春は進学の季節。この連載では軽音楽部で新たにバンドを始める若者に向けて、軽音出身ミュージシャンがエールを送る。第1回はフレデリックの三原健司(Vo, G)が登場。軽音で過ごした若かりし日のエピソードを語るほか、「初心者がコピーするならこの曲!」をテーマに選曲したプレイリストを発表する。
構成 / 安部孝晴
軽音に入ったきっかけ
中学の頃、双子の弟(フレデリックのベーシスト・三原康司)が先に音楽を始めており、文化祭で演奏しているのを見て「自分もこんなに楽しいことやりたい」と思えたので高校生になってから軽音楽部に所属しました。
当時担当していたパート
ボーカル
もともと自分の声にコンプレックスを抱いていたんですが、それが歌になると「いいね」と言ってくれる人がいて、その言葉が当時の自分にとって救いになったから。歌で人生変えてやろう、と思えて始めました。
当時組んでいたバンド名
そういえばバンド名決めてなかった……!(笑)
当時コピーしていたバンド
・JUDY AND MARY
・サディスティック・ミカ・バンド
・THE YELLOW MONKEY
プロ志向の有無
高校生のときに自分の夢を決めて専門学校に進学しました。
軽音で得たもの
一生音楽をともにする仲間ができた。専門学校に行ってからバンドメンバーを探したりもしたんですが、結局康司の作る曲が一番いいよなって思えたからフレデリックを組みました。高校生のときに軽音で一緒にやってなかったら気付けなかった。
最も印象的なエピソード
自分が所属して部長になったときはまだ軽音楽部のイメージがよくなくて「素行がよくない人が集まってチャラチャラやる遊びでしょ?」みたいな空気がまだ学校中にあったんですよね。
俺はそのなんか腫れ物を扱うような空気がすごく嫌で。
好きなことに打ち込んで1つの目標を達成する姿はスポーツやる人と同じやし、でも伝えるのが難しいなと思う状況もあって悩んでたんですよ。
そんな感じで模索してるときに、ネットで軽音楽部対抗のコンテスト(「we are SNEAKER AGES」)を見つけて。
「これで何か結果残して少しでも見方が変わればいいな」という思いでずっと同級生と応募してそれに向けて打ち込んでたんですよ。
そしたら何十校もいる予選大会を勝ち抜いて13年ぶりにウチの高校が決勝大会に駒を進めることになりまして。
「これはチャンスや!」と思い、決勝大会の案内が書かれた用紙を持ってそのまま校長室に行き、あーだこーだ今の軽音楽部の現状などを話して「とにかく来てください!」とお願いをしたんです。
そしたら校長も忙しい中、決勝大会に足を運んでくださって。
決勝大会自体は全然いい結果を残せなかったんですが、その後部活に対する対応を変えてくださったんですね。
結果ももちろん大事ですが、そのとき起こした行動に目を向けてくださったことが何よりもうれしかったんですよ。
この経験は今でも僕の宝物にしています。
部室あるある
吹奏楽部の方が音楽室をメインに使用するので、その邪魔にならないよう端っこの小さな物置みたいな部屋を譲っていただくことが多い。
これからバンドを始める若者に伝えておきたいこと
楽しんで!
楽しいのが一番。
趣味でやりたい人も仕事にしたい人も同じくです。
メジャーデビューしてこの仕事でごはんを食べてる人間から言わせてもらうと、そりゃあ楽しいことだけで成り立っている世界じゃないです。苦労もそれなりにある。
けどそれを乗り越えられる力になるのが
「音鳴らしてるときが一番楽しい」って思える気持ちです。
一生の宝になるので目一杯楽しんでください!
初心者がコピーするならこの曲!
・THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「スモーキン・ビリー」
・くるり「言葉はさんかく こころは四角」
・フラワーカンパニーズ「深夜高速」
・フーバーオーバー「サッパリコン」
・モーモールルギャバン「サイケな恋人」
・GO!GO!7188「とかげ3号」
先生が「うわ! 懐かしい!!」って思える曲と、メロや歌詞のよさだけじゃなくバンドのアンサンブル力込みでメンバーみんなのやり甲斐がある曲を選びました。
プロフィール
三原健司(フレデリック)
1990年2月20日生まれ、兵庫県出身。フレデリックでギターボーカルを担当。2014年9月、ミニアルバム「oddloop」でメジャーデビューを果たした。2024年1月に新曲「PEEK A BOO」を配信リリース。6月から全国6都市でファンクラブツアー「Home Party Tour2024」と対バンツアー「UMIMOYASU2024」を開催し、2025年2月11日に兵庫・ワールド記念ホール、24日には日本武道館でワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2025」を行う。
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