悠介(G / lynch.)と松本明人(Vo / ex.真空ホロウ)によるユニット・健康の1st EP「◎MNIBUS(+未来(完全版))」が、本日10月13日に配信リリースされた。
「◎MNIBUS(+未来(完全版))」は9月13日にCDリリースされた作品。配信リリースを記念して、松本による全曲解説が公開された。音源を聴いたあとにこの解説を読むことで、より深く健康の世界観が理解できる。
また1st EPのリード曲「Just kidding」のミュージックビデオがYouTubeで公開された。このMVはアーティスト写真のイメージを映像化したような内容となっている。
松本明人による「健音 chapter #1 - 未来 -」と「未来(完全版)」の解説
●題材映画
黒沢清 監督
「アカルイミライ」(2003)
●水槽 / 気紛 / 除獣
仁村、守、少年たちの想い
●理由 / 合図 / 繋縛
仁村から守への想い
●曖昧
撮影ドキュメント「曖昧な未来、黒沢清」から着想
●運命 / 執着
仁村や守の父・真一郎にとっての、アカクラゲや守との関係性の危うさ
●喪失 / 月光
真一郎から守への想い
●針金
守から仁村への想い
●非雨
仁村の妹・美穂の兄に対する気持ち
●偽者
仁村と高木の関係性の歪さ
●呼応
カウンセラー・軽部が現在の職に就いた理由と、軽部の過去を想像して
●人間
おしぼり工場、ゲームセンター、高木の会社
●淡々
アカクラゲが泳いでいるイメージ
●猛毒
仁村の藤原に対する感情
●日常 / 未来
エンディング
仁村、守、少年たち、そして黒沢監督の想い
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この作品はもしかしたら黒沢監督自身を主人公に投影していて、
主な登場人物全てが主人公で同じ人物の違う視点(心の中)であり、
監督ご自身なのではとおもっています。
あくまで個人の見解です。
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松本明人による「◎MNIBUS」解説
01. Just kidding
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●題材映画
中島哲也 監督「告白」(2010年)
原作:湊かなえ 先生
●幾人かの主人公のマルチ視点という形でストーリーが展開していく中で、
全ての人物が、自分を被害者だと思い込み自分の正義感を信じきって
他人の痛みを度外視して間違いを犯していくように思えました。
「なーんてね」という主人公2人の印象的な言葉から、
英訳スラングをタイトルに採用しました。
歌詞中の"たった一冊の本"というのは、
映画に登場する教師のニックネームと、ゲーテ著「若きウェルテルの悩み」
という自○を促す要素があったと言われている本との親和性から入れ込んでいます。
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02. Case by case...?
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●題材映画
李相白 監督
「怒り」(2016年)
原作:吉田修一 先生
●視聴者への様々な問題提起を自分なりに捉えテーマにしました。
特に衝撃的で心に残ったシーンとの親和性を持たせるため、
英語のスラングをいくつか採用しました。
●特異な読み一覧
・市振る→いちびる
・現実→リアル
・五月蝿いよ→うっせーよ
・心根→こころね
・業→カルマ
・hah?→はあ?
・UGH!!→んー!!+あー!!
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03. Monster
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●題材映画
是枝裕和 監督
「怪物」(2023年)
脚本:坂元裕二 先生
●「人間の子ではない」と家庭やクラスの中から
迫害を受ける主人公のひとりの心の内を描いています。
ポジとネガの2面性(躁と鬱)を声のオクターブ差で表現しました。
昨今の(SNSでの匿名性が故の心無い発言による)自○の蔓延と、
そう感じざるを得ない世の中が当たり前になってしまったことに
この主人公との親和性を感じ、この曲を通して僕たちが
「生きること」に少しでも前向きになれるようにと思います。
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それぞれの楽曲の元となった、
「告白」、「怒り」、「怪物」はどれも、
複数の主人公のマルチ視点を以て展開していくストーリーが特徴的でした。
それはまるでオムニバス映画を観ているような感覚を覚え、
今生きているこの人生も実はそうなのでは?と錯覚し、
そしてその衝撃が曲まで書かせてくれ、
とても稀有な体験をしている気持ちです。
2023年9月某日
健康 ボーカル
松本明人