安田レイがデビュー10周年記念日である昨日7月3日に東京・Billboard Live TOKYOにてアニバーサリーライブ「Rei Yasuda 10th Anniversary Special Live "Turn the Page" Supported by JA全農」を開催した。
2013年7月3日に玉井健二(agehasprings)プロデュースによるシングル「Best of my Love」でソロデビューを飾り、以降一度も歩みを止めることなく音楽活動を続けてきた安田。彼女にとって大きな節目となった昨日のBillboard Live TOKYO公演は、これまでのキャリアを凝縮したセットリストをもとに展開された。
観客がお酒や食事を楽しみながら主役である安田を待っていると、場内がゆっくりと暗くなり、ピアノのまろやかな音色が正方形の会場を満たしていく。すると、コッコッコッとスピーカーから足音が流れ出し、安田が客席から登場。ピンクをベースとした艶やかな衣装と夏らしい白いミュールサンダルというファッションに身を包んだ彼女はゆっくりと階段を降りながら、観客の間を縫ってステージへ。バンドメンバーが奏でるグルーヴィなアンサンブルに乗せ、まるでファンへの思いをつづったかのような「守りつづけたい この物語のすべて 君と 築こう 未来も」というフレーズが耳に残る「over and over」を力強く歌い、デビュー10周年の幕開けを噛み締めた。
「10歳だよ、安田レイ!」。「Delight」を歌い終えた後に破顔しながらそう語った安田は、「全身で愛を感じております」と客席をくまなく見渡す。その後、「懐かしい曲を」という紹介から「パスコード4854」「アシンメトリー」、いきものがかり「恋詩」のカバーを続けて披露。いずれの曲も今の安田レイが歌うのにふさわしい大人なアレンジが施されており、本人もレコーディング当時に比べ格段に深みを増したボーカルで各曲をパフォーマンスし、Billboard Live TOKYOというラグジュアリーな会場の艶やかな雰囲気を引き立てていく。10年間の活動の中で多彩なジャンルの楽曲を発表してきた彼女らしく、続いてのブロックでは豊潤な歌唱力を堪能できるバラードを披露。中でも集まっていた観客が息をのんだのは、今やすっかり安田の代表曲となった「Not the End」のパフォーマンスだった。すうっと息を吸う音がスピーカーから流れ、彼女がアカペラでこの曲を歌い始めると、3層からなるBillboard Live TOKYO全体の空気がほのかに張り詰める。感情を爆発させた胸に迫るような歌声に、鼓膜を震わせる切なさをにじませた息遣い……歌手としてのポテンシャルを十二分に感じさせるパフォーマンスが終わると大きな拍手が送られた。
安田は「20代前半にリリースした曲を歌っていて気付くことがいろいろあって。これからも歌っていきたいし、(音楽を通して)みんなとつながっていきたいな」と過去のバラード曲を中心としたブロックを終えてから口にすると、今度は熊木幸丸(Lucky Kilimanjaro)をフィーチャーした「HOME THERAPY」とYaffleプロデュースによる「Circle」というアーバンな雰囲気の中にも彼女の等身大の思いが反映された2曲を伸びやかに歌唱。続けて「ページをめくろう 明日はもっと笑おう」という、アニバーサリーライブのタイトルとリンクするフレーズが登場する「Brand New Day」を弾むような声で響かせた。
高揚したムードの中、安田はデビューから10年間在籍したSME Recordsを離れ、SACRA MUSICに移籍したことを報告。「30歳になって新しいページにめくるということで、SACRA MUSICで新たな思いでやっていくことになりました」と新人のように初々しい表情を浮かべながら、かねてからの夢であったという海外ライブに挑むことや自身のTikTokアカウントの開設をアナウンスし、「前向きな気持ちでいっぱい曲を作っていこうと思います」とソングライターとしての野心もチラリとのぞかせた。そして「最後はこの曲しかない!」と叫ぶと、ジャジーなアプローチを取り入れたデビュー曲「Best of my Love」を、アドリブを交えながらファンに届ける。さらに、アンコールではライブのタイトルにもなっている「Turn the Page」を冠した新曲を観客にプレゼント。等身大の安田レイを感じさせる歌詞を軽やかに歌い上げ、“新たな1ページ”をファンの前でめくってみせた。
安田レイ「Rei Yasuda 10th Anniversary Special Live "Turn the Page" Supported by JA全農」2023年7月3日 Billboard Live TOKYO 1st stageセットリスト
01. over and over
02. Delight
03. パスコード4854
04. アシンメトリー
05. 恋詩
06. Re:I
07. Not the End
08. Mirror
09. あしたいろ
10. HOME THERAPY
11. Circle
12. Brand New Day
13. Best of my Love
<アンコール>
14. Turn the Page