に涙を浮かべながら「乃木坂をよろしくね」とひと言。彼女の卒業により在籍メンバーは3~5期生のみとなるが、乃木坂46の未来をしっかりと次世代に託した。そんなエモーショナルな空気の中、次に披露されたのは今年3月発表の最新シングルの表題曲「人は夢を二度見る」。昨年いっぱいでグループでの活動を終えた齋藤はこのシングルに参加していないため、楽曲のタイトルがコールされると、その予想外の選曲に客席からどよめきが起こる。メンバー全員が齋藤と同じ赤の衣装に着替えた乃木坂46は、「人は夢を二度見る」でダブルセンターを務める久保史緒里、山下に齋藤を加えたトリプルセンター編成でパフォーマンスを展開した。観客はこの最初で最後の光景を一瞬たりとも見逃さないよう、しっかりと見届ける。別れを描いたナンバー「帰り道は遠回りしたくなる」「サヨナラの意味」では、齋藤との思い出の写真をバックに踊るメンバーの姿が観る者の涙を誘った。

続くラストスパートで畳みかけられたのは、齋藤のセンター曲の数々。「裸足でSummer」ではファンが歌に合わせて一斉に掲げる無数のタオル、アリーナに降り注ぐきらびやかな紙吹雪が客席を彩る。「Sing Out!」では観客がひとつになってクラップを鳴らし、センターステージに立つ齋藤に向けてシンガロングを繰り広げた。“乃木坂公式お兄ちゃん”であるバナナマンが「卒業おめでとう!」とはなむけの言葉を贈るサプライズ映像を挟み、昨年12月に発表された齋藤最後のセンター曲「ここにはないもの」も本編最後に披露された。

齋藤がメンバーに卒業を伝える瞬間、結成間もない頃の映像など、ファンの胸を打つシーンがスクリーンに上映されたのち、ライブはアンコールへ突入。絢爛とした白いドレス姿の齋藤が1人で観客の前に姿を現し、自身の思いを述べていく。彼女は「私はちょっと回りくどい生き方をしてきたなと、過去を振り返ると思います。キャラクターとか迷走したし、メンバーやスタッフさんに頼ったり甘えたりするやり方がわからず。なのに今、こうやって穏やかに、楽しく生きれているのは乃木坂のみんなや、そこに関わる皆さんが周りの人を大事にしているからだと思います」と切り出すと、「恩返しっていう言葉があると思うんですけど、私はもっと好きな言葉がありまして。“恩送り”っていう言葉で、その言葉を知ってからメンバーやスタッフさんに対して、気持ちが整理ができたような気がしていて。恩を返すだけではなくて、どんどん送っていく。そうやって連鎖していくってすごい素敵なことだと思うし、私たちが歌で歌っていることだなって。その言葉を今はすごく大切にして生きています」と続けた。

最初は落ち着いて話していた齋藤だったが、胸の内を表に出していくうちに次第にその目に涙が光る。「私はあまり人と深く関われなかったり、内緒ですけど、学校もあまり行ってなかったので、乃木坂で一緒に過ごした1期生のみんなは同期として、すごく心が通ったなと思えた瞬間があって。今は乃木坂を守ってくれている後輩の子たちがすごく大切です」と乃木坂46への愛をあふれさせた彼女は、「絶対にこれからの乃木坂46のことを守って、見守ってあげてほしいなと思います」と改めてファンに向けて挨拶。そして「誰よりも支えてくれたお母さんのことも思い浮かべながら歌おうと思います」という言葉をきっかけに、ソロ曲「硬い殻のように抱きしめたい」を透き通るような歌声で届けた。

会場がセンチメンタルなムードで包まれるも、齋藤の「全部の感情をここで出し切ってください!」という言葉とともに客席のテンションは再び上昇。ほかのメンバーもステージに合流し、「僕だけの光」「ロマンスのスタート」「おいでシャンプー」の3曲が明るく響き渡った。ラストナンバーの披露前には、後輩メンバーを代表して遠藤と与田祐希が涙ながらにメッセージを伝えていく。遠藤は「飛鳥さんはいろんなことを教えてくれて、背中を見せてくださって、本当にたくさんのものをもらったのに、全部返したいという思いでいっぱいなのに、全然今日の日に間に合わなかったです」と吐露しつつ、「いつか自分を認めてあげられるようになったらまた会いに行きます」と顔を上げ、齋藤としっかり目線を合わせる。与田はこみ上げてくる思いを抑えきれず「だめかもしれない……」と弱音を漏らすも、「飛鳥さん、いつも助けてもらってばかりで、本当にごめんなさい。でも、私は飛鳥さんのことが本当に大好きで、尊敬しています。これからも大好きです」としっかりと言葉を紡ぎ、キャプテンの梅澤も「11年と8カ月、本当にお疲れ様でした。少し休んでください」と語りかけた。

温かな眼差しで、真剣に3人の話に耳を傾け、それぞれとハグを交わした齋藤、その周りを囲みながら頬を涙で濡らすメンバーたち。そんな彼女たちが齋藤のアイドル人生で最後の曲として歌ったのは、この日2回目の披露となる「ジコチューで行こう!」だ。後輩と肩を寄せ合い、最後の最後までメンバーを思いやる心を見せた齋藤はラストにステージに1人残り、「最後にこんな景色を見られて、人生大満足です」と晴れやかな表情を浮かべる。「明日から恋とかするかもしれませんね。この中の誰かの嫁になるかもしれませんね」と笑うと、「じゃあ、さよなら!」と明るく別れを告げ、天使の翼をモチーフにした台に乗ってステージをあとに。会場のファンが掲げる「いってらっしゃい」と書かれた紙を見つめながら、笑顔で乃木坂46から旅立った。

終演後にはこの日のセットリストをもとにしたプレイリストのQRコード、そして齋藤からのメッセージが書かれた1枚の紙が配られ、帰路につくファンに温かな余韻を残した。なお、本公演の模様を生配信した各プラットフォームでは、5月20、21日にリピート配信が行われる。

「乃木坂46 齋藤飛鳥 卒業コンサート」東京ドーム セットリスト

2023年5月17日

00. OVERTURE
01. ここにはないもの
02. ありがちな恋愛
03. 制服のマネキン
04. ハウス!
05. ダンケシェーン
06. 私、起きる。
07. のような存在
08. 僕のこと、知ってる?
09. 扇風機
10. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
11. Hard to say
12. Another Ghost
13. Threefold choice
14. サヨナラ Stay with me
15. 路面電車の街
16. 他の星から
17. 空扉
18. 全部 夢のまま
19. Wilderness world
20. インフルエンサー
21. 深読み
22. いつかできるから今日できる
23. あらかじめ語られるロマンス
24. ジコチューで行こう!
25. 君に叱られた
26. 裸足でSummer
27. Sing Out!
<アンコール>
28. キャラバンは眠らない
29. 他人のそら似
30. これから
31. 乃木坂の詩

2023年5月18日

00. OVERTURE
01. ジコチューで行こう!
02. インフルエンサー
03. シンクロニシティ
04. ハウス!
05. ダンケシェーン
06. 絶望の一秒前
07. I see…
08. トキトキメキメキ
09. 扇風機
10. Against
11. ファンタスティック3色パン
12. なぞの落書き
13. 他の星から
14. 制服を脱いでサヨナラを…
15. あらかじめ語られるロマンス
16. ロマンティックいか焼き
17. ガールズルール
18. Route 246
19. ありがちな恋愛
20. 地球が丸いなら
21. 人は夢を二度見る
22. 帰り道は遠回りしたくなる
23. サヨナラの意味
24. 裸足でSummer
25. Sing Out!
26. ここにはないもの
<アンコール>
27. 硬い殻のように抱きしめたい
28. 僕だけの光
29. ロマンスのスタート
30. おいでシャンプー
31. ジコチューで行こう!

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