テレビ朝日が主催する音楽フェスティバル「テレビ朝日ドリームフェスティバル2023」が11月3日から5日にかけて千葉・幕張メッセ国際展示場1~4ホールで行われた。
今年12回目の開催で、4年ぶりの声出し解禁となった「テレビ朝日ドリームフェスティバル」。3日は新しい学校のリーダーズ、King & Prince、東京スカパラダイスオーケストラ、Novelbright、緑黄色社会、WANIMA、4日はいきものがかり、SUPER BEAVER、NEWS、PUFFY、BE:FIRST、羊文学が出演し、多彩なパフォーマンスを繰り広げた。5日のみ「テレビ朝日ドリームフェスティバル2023×Perfume FES!!」と題したPerfumeとさまざまなアーティストとの対バンライブが展開され、ピエール中野(凛として時雨)によるオープニングDJを経てPerfumeはきゃりーぱみゅぱみゅ、GENERATIONS from EXILE TRIBE、女王蜂、スキマスイッチ、マキシマム ザ ホルモンと競演した。この記事では「Perfume FES!!」として実施された5日公演の模様をレポートする。
ピエール中野
開場と同時に始まったのは、Perfumeの古参ファンとして知られているピエール中野(凛として時雨)によるオープニングDJ。彼は2007年に東京・Zepp Tokyoで行われたPerfumeのカウントダウンライブのタオルを掲げて古参アピールをしつつ、今では幻の曲となっている「ぱふゅーむ×DJ momo-i」名義で2005年にリリースされた「アキハバラブ」をフルコーラスで流すなど、古参らしい所作で愛あふれるDJプレイを繰り広げた。
GENERATIONS from EXILE TRIBE
「他人の曲で大盛り上がり」を信念とした、誰もが知るヒット曲満載のピエール中野のDJで会場がヒートアップしたところで、そのままノンストップでGENERATIONS from EXILE TRIBEのライブがスタート。1曲目は11月21日リリースのミニアルバム「beyond the GENERATIONS」に収録される新曲「Diamonds」で、7人の力強くもしなやかなダンスにオーディエンスの目は釘付けになった。ハードな四つ打ちで西城秀樹「ヤングマン」をカバーする「Y.M.C.A.」では、おなじみの振付によって初見の人々も巻き込んで会場中に一体感が生まれ、一気に観客のハートを掌握。その後彼らが、番組での共演をきっかけに「公式お姉さん」と呼んで慕っているPerfumeをステージに呼び込むと、早くもステージに登場したメインアクトに会場から大歓声が湧いた。
そしてGENERATIONSとPerfumeは、昨年ABEMAで生配信された特別番組「GENERATIONS 24時間テレビ 24時間いろんなライブできるかなぁ?」でも行われた「Make Me Better」のコラボパフォーマンスを再び披露。もともと10人で踊ることを想定していた曲なのかと思うほどに、2組は抜群の相性でダンスを繰り広げ、全員が楽しそうに笑顔を浮かべていた。Perfumeの退場後、「また機会がったらコラボしたいですね」という数原龍友の言葉に、会場からは期待を込めた大きな拍手が起こった。
女王蜂
続いて女王蜂のライブが始まると、ステージ中央ではアヴちゃん(Vo)と思われる人物がローブを羽織って深くフードをかぶり、顔を見せないまま「ファウスト」を熱唱。ところが曲中でその人物がローブを脱ぎ捨てると、そこにいたのは“女王蜂のアイドル”として活動するぁう゛ちだった。その後もぁう゛ちは「火炎」「BL」と続け、高音と低音を激しく行き来する圧倒的な歌声で強固な世界観を作り出しながらも、時折キャピキャピしたキュートな仕草を振りまいていく。
そして4曲目に、ぁう゛ちは「だんだん 好きになる 気になる 好きになる」「誰だっていつかは死んでしまうでしょ」と、感情を込めながらPerfumeの「edge」をアカペラでワンコーラス歌い上げた。さらにその流れのまま、アニメ「【推しの子】」のエンディングテーマ「メフィスト」に突入。かつてPerfumeに憧れたアヴちゃんがヒールを履いてステージに立ったのをきっかけに始まった女王蜂が、この「Perfume FES!!」の舞台で「edge」を歌ったというストーリーは、多くのファンの胸に響いていた。
Perfumeも出演した映画「モテキ」のメインテーマ「デスコ」が演奏された際には、アウトロでぁう゛ちが「チョコレイト・ディスコ」を歌って踊るひと幕も。「Introduction」や11月15日リリースの新曲「01」を歌い終えると、ぁう゛ちはマイクを投げ捨ててルンルンとスキップをしながら去っていった。
きゃりーぱみゅぱみゅ
きゃりーぱみゅぱみゅは、ピンクの髪を三つ編みおさげにしてレースの頭巾をかぶり、赤いワンピースを着て、まるで童話の中から飛び出してきたような雰囲気で登場。擬音で構成された歌詞も含めてビートだけで作られているトライバルなダンスチューン「どどんぱ」で観客を踊らせた。その後きゃりーは、学生時代に父親に「ポリリズム」を勧められてPerfumeを知り、通学中に毎日「plastic smile」を聴いていたと回想。この日に幕張に向かう途中で「plastic smile」を聴き、そのことを思い出して感極まって泣いてしまったと話した。
テレビ朝日のイベントだからと「クレヨンしんちゃん」のオープニングテーマだった「キミに100パーセント」を歌ったのち、きゃりーは再びPerfumeの話をし始める。今年きゃりーとPerfumeは、スペインのバルセロナとマドリッドで開催された音楽フェス「Primavera Sound 2023」に出演する予定だったが、バルセロナ公演には予定通り出演したものの、マドリッド公演は天候不順のためPerfumeの出演日が中止に。そのことを知ったきゃりーは、自分の持ち時間60分のうち30分をPerfumeの時間にしたいと真剣に考え、実際に両チームのスタッフに動いてもらったものの、いろいろな事情でそのアイデアは結局実現しなかった。この件があったことで2組は「コラボしたい」「対バンライブをしたい」と願うようになったとのことで、きゃりーは観客に向けて「その夢が今日、実現するかもね!」と期待を煽った。
最後に「ファッションモンスター」で会場を興奮で包んだきゃりーは「どうもありがとうございました! Perfume大好き、きゃりーぱみゅぱみゅでした! ばいばーい!」と叫び、彼女を称える大歓声が広い空間に響きわたった。
マキシマム ザ ホルモン
「恋のアメリカ」でマキシマム ザ ホルモンのライブが始まるなり、激しくラウドな演奏によるスケールの大きなサウンドで、会場の空気はそれまでと一変。ダイスケはんは右肘左肘を交互に見せ続け、曲が終わるとナヲは「大丈夫、怖くないよ! 泣いてるお友達はいないかな? 同じ人間だよ!」と客席の子供を気遣った。その後も彼らはスクリーンに歌詞を流しながら、畳み掛けるようにアグレッシブなライブを繰り出していく。
ホルモンはステージから花道が伸びているライブを普段あまり経験していないため、曲中でナヲが歌いながらランウェイのように歩いたり、ダイスケはんが「これテレ朝のフェスだから、『ロンドンハーツ』の50TAみたいに落とし穴があったらどうしよう」と怯えたりするひと幕も。「恋のスウィート糞メリケン」が始まる前には「うちのナヲを“八王子のディーバ”にさせてもらっていい?」というダイスケはんの呼びかけで、オーディエンスがスマホのライトを点灯させ、星空のような美しい光の海を目の前にしながらナヲが「Sweet Sweet 糞メリケン」と歌い上げた。またライブで恒例の“恋のおまじない”コール「麺カタ! コッテリ! ヤッター!」は、この日は客席全体を使ったウェーブという形で行われた。
スキマスイッチ
ホルモンのライブで爆音に包まれていた幕張メッセだったが、続くスキマスイッチが「ふれて未来を」でライブを開始すると、美しい歌声と洗練されたサウンドにより会場はリラックスした雰囲気で満たされ、このイベントの振れ幅の広いラインナップを改めて実感させられることに。大橋卓弥は「今日はPerfumeに呼んでいただいたので、Perfumeの曲を1曲」と告げて「ナチュラルに恋して」のカバーを披露。ジャジーなバンドサウンドによりアーバンに生まれ変わったこの曲に、オーディエンスはじっと聴き入っていた。
ライブ中盤には「せっかくなんで声を出してみますか?」という大橋の呼びかけで、彼が歌う簡単なフレーズを観客も歌うというコール&レスポンスも実施。この日の客層はスキマスイッチのライブを観るのが初めてという人が多かったが、ライブが進むにつれ会場の一体感はどんどん増し、「全力少年」のサビでは大合唱が沸き起こった。そして2人は最後に「奏(かなで)」を披露し、胸に沁みる力強い歌でフロアを感動に染めた。
Perfume
この日のヘッドライナーであるPerfumeのライブは「Moon」でスタート。2曲目「Spending all my time」のパフォーマンスが終わった瞬間、頭に大きなリボンを付けてPerfumeとおそろいの白い衣装を着た、ナヲ(マキシマム ザ ホルモン)が後ろから駆け寄ってきた。ナヲがPerfumeに合流すると、始まったのは「だいじょばない」。この曲の高難易度な振付をナヲはしっかりと踊りきり、このコラボが軽い気持ちではない本気の取り組みであることを感じさせた。サビ終わりの「いやいや ぜんぜんだいじょばない」の瞬間には、ナヲのキメ顔がスクリーンに大写しに。歌い終えた彼女たちは「4人合わせてPerfumeです!」と自己紹介し、両手のメロイックサインをクロスさせたメタルポーズをキメた。4人目のPerfumeとしての仕事をまっとうしたナヲは「ママ輝いてるやろ! 夢が叶ったよ!」と客席に手を振っていた。
ナヲがステージを去ったあとで、Perfumeは先ほどの女王蜂のライブ口々に絶賛しながら「アヴちゃんとの出会いは、映画『モテキ』でした」と振り返った。そして劇中で自分たちが歌っていた「Baby cruising Love」をアヴちゃんとの出会いの曲として歌うことに。あまりセットリストに入らない曲ということもあって、あ~ちゃんが曲名をコールすると会場に驚きの声が上がっていた。観客との一体感を高めるべく行われているPerfumeライブ恒例の「P.T.A.のコーナー」では、映画「映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ」の主題歌で11月3日に配信リリースされたばかりの新曲「すみっコディスコ」の、サビ部分の振付をメンバー自ら観客にレクチャーした。
ライブ後半、「Party Maker」のアウトロでまた1人ゲストが合流した。その人物は、どこか近未来感漂うシルバーの衣装を着て、Perfumeと同じように黒髪に染めたきゃりーぱみゅぱみゅ。スクリーンに「PONPONポリリズム」という文字が映り、きゃりーの「PONPONPON」、Perfumeの「ポリリズム」という2組の出世作2曲をマッシュアップした曲がスタートした。2つの曲の歌とダンスが行き来したり、2つの曲を同時に歌ったりと、複雑に絡み合うこの曲。予想を超えるクオリティのコラボを目にした観客は、息を呑んでステージ上を見つめていた。6月のスペインでの出来事から5カ月。念願を成就させた4人はうれしそうに笑い合う。なおこのマッシュアップ音源は中田ヤスタカ(CAPSULE)が作ったもので、、2組がコラボすることが決まったときに、彼女たちがグループLINEで中田に「一緒に何かやりたい」と相談したところ、言葉の代わりにこの音源が返事として返ってきたという。また、4人でのダンスのフォーメーションも演出振付家のMIKIKOが考えたとのこと。
そして最後にPerfumeはこの日の出演者たちをステージに呼び込み、GENERATIONSの白濱亜嵐、片寄涼太、中務裕太と、きゃりーぱみゅぱみゅ、マキシマム ザ ホルモンのナヲ、スキマスイッチ、ピエール中野が再びステージに登場。中務がPerfumeに「僕らの曲を僕らよりうまく踊るのはやめてください」とクレームを入れたりと、みんなで楽しく1日を振り返った。話を振られた大橋卓弥が「なんかこの流れで僕らに来ると、急に年齢が上がる感じがしますね」と笑うと、すかさずナヲが「全然上がってないよ。全力で少年だから大丈夫だよ」とツッコミを入れていた。なおピエール中野はガチ勢ゆえ、この出番の直前ギリギリまで客席で観ていたためマイクが用意できなかったそうで、広大な会場に向けて地声でコメントしていた。そして最後にこのメンバーで「Puppy love」を歌唱。6年ぶり6回目の「Perfume FES!!」も笑顔に包まれながらフィナーレを迎えた。
3日間にわたる「テレビ朝日ドリームフェスティバル2023」の模様は、2024年1月にCSテレ朝チャンネル1で放送される。
セットリスト
「テレビ朝日ドリームフェスティバル2023×Perfume FES!!」 2023年11月5日 幕張メッセ国際展示場1~4ホール
GENERATIONS from EXILE TRIBE
01. Diamonds
02. AGEHA
03. Y.M.C.A
04. Together
05. Make Me Better
06. チカラノカギリ
07. ワンダーラスト
08. NOW or NEVER
女王蜂
01. ファウスト
02. 火炎
03. BL
04. edge
05. メフィスト
06. 催眠術
07. デスコ
08. PRIDE
09. Introduction
10. 01
きゃりーぱみゅぱみゅ
01. にんじゃりばんばん
02. どどんぱ
03. キミに100パーセント
04. つけまつける
05. キズナミ
06. 一心同体
07. 原宿いやほい
08. ファッションモンスター
マキシマム ザ ホルモン
01. 恋のアメリカ
02. maximum the hormone II~これからの麺カタコッテリの話をしよう~
03. 鬱くしきOP~月の爆撃機~/鬱くしき人々のうた
04. 令和ストロベリーバイブ
05. ぶっ生き返す!!
06. 恋のスウィート糞メリケン
07. 恋のメガラバ
スキマスイッチ
01. ふれて未来を
02. 藍 ~僕たちの色彩~
03. ナチュラルに恋して
04. Ah Yeah!
05. 全力少年
06. 奏(かなで)
Perfume
01. Moon
02. Spending all my time
03. だいじょばない
04. Baby cruising Love
05. Flow
06. ラヴ・クラウド
07. Party Maker
08. PONPONポリリズム
09. チョコレイト・ディスコ
10. Puppy love