ドレスコーズの新曲「少年セゾン」のミュージックビデオがYouTubeにて公開された。
「少年セゾン」は7月7日にリリースされた配信シングル曲で、9月13日発売のニューアルバム「式日散花」にも収められる。MVは「最低なともだち」に引き続き、映画監督の山戸結希がディレクターを担当。夏のワンシーンを描いた作品となっている。サムネイルに使用されている、志磨遼平が犬を抱き抱えている場面は何を意味するのか、ぜひ本編にて確認を。
山戸結希 コメント
「少年セゾン」Music Videoの映像をめぐって。
太陽も、海も、生も、死も、喪服も、水着も、人間も、犬も──全てが、もはやこの世界に既存のものである。
そう思えば、すでに何もかもがしつらえてある中で、記号遊びするだけのわたしたちかも知れないけれど。
歌ったり、踊ったり、食べたり、笑ったり、思い出したりすることの一回性もまた、一度しか生きることのできない人間の特権です。
神様は、あらゆる可能性を周知しており、どの分岐も、どの地球も、どの世界も記憶していなければならないわけですから、思い出ばかりが無尽蔵にふくらんで、さみしいアカシックレコードをお持ちのことでしょう。
さすらば、あまりにも忘れっぽくてひとつしか選べないぼくらは、どれほど幸運でしょうか。
複製されることによって前借りされ、分岐されゆく生について、
やがて約束通り訪れる死について、その予行演習として分かち難くある離別について──
明るく強い光の夏、短い影が、暗喩のように蔓延って。
このさきどんな回路を辿ったとしても、必ず離ればなれになってしまう我々について、ひとつのサマーチューンが彩ってくださいます。
真夏のドレスコーズさん、さあどうぞ、わたしたちを脅かしてください。
いつの日も彼岸に立つ志磨遼平さん、この夏の影へと、たくさんの人を誘ってください。
とびきりの夏の讃歌に差し出します、一度きりのこの命を。
M.V.の映像が、歌い、踊い、時には引き裂かれるように、
ぜひみなさんも、共に歌ったり、踊ったり、引き裂かれたりなさってくださいね。
人間は迷うために、失敗するために、見失うために生まれてきたのだから。
いざ、ないものねだりの神様へと捧ぐダンスを。
濃い陰を愛す、あなたへと向かって。