堂本剛のソロプロジェクト.ENDRECHERI.による音楽フェス「ENDRECHERI MIX AND YOU FES FUNK&FUNK」が、2月23日に神奈川・ぴあアリーナMMで開催された。
堂本剛念願の音楽フェスが実現
2023年3月にCSフジテレビTWOで放送がスタートした音楽番組「ENDRECHERI MIX AND YOU」。ファンクに深く傾倒する.ENDRECHERI.の楽曲の生演奏や、堂本の音楽観、人生観を深く掘り下げるトークコーナーを堪能できるほか、在日ファンク、ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)ら国内の凄腕ミュージシャンとの共演、SUGA(BTS)との対談、堂本が敬愛するジョージ・クリントンとの夢のセッションが実現するなどこれまで好評を博してきた。堂本は以前より音楽フェス開催への並々ならぬ思いをインタビューなどで語っていたが、「ENDRECHERI MIX AND YOU」が2023年12月よりseason2を迎えるにあたり、番組発のフェスが開催される運びに。出演アーティストは.ENDRECHERI.と、堂本が音楽性に共感した鈴木雅之、Creepy Nuts、Kroi、Awichの4組で、“FUNKフェス”というジャンルを絞った音楽イベントながら約9千人を動員。「ファンクとは命の匂いである」と堂本が常日頃から語っている通り、ステージ上のアーティストもオーディエンスも自らの“命の匂い”を漂わせながら音楽に身を委ねる大熱狂のフェスとなった。
Kroi
開演時刻の16時、客席が暗転し、歓声がこだまする中、ステージに登場したのはKroiの5人と.ENDRECHERI. 。ステージが明るくなり、キーボードのサウンドが鳴り始めると、.ENDRECHERI.の「Hello Everybody! 盛り上がってるか!」という呼びかけに対し、割れんばかりの歓声が沸き起こる。そして客席にメッセージを語りかけた.ENDRECHERI.は、その勢いで「.ENDRECHERI.」「FUNK AND FUNK」のコール&レスポンスを展開。そのコール&レスポンスにKroiも参戦し、場内が一気にヒートアップしたところで.ENDRECHERI.は「Kroi!」と叫び、5人にステージを託した。
Kroiのライブは「Juden」でスタート。観客は5人の巧みなプレイに早くもテンションを高め、パフォーマンスにクラップで応える。1曲目でボンゴを叩きながら歌っていた内田怜央(Vo)がギターを手にしたところで、Kroiは続くナンバー「Sesame」へ。変則的なリズムにより、会場の空気が一気にKroiワールドに様変わりした。3曲目「Page」ではイントロが流れた瞬間、客席から「Kroi!」とステージに呼びかける声が。内田はその声に応えるように「ごめんね! 俺たちが最初で。初めて観たよね? Kroiちゃんです。今日は“FUNKフェス”が開催されると聞いて駆けつけました! よろしく!」と挨拶した。Kroiはそのままノンストップで4曲目の「Monster Play」を演奏。会場全体がKroiのサウンドに酔いしれた。
Awich
真っ赤なライトに照らされ、コーラスが鳴り響くステージに現れたのはAwich。彼女は1曲目「THE UNION」で力強い歌声を響かせ、「ぴあアリーナ! 盛り上がる準備はできてますか!?」と客席に呼びかけた。続く「Guerrilla」では観客が手を前後に振ってAwichのパフォーマンスに応え、「初めましての方がたくさんいると思うのですが、(私を)観たことがあるって人?」という問いかけに対して歓声を送る。これを受け、Awichは「I Love You So」と感謝の気持ちを表明しつつ、「初めましての方? 怖くないですよー」と話して会場の笑いを誘った。
「今日はファンクのフェスということですが、ヒップホップはこれに大きな影響を受けているジャンルということで、私たちは、自分のストーリーや目標、こうやって生きていくよ、という気持ちを乗せて歌っています。もし、ヒップホップを聴いたことない人が今日いらっしゃったら、そういうことを歌ってるんだなと感じてくれたらと思います」と語ったAwichは、「Bad Bitch 美学」「WHORU?」などを立て続けに歌唱し、「GILA GILA」「REMEMBER」ではステージの端から端までを所狭しと行き来する。観客にジャンプを煽る場面もあり、場内の盛り上がりはさらに加速。Awichは最後に「かくれんぼ」を歌い切ると、「ありがとう!」とひと言残し、ステージをあとにした。
Creepy Nuts
SEが鳴った突端、客席から大きな拍手が起こり、そのまま次のアーティストをステージに呼び込むようにクラップか続く。満を持してCreepy Nutsがステージに登場し、大型スクリーンに2人の顔が映し出されると、彼らの名前を呼ぶ声が飛び交った。そんな会場の熱に応えてスタートしたのは「のびしろ」。R-指定が「自分に“のびしろ”しか無いと思うやつは一緒に歌ってくれますか!」と叫んだのを受け、サビの「のびしろしか無いわ!」では観客が大声で歌う展開に。そしてR-指定が 「yeah yeah」のコール&レスポンスで客席を盛り上げたのち、「堕天」、さらには3曲目「2way nice guy」へとなだれ込んだ。「飛び跳ねろ!」という呼びかけに、手を左右に振ってジャンプするオーディエンス。DJ松永のプレイに対しても場内が沸き立った。
MCではR-指定が「こんなに大勢のお客さんの前で、こんなに豪華な競演者と一緒にライブさせてもらって、非常にありがたく思っています。呼んでくれた.ENDRECHERI.さんありがとうございます!」と挨拶。「皆さんも一緒にガンガンライブに入ってきてもらえるとより楽しくなっていきますので、一緒に盛り上がっていきましょう!」と呼びかけ、「よふかしのうた」のパフォーマンスへと突入した。観客が思い思いに体を揺らす中、続く「合法的トビ方ノススメ」では「全員両手を挙げろ!」というR-指定の煽りにより会場中に連帯感が生まれ、あっという間にラストの曲へ。「Creepy Nuts最後の曲です! まだいけますか!」という呼びかけとともに強力でアッパーなビートが鳴り響き、「ビリケン」が盛大に披露された。
鈴木雅之
鈴木雅之のステージが始まると、彼の歌声につられるようにして場内の温度が瞬く間に高まっていく。そして「鈴木雅之です!」という自己紹介とともに「違う、そうじゃない」がスタートした。軽快なステップを踏みながら歌声を響かせる鈴木は、YOASOBI「怪物」のカバーも披露。ファンキーなアレンジが施されたサウンドに観客は思い切り身を委ねる。鈴木が「私も皆さん以上に剛が大好きですから!」と話すと大歓声が送られ、鈴木のライブを初めて観る観客に向け、自己紹介を兼ねてアカペラで披露されたシャネルズのデビュー曲「ランナウェイ」では、「ランナウェイ!」のコール&レスポンスが発生した。
その後、鈴木がステージに呼び込んだのはシークレットゲストの浜野謙太(在日ファンク)。2人は浜野が鈴木に提供した楽曲「スポットライト」を一緒に歌い、客席を沸かせる。さらに「もう1曲ぐらい一緒にやろうよ!」と切り出し、「め組のひと」でもコラボを果たした。観客も「めッ!」というフレーズに合わせて一緒にポージングし、会場にハッピーな一体感が充満。盛大な拍手に見送られて浜野がステージを去ったあとは、「夢で逢えたら」の歌唱が始まり、熱気を帯びていた場内の空気が艷やかなムードに一変する。観客はゆったりとしたリズムに乗せて届けられる鈴木の歌声に酔いしれ、一緒にサビを合唱。そして「これじゃ終われないよな!」と客席に呼びかけた鈴木が堂本をステージに呼び込むと、会場に熱い高揚感が広がった。ステージ上でハイタッチした2人はお互いの関係性などを語ったのち、「剛、ギター弾いてくれる?」という鈴木の言葉を合図に、鈴木の最新アルバム「SOUL NAVIGATION」に堂本が提供した楽曲「flavor」を披露。歌唱する鈴木の隣で、堂本はしなやかにエレキギターを奏でた。
.ENDRECHERI.
この日の主役.ENDRECHERI.は、バンドが生み出す不思議な音色のSEに導かれて登場。暗がりの中、客席に向けて手を挙げると大歓声が沸き起こる。ステージがカラフルな照明で照らされるのと同時に、1曲目に演奏されたのは「Super funk market」だ。「FUNK!!!!!!! FUNK!!!!!!!」の歌声に合わせ、観客は手を高く掲げた。会場のボルテージが上昇する中、ライブはそのままメドレー形式で「MYND」「F Power」へ。ステージ上では2人のダンサーが激しく踊り、コーラスメンバーもハンドマイクを持ってステージ前に飛び出して客席を煽る。さらに.ENDRECHERI.は「ENDRE IT UP WHO」「FUNK TRON 」と畳みかけ、オープニングから5曲を立て続けに披露。10分以上にわたって切れ目なく奏でられる音の渦に会場中が熱狂した。
MCに移ると、.ENDRECHERI.はサングラスを外して「改めましてHello Everybody! ファンクしてますか?」と挨拶。そして「みんなで一緒に踊りましょう! 古代魚エンドリケリーが水の中を泳ぐように!」と観客にダンスをレクチャーしたのち、「Erother listen LOVE」の演奏をスタートさせる。レクチャーされた通り観客が踊り出すと、客席が大きく波打つような壮観な風景が広がった。場内に渦巻くグルーブは「I say ENDRE You」「410 cake」でより一層増大。「愛のない 愛もない いまが嫌い」「愛を生きて」では、体を左右に揺らしながら.ENDRECHERI.の歌声を堪能する観客の姿が目立った。
.ENDRECHERI.のステージが始まって30分以上が過ぎた頃、ここで初めてバンドの音が止む。すると静かなサウンドが流れ始め、「Rain of Rainbow」のパフォーマンスへ。.ENDRECHERI.の歌声がしっとりと響きわたった。その後、エレキギターを持った.ENDRECHERI.は「勃」を演奏。ステージ上のビジョンに歌詞が次々と映し出されると、会場が曲の世界観に飲み込まれ、その中で鳴り響くエレキギターの歪んだサウンドが観客を圧倒した。ギターを肩から外した.ENDRECHERI.が続いて披露したのは「LOVE VS. LOVE」。.ENDRECHERI.は白一色のライトに照らされたステージでエモーショナルに歌い上げ、続く「Everybody say love」では再び軽快なリズムのサウンドが鳴り響く。曲が終わり、.ENDRECHERI.が「ちょっと会場が臭いね! 命の匂いが蔓延してて」と発すると、盛大な歓声がこだました。
ライブ終盤、.ENDRECHERI.はKroiの5人をステージに呼び込んでセッションをすることに。「日本でファンクの人口を増やすためにがんばっていかなければならない」という目標をKroiと立てたことを明かすと、ファンクミュージックに対する思いを語り始めた。「誰だって真面目に生きてるからいろいろと悩むんだけど、僕にとってはその悩んでることなんてどうでもいい、自分らしく生きればいいんだと思わせてくれたのがファンクミュージック。部屋で1人で『自分最高!』って言ってるだけみたいな、そういう宇宙がファンクにはあって、だからファンクっていいなって思って。それから没頭して早何年か経ちますが……」「僕にとってはファンクミュージックは大切な音楽で、だから生きてる限りファンクミュージックをやりたいな、と思ってずっとやってきました。そうしたら『ファンク大好き!』みたいな人がこうやって急に現れて(笑)」とトークを続ける.ENDRECHERI.。「今からミュージシャンたちがさらなる命の匂いをプンプンに出すので、みんな鼻つまんで褒めてあげてね! 自由にフリーセッションするので、皆とにかく手を挙げて、楽しんでください!」という言葉をきっかけに、ここからステージ上のミュージシャンやダンサーが1人ずつ超絶プレイのソロパートを披露した。観客はもちろん、ミュージシャンたちのもとに順番に駆け寄る.ENDRECHERI.も1つひとつのプレイを堪能。20分以上におよぶ壮大なセッションにより会場に熱気が立ち込めた。最後に「Wedding Funk」の演奏が始まると、ステージにこの日の出演アーティスト全員が集結。会場全体で「You me Love」と歌い、「Jump!!」のかけ声に合わせて一斉にジャンプすると、ぴあアリーナMMが揺れるほどの盛り上がりが生まれた。