ザ50回転ズのライブイベント「Versus!Versus!Versus! 2023」が7月20日に東京・LIQUIDROOMにて開催された。
ザ50回転ズ主催のツーマン企画として2019年から実施されている「Versus!Versus!Versus!」。今回は10年以上前から交流があるという志磨遼平のバンド、ドレスコーズが競演者に迎えられた。
先鋒を務めたドレスコーズは7月7日に配信リリースされたばかりの新曲「少年セゾン」、疾走感あふれるサマーチューン「聖者」と近作からチョイスされた楽曲群でパフォーマンスをスタート。どこか寂しげなシンセの音色を押し出した「Ghost」「エロイーズ」ではノスタルジックなムードを生み出し、表情豊かなサウンドでオーディエンスを楽しませた。
毛皮のマリーズ時代からザ50回転ズと仲よしだったという志磨は、2005年ごろ片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティから「横山やすしがRamonesをやってるみたい」と紹介されて彼らを知ったとのこと。2組でツアーを行ったときには、ザ50回転ズがテレビ番組に出演したことで一気に観客が増えた様子を目撃しており、「当時はすごく悔しかったけど、お互い売れることができたし、こうやって再びバチバチの対決ができて幸せです」としみじみと振り返った。後半では毛皮のマリーズの初期曲「BOYS」を挟み、ラストナンバー「愛に気をつけてね」冒頭で志磨は「3分だけ、ロックンロールの魔法をかけて!」とシャウト。一気に観客たちを惹きつけ、貫禄あふれるステージングを繰り広げた。
Dr. Feelgoodの「Riot in Cell Block Number Nine」をバックに登場したザ50回転ズは、パワフルなファストチューン「50回転ズのテーマ」、ドリー(B, Vo)がブルージーな歌声を響かせた「サンダーボーイ」と、冒頭からハイテンションな演奏でフロアの熱量を速攻で高めた。合間のMCではダニー(G, Vo)が「男前タイムは終了です! こっからはおかっぱおじさんに付き合ってもらうぜ?」とご機嫌なトークを展開。毛皮のマリーズを初めて聴いたときを振り返った際には「こんなくにゃくにゃな声なのに、いざ会ってみたらカッコいい方でね。悔しいー!!」と叫びつつ、何度も志磨のことを「カッコいい……」と口にし、彼に惚れ込んでいる様子を見せた。
前半は激しいナンバーのつるべうちとなったザ50回転ズだが、中盤からはナイーブさも感じられるミドルバラード「サムクックがきこえる」、「たった3分だけ 時計を止めてあげるよ」とアナログ盤の魅力をロマンチックに描いた「Vinyl Change The World」などをエモーショナルにプレイ。そのまま勢いに乗り、本編最後の恒例曲「おさらばブギウギ」終了後もフロア中の拍手は鳴り止まなかった。そしてアンコールに入ると、ダニーはドレスコーズの終盤のパフォーマンスについて触れつつ「ロックンロールの魔法をかけたるぞー!」と絶叫。ボギー(Dr, Vo)の力強いドラミングが冴え渡る「ロックンロール・マジック」でラストスパートを畳みかけ、LIQUIDROOMを“ロックンロールの魔法”で包み込んだ。
なおドレスコーズは9月13日にニューアルバム「式日散花」をリリース。本作には映画「零落」の主題歌「ドレミ」、配信シングル曲「最低なともだち」「少年セゾン」などが収められる。
「ザ50回転ズ Presents "Versus!Versus!Versus! 2023"」2023年7月20日 LIQUIDROOM セットリスト
ドレスコーズ
01. 少年セゾン
02. 聖者
03. Ghost
04. エロイーズ
05. すてきなモリ夫(モリー)
06. ビューティフル
07. BOYS
08. やりすぎた天使
09. 愛に気をつけてね
ザ50回転ズ
01. 50回転ズのテーマ
02. サンダーボーイ
03. レッツゴー3匹!!
04. エイトビートがとまらない
05. KILLER
06. デヴィッド・ボウイをきどって
07. サムクックがきこえる
08. Vinyl Change The World
09. YOUNGERS ON THE ROAD
10. 涙のスターダスト・トレイン
11. おさらばブギウギ
<アンコール>
12. ロックンロール・マジック