人間椅子が9月6日にリリースする23枚目のアルバム「色即是空」の収録内容とジャケットアートワーク、最新アーティスト写真が公開された。
ジャケットイラストを手がけたのは、当時ロックバンド「大島渚」でボーカルを務め、人間椅子とは“イカ天”出演バンドというつながりを持つみうらじゅん。表面には重要文化財の仏像・深沙大将が、裏面には千手観音がデザインされている。題字はメンバーの和嶋慎治(G, Vo)が依頼した書道家の宮田天風によって書き下ろされた。
また新アーティスト写真は東京・日暮里にある湿板写真館にて、世界で2番目に古いとされる170年前の写真技法・湿板撮影法で撮影されたもの。撮影時、被写体は5~10秒間一切動かずにじっとしていなければブレてしまうため、メンバーもじっと耐えて撮影した味わい深い写真に仕上がっている。
アルバムには総尺8分を超える「さらば世界」や、アコースティック調のロックバラード「星空の導き」など全13曲を収録。初回限定盤と通常盤の2形態が用意され、初回限定盤には2022年9月に行われたツアー「人間椅子2022秋のワンマンツアー ~闇に蠢く~」よりファイナルの東京・EX THEATER ROPPONGI公演の模様を7曲分収めたDVDが付属する。
和嶋慎治 コメント(アルバムコンセプトについて)
感染症で世界が大きく変わってから、三年が経ちました。「以前の生活にまた戻れたらいいね」そんな言葉を口にしながら我々は三年間を過ごしてきたわけですが、以前どころか、ますます現実は厳しくなってきています。
これから、世界はさらに大きく変わろうとしています。いくら鈍感な人でも、日々の生活からそのことは実感できるはずです。世界はどこに向かおうとしているのか。グローバリズム、超管理型社会、おそらくそのようなものでしょう。西側世界においては、そこに追随する多くの人と従わない少数の者とに分かれていくでしょうが──音源制作のコンセプトに、ここまで言う必要はないのかもしれません。音楽自体は、今後も残り続けていくでしょう。しかし、音源発表のあり方、また多くの音楽の主題である恋愛の表現方法についても、変容を迫られている状況にあることを鑑みれば、我々の根幹にかかわることでもありますから、ここに書かざるを得ないと思った次第です。
色即是空、という仏教用語があります。この世のすべてのものには実体がない、という意味です。字面だけを見れば、虚無主義、諦観、とも受け取れる言葉ですが、そもそも仏教とは苦しみからの解脱を目指して発祥したものです。色即是空には、ただの諦めではない、衆生を救う何か一つの鍵、大きな愛のようなものが根底に流れていると感じます。変わりゆく世界を前にして、色即是空の境地に立てれば、我々はこの困難な時代を乗り越えていけるのではないでしょうか。本アルバムでは、力及ばずとも、皆さまとともにそのことを考え、また提示していければと思っています。
試練はまだ始まったばかりです。愛をもって、希望をもって、今日を生き抜いていきたいものです。
我々は今、自分自身を試されているのです。
人間椅子「色即是空」収録内容
CD
01. さらば世界
02. 神々の決戦
03. 生きる
04. 悪魔一族
05. 狂気人間
06. 人間の証明
07. 宇宙電撃隊
08. 宇宙の人ワンダラー
09. 未来からの脱出
10. 地獄大鉄道
11. 星空の導き
12. 蛞蝓体操
13. 死出の旅路の物語
DVD(初回限定盤)
人間椅子2022秋のワンマンツアー~闇に蠢く~(2022年9月19日(月・祝)[東京]EX THEATER ROPPONGI)
01. 侵略者
02. 表徴の帝国
03. 宇宙海賊
04. 無情のスキャット
05. 蜘蛛の糸
06. 地獄の料理人
07. 宇宙からの色